セブン&アイ コンビニ好調で売上10兆円超 日本の小売業で初

流通大手「セブン&アイ・ホールディングス」のことし2月までの1年間の決算はグループ全体の売り上げが11兆円余りとなり、日本の小売業で初めて10兆円を超えました。物価高などの影響でスーパーとデパート事業は不振が続いたものの、好調なコンビニエンスストア事業が下支えしました。

発表によりますと、セブン&アイのことし2月までの1年間のグループ全体の決算は、売り上げが11兆8113億円となり、前の年より35%増えました。

日本の小売業で売り上げが10兆円を超えたのは初めてとなります。

主力のコンビニ事業が好調で、海外事業を拡大させたほか、国内でも自社ブランドの見直しなどで販売を伸ばしました。

最終的な利益は2809億円で、前の年より33%増えて過去最高となっています。

ただ、その一方で、▼総合スーパーの「イトーヨーカ堂」が原材料価格やエネルギー費用の高騰などで3年連続の最終赤字となったほか、▼デパートの「そごう・西武」では、4年連続の最終赤字となるなど、グループ内で業績の明暗が分かれています。

セブン&アイは、コンビニ事業に経営資源を集中するため、▼そごう・西武の売却を決めているほか、▼イトーヨーカ堂で店舗の大幅な削減を行い食品事業に集中するなどグループ戦略の見直しを進めています。

また、セブン&アイ・ホールディングスは、高級衣料品店の「バーニーズ ニューヨーク」を日本で展開する子会社のバーニーズジャパンのすべての株式を免税店などを展開するラオックスホールディングスに売却する契約を結んだことを発表しました。

社長ら退任求める株主提案“今月中旬めどに方向性を”

セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は、6日の決算説明会で、主要株主のアメリカの投資ファンドが井阪社長ら取締役4人の退任を求める株主提案を会社側に伝えたことについて、取締役会として議論したうえで、今月中旬をめどに方向性を示す考えを明らかにしました。

セブン&アイに対しては、主要株主であるアメリカの投資ファンド「バリューアクト・キャピタル」が好調なコンビニ事業とスーパー事業を分離するよう求めるとともに、先月下旬には、井阪社長ら4人の取締役の退任を求める株主提案を会社側に伝えました。

これについて、井阪社長は「会社にとってベストな構成がどのようなものなのかを考え、自己都合や保身を考えずに、取締役会の中でしっかりと議論している。4月中旬ぐらいになると思うが方向性が決まった段階で公表したい」と述べ、来月予定されている株主総会に向けて、検討結果を公表する考えを示しました。

そごう・西武の売却 “引き続き自治体や関係者と交渉”

また井阪社長は、傘下のデパート「そごう・西武」の売却をめぐって関係者との調整の遅れから売却時期を延期していることについて、引き続き、自治体や関係者との交渉を続けていく考えを示しました。

「そごう・西武」についてセブン&アイは主力のコンビニ事業に経営資源を集中するため、アメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」に売却することを決めましたが、関係者との調整が遅れ、当初、ことし2月1日としていた売却時期を2度にわたって延期し、現在は、時期が未定となっています。

井阪社長は今後の売却の見通しについて「交渉中なので、いつ実行できるのかを申し上げるのは差し控えたい」としたうえで「自治体や地権者などと丁寧に議論を続け、どのような形で何をすれば合意できるのかがかなり絞り込めてきている。合意した際には速やかに公表したい」と述べました。