子どもの留守番が心配で眠れない

「もし、犯罪に巻き込まれたら…」
「子どもが1人でいるときに、地震が起きたらどうしよう」
いよいよ新年度が始まりました。入学、進学の季節ですが、中にはこの春から子どもを1人で留守番させなければならなくなった人もいるかと思います。
子どもの「留守番デビュー」、どんなことに気をつければいいのでしょうか?
(ネットワーク報道部 記者 廣岡千宇 清水阿喜子)
「子どもが1人でいるときに、地震が起きたらどうしよう」
いよいよ新年度が始まりました。入学、進学の季節ですが、中にはこの春から子どもを1人で留守番させなければならなくなった人もいるかと思います。
子どもの「留守番デビュー」、どんなことに気をつければいいのでしょうか?
(ネットワーク報道部 記者 廣岡千宇 清水阿喜子)
学童保育に預けられなくて
「あさってからの生活を考えると眠れない。娘を一日、家に残して仕事にいく。大丈夫なんだろうか」
4月2日。福岡県の40代の母親は、SNSにそんな不安を吐露しました。
小学4年生になった長女が、ひとりで留守番を始めることになったのです。
4月2日。福岡県の40代の母親は、SNSにそんな不安を吐露しました。
小学4年生になった長女が、ひとりで留守番を始めることになったのです。
3月までは、共働き家庭などの小学生を放課後に預かる「学童保育」を利用していました。
しかし、今年は新入生に学童保育を希望する家庭が多く、上の学年から退所せざるをえなかったそうです。
心配なのは防犯面。留守番中の子どもを狙った事件のニュースを目にするたび、不安は大きくなるそうです。
しかし、今年は新入生に学童保育を希望する家庭が多く、上の学年から退所せざるをえなかったそうです。
心配なのは防犯面。留守番中の子どもを狙った事件のニュースを目にするたび、不安は大きくなるそうです。
母親
「うちは一戸建てで、子供がひとりでランドセルから鍵を出して開けて家に入る。それをどこで誰が見てるか。ものすごく心配です」
「うちは一戸建てで、子供がひとりでランドセルから鍵を出して開けて家に入る。それをどこで誰が見てるか。ものすごく心配です」
留守番初日は仕事中も気が気ではなく、何度も長女とのメッセージのやりとりをして、何か異変はないか確認していたそうです。

夫や実家に住んでいる母親も、心配してメールを送ったといいます。
母親
「学童にいれば、大人が身近にいて対応してもらえますし、親にもすぐに連絡をしてもらえますが、ひとりでの留守番ではそれができません。職場から自宅までは車で30分かかり、すぐに駆けつけることもできません。留守番については、どうしていいか分からないこと、悩みしかないです」
「学童にいれば、大人が身近にいて対応してもらえますし、親にもすぐに連絡をしてもらえますが、ひとりでの留守番ではそれができません。職場から自宅までは車で30分かかり、すぐに駆けつけることもできません。留守番については、どうしていいか分からないこと、悩みしかないです」
厚生労働省によると学童保育を利用できなかった小学生は、去年5月時点で、およそ1万5000人。コロナ禍で在宅勤務が進んだことなどもあり待機児童は減っていましたが、前の年より1700人余り増え、再び増加に転じました。

1人で留守番せざるをえなくなった子どもも増えているとみられます。
下校中から気をつけて
子どもだけでの留守番、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
犯罪学が専門の立正大学の小宮信夫教授に聞きました。
犯罪学が専門の立正大学の小宮信夫教授に聞きました。

