このうちトルコでは、5万棟以上の建物が倒壊や取り壊しが必要な大きな被害を受け、今もおよそ250万人がテントでの避難生活を余儀なくされています。
コンテナの仮設住宅に入居できた人は7万人余りにとどまるなど住まいの確保が課題となる中、トルコ政府は1年以内におよそ32万世帯分の公営住宅を完成させるとしていて、復旧・復興を急ぎたい考えです。
ただ、甚大な被害を受けたトルコ南部のハタイ県では今もがれきの撤去が続いていて、地中海沿岸の都市イスケンデルンでは重機による建物の取り壊しや、がれきの中から家財道具を捜し出す人の姿が見られました。
被災地では住まいの確保に加え、がれきの撤去や水道などのインフラの復旧が課題となっていて、被災者の生活の再建にはほど遠い状況です。
イスケンデルンで避難生活を続ける妊娠7か月の20歳の女性は「避難している人の数に比べて仮設トイレが圧倒的に少なく感染症などが心配です。将来を考える余裕はありません」と話していました。
また、31歳の女性は「テントは雨が降ればぬれてつぶれ、風が吹けば飛ばされ、昼間は暑くて過ごせません。コンテナの仮設住宅に移りたいです」と訴えていました。

トルコ・シリア大地震から2か月 約250万人がテントで避難生活
ことし2月にトルコ南部で発生した大地震から6日で2か月となります。被災地では公営住宅の建設が進められる一方、今もおよそ250万人がテントでの暮らしを余儀なくされていて、被災者の生活の再建にはほど遠い状況です。
ことし2月6日にトルコ南部で発生した大地震ではトルコでおよそ5万人、隣国シリアでおよそ6000人の合わせておよそ5万6000人が死亡しました。

避難所でラマダン 炊き出しに長蛇の列
トルコやシリアの被災地では今、およそ1か月にわたりイスラム教徒が日中の飲食などを断つ断食月のラマダンのまっただ中です。
このうちトルコ南部イスケンデルンの公園に設けられた、2700人が身を寄せ合う避難所では、地元の自治体が日没後の断食明けの食事の炊き出しを行っています。
このうちトルコ南部イスケンデルンの公園に設けられた、2700人が身を寄せ合う避難所では、地元の自治体が日没後の断食明けの食事の炊き出しを行っています。

この避難所で夫と2人の子どもたちとテント暮らしを続けているファイゼ・ヤマンさん(43)は地震で夫の兄やいとこを亡くしました。
ヤマンさんは日中は断食をしながら、友人とともに壊れた自宅から持ち出したイスラム教の聖典コーランを読んだり、二度とこうした災害に見舞われないよう祈りをささげたりしています。
ヤマンさんは例年のラマダンでは、子どもたちが希望する日没後の食事を手作りしていましたが、ことしは調理器具もなく、食事は自治体の炊き出しに頼らざるをえません。
多くの人が日没とともに食事を始めようと、炊き出しに並ぶため、長蛇の列となります。
日没を知らせる礼拝の呼びかけが公園に響き渡る中、列が途切れることはなく、ヤマンさん一家がテントで食事を口にできたのは、日没から20分ほどたってからでした。
一方、被災地では先月半ば以降、たびたび大雨に見舞われていて、ヤマンさん一家のテントも浸水して、マットレスや服なども泥まみれとなり、テントも2回、張り替えました。
ヤマンさんは雨で濡れた毛布を干したり、地元当局から配られたコンクリートのブロックを地面に敷き詰めたりして、雨への対応にも追われていて、被災者の避難生活は厳しい状況が続いています。
ヤマンさんは「親せきを亡くし、街は見渡す限り壊れていて、悲しいです。来年のラマダンは自宅で迎え、平穏に断食明けの食事を用意したいです」と話していました。
ヤマンさんは日中は断食をしながら、友人とともに壊れた自宅から持ち出したイスラム教の聖典コーランを読んだり、二度とこうした災害に見舞われないよう祈りをささげたりしています。
ヤマンさんは例年のラマダンでは、子どもたちが希望する日没後の食事を手作りしていましたが、ことしは調理器具もなく、食事は自治体の炊き出しに頼らざるをえません。
多くの人が日没とともに食事を始めようと、炊き出しに並ぶため、長蛇の列となります。
日没を知らせる礼拝の呼びかけが公園に響き渡る中、列が途切れることはなく、ヤマンさん一家がテントで食事を口にできたのは、日没から20分ほどたってからでした。
一方、被災地では先月半ば以降、たびたび大雨に見舞われていて、ヤマンさん一家のテントも浸水して、マットレスや服なども泥まみれとなり、テントも2回、張り替えました。
ヤマンさんは雨で濡れた毛布を干したり、地元当局から配られたコンクリートのブロックを地面に敷き詰めたりして、雨への対応にも追われていて、被災者の避難生活は厳しい状況が続いています。
ヤマンさんは「親せきを亡くし、街は見渡す限り壊れていて、悲しいです。来年のラマダンは自宅で迎え、平穏に断食明けの食事を用意したいです」と話していました。
シリア 支援頼りにラマダン過ごす

