判決のあと女性は記者会見し「別の教授に相談した際の2次加害が認められたことは意義があったと思いますが、大学が行った調査より後退した部分もあり、セクハラと認められなかった行為もあるので複雑な気持ちです」と話し、女性の弁護士は控訴するかどうか検討するとしています。
一方、渡部氏の代理人を務める弁護士は「判決は本人が発言を認めて反省している範囲での認定だったので、受け入れたい」としています。
早稲田大学は「極めてざんきに堪えない。ハラスメントはあってはならないものと考え再発防止に向けて取り組んでおり、再び同じような事案を起こさぬよう、再発防止策を講じていく。被害者に対しては、元教員がセクハラにあたる言動を行ったことについて心から深くおわび申し上げます」とコメントしています。
セクハラで元教授と早稲田大に60万円余の賠償命じる 東京地裁
文芸評論家で早稲田大学の大学院の教授だった渡部直己氏から繰り返しセクハラを受けたとして教え子だった女性が賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は一部の発言について「性的な観点の発言で、良好な環境で学習する利益を侵害した」と認め、渡部氏と大学側に総額で60万円余りの賠償を命じました。
7年前に早稲田大学文学学術院に入学した女性は、指導教員だった渡部直己元教授から体を触られたり性的な発言をされたりするセクハラを受けたうえ、大学側も適切な対応をしなかったとして渡部氏と大学側に賠償を求めました。
6日の判決で東京地方裁判所の中村心裁判長は「卒業したらおれの女にしてやる」といった一部の発言について「性的な観点からの発言で、良好な環境で学習する利益を侵害した」と認め、渡部氏と大学側に合わせて55万円の賠償を命じました。
また、女性から相談を受けた別の教授が「セクハラはもっとすごいものだ」とか「女性に隙がある」という趣旨の発言をしたことについても「被害が軽微で女性側にも原因があるとする発言で、適切な配慮を怠った」と指摘し、大学側にさらに5万円余りの支払いを命じました。
渡部氏はこの女性へのセクハラを理由に2018年に大学から解雇されています。
女性が会見「複雑な気持ち」