◆家の鍵を開けるときは後ろを振り返る
子どもが帰宅するときは、不審者が一緒に家に侵入してくるリスクがあります。気配を消して子どもの後ろに立っていて、鍵を開けたとたん背中を押すようにして、一緒に家の中に入ってくるようなケースもあったといいます。家の中に入られてしまっては「助けて」と言っても聞こえにくくなります。鍵を開ける時に、後ろを振り返ることが大切です。
また、家の前だけでなく、下校中も気をつける必要があるといいます。
子どもが帰宅するときは、不審者が一緒に家に侵入してくるリスクがあります。気配を消して子どもの後ろに立っていて、鍵を開けたとたん背中を押すようにして、一緒に家の中に入ってくるようなケースもあったといいます。家の中に入られてしまっては「助けて」と言っても聞こえにくくなります。鍵を開ける時に、後ろを振り返ることが大切です。
また、家の前だけでなく、下校中も気をつける必要があるといいます。
◆1人ではなく、複数人で帰る
◆鍵は見えるところにつけないように
◆通学路の危険箇所を子どもと一緒にチェック
◆鍵は見えるところにつけないように
◆通学路の危険箇所を子どもと一緒にチェック
通学路の危険な場所を親子で一緒に確認しておくことも大切だといいます。チェックするときは「入りやすい場所」と「見えにくい場所」は避けること、警戒することを意識します。
「入りやすい場所」=▽ガードレールがない▽ガードレールとガードレールが途切れている▽植え込みと植え込みが途切れている
こうした場所は、車による連れ去りのリスクも高くなります。
「見えにくい場所」=▽塀が高くて窓が見えない▽神社や寺のまわり▽学校のグラウンド側など
360度周囲を見回して、窓がいくつ見えるか確認してみてください。窓が見えるということはそれだけ人目につきやすいということです。
見えにくい場所を通らなければならない時は、例えば信号待ちの時など「必ずここで後ろを振り返る」という場所を決めて、確認する癖をつけるのが望ましいといいます。
「入りやすい場所」=▽ガードレールがない▽ガードレールとガードレールが途切れている▽植え込みと植え込みが途切れている
こうした場所は、車による連れ去りのリスクも高くなります。
「見えにくい場所」=▽塀が高くて窓が見えない▽神社や寺のまわり▽学校のグラウンド側など
360度周囲を見回して、窓がいくつ見えるか確認してみてください。窓が見えるということはそれだけ人目につきやすいということです。
見えにくい場所を通らなければならない時は、例えば信号待ちの時など「必ずここで後ろを振り返る」という場所を決めて、確認する癖をつけるのが望ましいといいます。

家にいるときに気をつける点は?

◆戸締まりをしっかりする
◆電話やインターホンは絶対に出ない
◆電話やインターホンは絶対に出ない
電話も留守番電話にしておいて、自分の親だと分かったらとるようにする。もしくは、携帯電話で直接親とやりとりするようにしてください。
◆シミュレーションをしておく
子どもに伝えるときには、いろんな場面を想定して「どうする?」と考えさせることが大事だといいます。子どもが「絶対に出ないよ!」と言っていても、「宅配業者が来たら、どうする?」といったように。また「大人の力が強い」こともきちんと伝え、留守番には危険が潜んでいることを教える。そして「こうすれば大丈夫だ」ということをセットで教えるのが大切だといいます。
◆シミュレーションをしておく
子どもに伝えるときには、いろんな場面を想定して「どうする?」と考えさせることが大事だといいます。子どもが「絶対に出ないよ!」と言っていても、「宅配業者が来たら、どうする?」といったように。また「大人の力が強い」こともきちんと伝え、留守番には危険が潜んでいることを教える。そして「こうすれば大丈夫だ」ということをセットで教えるのが大切だといいます。
災害も心配だけど・・・
子どもだけで家にいるときに地震などが起きるかもしれません。
子どもの安全や防災対策に詳しい、清永奈穂さんに災害に備えるポイントを聞きました。
子どもの安全や防災対策に詳しい、清永奈穂さんに災害に備えるポイントを聞きました。

避難訓練では教えてくれない 自分で身を守る練習を
◆揺れたらすぐ隠れる練習を
地震の揺れが始まってから、大きな揺れへと変わるまでには、少し時間があります。清永さんによると、その時間は1秒から8秒ほど。
この8秒間を意識してふだんから安全な場所へ逃げ込む練習をしておくことが命を守ることにつながります。
「地震だパン!!」唐突に、そう言って手をたたき、8秒以内に安全な場所に隠れられるか。ゲーム感覚で身につけてもらえると良いかもしれません。
地震の揺れが始まってから、大きな揺れへと変わるまでには、少し時間があります。清永さんによると、その時間は1秒から8秒ほど。
この8秒間を意識してふだんから安全な場所へ逃げ込む練習をしておくことが命を守ることにつながります。
「地震だパン!!」唐突に、そう言って手をたたき、8秒以内に安全な場所に隠れられるか。ゲーム感覚で身につけてもらえると良いかもしれません。