内戦が続くシリアでは、アサド政権と対立する反政府勢力の支配地域となっている北西部を中心に地震による大きな被害がでて、およそ6000人が犠牲となりました。
このうちトルコとの国境に近い北西部の町ジャンデレスでは、数多くの建物が倒壊し、家を失った被災者はトルコ経由で届けられる人道支援物資が避難生活を続けるうえでの頼みの綱となっています。
国連は地震の発生を受けてアサド政権との合意で北西部への人道支援ルートを3つに増やしていて、これまでにおよそ3万2000トンの食料と310トン余りの医薬品が届けられたということです。
このうちトルコとの国境に近い北西部の町ジャンデレスでは、数多くの建物が倒壊し、家を失った被災者はトルコ経由で届けられる人道支援物資が避難生活を続けるうえでの頼みの綱となっています。
国連は地震の発生を受けてアサド政権との合意で北西部への人道支援ルートを3つに増やしていて、これまでにおよそ3万2000トンの食料と310トン余りの医薬品が届けられたということです。

ジャンデレスで暮らすナズラ・アブドラさん(35)もそうした支援を頼りにイスラム教の断食月、ラマダンを過ごしています。
ナズラさんは地震が発生したとき、当時、生後2か月半の次男のネイルーズちゃんの泣き声で目を覚まし、直後に大きな揺れに襲われました。
家族を起こしながらネイルーズちゃんを抱いて逃げましたが、家が崩れ、両親と夫、それに長男と長女の2人の子どもを失いました。
ナズラさんは地震が発生したとき、当時、生後2か月半の次男のネイルーズちゃんの泣き声で目を覚まし、直後に大きな揺れに襲われました。
家族を起こしながらネイルーズちゃんを抱いて逃げましたが、家が崩れ、両親と夫、それに長男と長女の2人の子どもを失いました。

ナズラさんも頭にけがを負い、いまはネイルーズちゃんと2人で避難所でのテント暮らしを続けています。
避難所にはおよそ1000世帯、4300人余りが身を寄せていてナズラさんは新たな地震への不安もありネイルーズちゃんから目を離せず、夜は1時間ほどしか眠れないということです。
それでも日中は断食をしていて、ナズラさんは断食を通じて亡くなった家族への祈りをささげるとともに喪失感からみずからの心が折れないようにと願いを込めていました。
内戦で故郷を追われ地震で家族を失う中、ナズラさんが思い出すのはかつて家族で囲んだラマダンの日没後の食卓だといいます。
避難所にはおよそ1000世帯、4300人余りが身を寄せていてナズラさんは新たな地震への不安もありネイルーズちゃんから目を離せず、夜は1時間ほどしか眠れないということです。
それでも日中は断食をしていて、ナズラさんは断食を通じて亡くなった家族への祈りをささげるとともに喪失感からみずからの心が折れないようにと願いを込めていました。
内戦で故郷を追われ地震で家族を失う中、ナズラさんが思い出すのはかつて家族で囲んだラマダンの日没後の食卓だといいます。

ナズラさんは「ラマダンでは夫や子ども、親戚も集まって楽しい時間を過ごしてきましたが、家族を亡くし、自分と赤ちゃんだけで過ごすラマダンはつらいです。内戦の被害を受け、さらに地震で多くを失い、私たちシリア人は死に慣れてしまった」と涙ながらに話していました。