どこの部屋にいても、地震が起きたらすぐ反応できるように。逃げられる場所をできるだけたくさん作っておくようにしましょう。
◆動物のポーズで身を守ろう
身を守るときに意識してほしいのは、動物の動きだといいます。
まずはウサギ。
身を守るときに意識してほしいのは、動物の動きだといいます。
まずはウサギ。

揺れを感じたら、ウサギのようにさっと身をかがめて上を見回すように。落ちてきそうなものなど危険を察知しやすくなります。
机の下などに逃げ込んだら、今度はカメのポーズ。
机の下などに逃げ込んだら、今度はカメのポーズ。

ポイントは首の後ろ側、けい椎の部分を手やノートなどでおおって守ることだそうです。ガラスが割れたりものが落ちたりして、大きな音がなっても、驚いて飛び出さないように伝えておくことが大切です。
緊急時の連絡方法を確認
◆災害伝言ダイヤルの使い方を覚えよう
携帯電話を持たせていても、災害が起きたときに通じなくなることがあるかもしれません。そんなときに備えて「災害用伝言ダイヤル」の使い方を確認しておきましょう。
携帯電話を持たせていても、災害が起きたときに通じなくなることがあるかもしれません。そんなときに備えて「災害用伝言ダイヤル」の使い方を確認しておきましょう。

災害用伝言ダイヤル(171番)は、毎月1日と15日など決められた日には、無料で体験利用することができます。また、日頃から公衆電話の使い方を練習しておくことも大切です。
◆待ち合わせの場所を具体的に決めましょう
避難が必要になった時のために、親子であらかじめ、待ち合わせの場所を決めておきましょう。
地震のあとは、公園などの避難場所は多くの人が集まってきます。「○○公園」というだけではなく、「○○公園の入り口の左側にあるいちょうの木」など具体的に決めておきましょう。
また、地震で道路が寸断されたりして、約束の場所に行けないことも考えられますので、待ち合わせの場所は優先順位を決めながら2、3か所ほど話し合っておくと安心かもしれません。
◆待ち合わせの場所を具体的に決めましょう
避難が必要になった時のために、親子であらかじめ、待ち合わせの場所を決めておきましょう。
地震のあとは、公園などの避難場所は多くの人が集まってきます。「○○公園」というだけではなく、「○○公園の入り口の左側にあるいちょうの木」など具体的に決めておきましょう。
また、地震で道路が寸断されたりして、約束の場所に行けないことも考えられますので、待ち合わせの場所は優先順位を決めながら2、3か所ほど話し合っておくと安心かもしれません。
ひとりでもひとりじゃない
1人きりで留守番するだけでも寂しいのに、犯罪や災害のリスクまで心配しなければならないのは、子どもにとって、とても酷なことかもしれません。
しかもまだ小さく、自分の不安な気持ちをうまく表現できないかもしれません。
自らも2人の子どもを小中学校と留守番させた経験がある清永さん。
子どもの気持ちに寄り添ってあげてほしいといいます。
自らも2人の子どもを小中学校と留守番させた経験がある清永さん。
子どもの気持ちに寄り添ってあげてほしいといいます。
清永奈穂さん
「お風呂に一緒に入ったり、寝る前に本を読んであげたり、ぎゅっと抱きしめてあげたり。いつも誰かが気にかけてくれている、そんな実感が子どもの大きな支えになります。家に帰ったら学校での出来事をいつもより多く聞いてあげたり、コミュニケーションをとったりして、何気ない会話の中から、お子さんの気持ちを推しはかってあげてください」
「お風呂に一緒に入ったり、寝る前に本を読んであげたり、ぎゅっと抱きしめてあげたり。いつも誰かが気にかけてくれている、そんな実感が子どもの大きな支えになります。家に帰ったら学校での出来事をいつもより多く聞いてあげたり、コミュニケーションをとったりして、何気ない会話の中から、お子さんの気持ちを推しはかってあげてください」
皆さんのお子さんの留守番の不安が少しでも解消されることを願っています。