【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる6日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

中仏首脳会談 ウクライナ情勢が焦点

フランスのマクロン大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談が6日夕方、北京で行われました。

会談の冒頭、習主席は「中国とフランスは、真の多国間主義を実践し、世界の平和と安定、それに繁栄を守る責任がある」と述べ、連携強化を呼びかけました。

そのうえで「今回の訪問は、中国とヨーロッパの関係発展の新たな原動力になると信じる」と強調しました。

これに対しマクロン大統領は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に触れ「ロシアに理性を取り戻させ、すべての関係者を交渉のテーブルに戻すためにあなたの役割に期待している」と呼びかけました。

マクロン大統領は、ロシアのプーチン大統領と親密な関係を築く習主席からウクライナでの和平に向けて協力を引き出したい考えで、具体的な進展があるかが焦点です。

両首脳は経済分野での協力をめぐっても意見を交わすとみられ、会談のあと合意文書に署名し、共同で記者発表に臨む予定です。

ポーランド フェンシング連盟がW杯中止

ポーランドのフェンシング連盟は、国際フェンシング連盟がロシアとベラルーシの選手の国際大会の復帰を許可したことを受けて、今月下旬に開催する予定だったワールドカップの中止を決めたと発表しました。

ポーランドフェンシング連盟は今月21日から3日間、ポーランド国内で女子フルーレのワールドカップを開催する予定でした。

しかし、ウクライナへの軍事侵攻により、国際大会から除外されていたロシアとベラルーシの選手の復帰を国際フェンシング連盟が先月認めたことを受け、ポーランドの連盟は5日、ワールドカップの中止を決定したと発表しました。

国際フェンシング連盟が決めたロシアとベラルーシの選手の復帰に反発する動きはヨーロッパ各地で広がっていて、ドイツやフランスの連盟もすでにワールドカップの中止を決めています。

ウクライナ高官「クリミア進軍など条件整えば交渉用意も」

ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナが、この春にも大規模な反転攻勢に乗り出すとみられるなか、ウクライナ大統領府の高官は、奪還を目指す南部クリミアにまで軍の部隊を進めるなど、有利な条件が整えばロシア側と交渉に応じる用意があると示唆しました。

ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナ側は、欧米側から供与された戦車などの兵器を使ってこの春にも大規模な反転攻勢に乗り出すとみられています。

これに関連してウクライナ大統領府で外交政策を担当しているアンドリー・シビハ副長官は、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズの5日付けの電子版に掲載されたインタビューで「もしわれわれが戦場で戦略的な目標を達成し、クリミアとの行政上の境に到達すれば、この問題を議論する外交のページを開く用意がある」と述べました。
この発言は、ウクライナ軍が、奪還を目指す南部クリミアにまで部隊を進めるなど、
ウクライナにとって有利な条件が整えばロシア側と交渉に応じる用意があると示唆したものです。

一方、シビハ副長官は「軍によるクリミア解放の道を排除するという意味ではない」とも述べ軍事力でクリミア奪還を目指す計画も議論されていると強調しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は5日「この戦争において譲歩はしない」と述べるなどウクライナは、あらゆる手段を尽くしてロシアに占領された領土の奪還を目指す方針とみられます。

ゼレンスキー大統領 ポーランド訪問 領土奪還へ支援強化を訴え

ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、ポーランドのドゥダ大統領と首都ワルシャワで会談し「われわれの勝利に向けたすべての支援に感謝したい」と述べ、これまで積極的に兵器の供与や避難民の受け入れを進めてきたポーランドの対応に謝意を示しました。
これに対しドゥダ大統領は「ヨーロッパや世界のあらゆる場で現状を伝え、すべての関係国を動かしウクライナを支援している」と述べ、自国による兵器の供与だけでなく各国の支援強化に向けた流れを作っていると強調しました。
さらにドゥダ大統領は共同会見で、ウクライナに旧ソビエト製のミグ29戦闘機をすでに4機引き渡し、あわせて14機の供与を目指していると明らかにするとともに、ことし7月に行われる予定のNATO=北大西洋条約機構の首脳会議ではウクライナに対する追加の軍事支援を求める考えも示しました。
これに対してゼレンスキー大統領は、ウクライナ側が早ければ今月中にも大規模な反転攻勢を始めるともされるなか「もっと多くの兵器をもっと早く入手できれば状況を変えられる」と述べ、領土の完全奪還に向けた支援を急ぐとともにいっそう強化して欲しいと訴えました。

ポーランドはウクライナに積極的に軍事支援

専門家 “ポーランドは軍事支援強化の流れつくる役割”
ゼレンスキー大統領が訪問したポーランドは、ドイツ製の主力戦車「レオパルト2」や旧ソビエト製のミグ29戦闘機をウクライナに供与するなど積極的に軍事支援を続けています。

ドイツのシンクタンクによりますと、国ごとのGDP=国内総生産に占める支援総額の割合はアメリカやドイツを上回っています。

ポーランドはなぜ支援に力を入れる? 専門家の見方

ポーランドが支援に力を入れる背景について、ロシアに駐在した経験もあるポーランドの元外交官で外交評論家のビトルド・ユーラシュ氏はNHKの取材に対して「私たちは、ロシアが何たるかを知っている。ロシアの侵略に苦しんでいる人がいれば私たちは助ける」と述べました。

そのうえで「ポーランドとウクライナの見方は似ている。ロシアにウクライナの征服を許してしまえば、そこで止まることはないという圧倒的に強い確信がある」と述べ、ポーランドは、第2次世界大戦でソビエトに占領された歴史からロシアへの警戒感が強く、自国の安全保障のためにも支援の必要性を強く認識しているとしています。

専門家「ポーランドは軍事支援強化の流れを作る」

ポーランドが「レオパルト2」の供与をいち早く表明し、慎重だったドイツが追随するかたちで表明したことに触れ、「ドイツやフランス、イタリアなどロシアに伝統的に近かった国も兵器を送り、ロシアをナイーブに見ることをやめた。この点でポーランドはかなり重要だ」と述べ、ポーランドは、軍事支援を強化する流れをつくる役割を担っていると強調しました。

さらにユーラシュ氏は「欧米の支援はウクライナが領土を部分的に奪還することを可能にしたが、すべての領土を取り戻すには十分ではない。ポーランドは、できる限りの兵器システムを供与するようアメリカを含む欧米側に圧力をかけたいと強く考えている」と述べ、ポーランド政府は引き続き各国に対して支援の強化を訴えていくとしています。

一方、ウクライナとポーランドの首脳会談が行われた同じ日にロシアのプーチン大統領がベラルーシの大統領と会談するなど、最近の外交の動きについて「日本の総理大臣がウクライナのキーウに行った同じ日に中国の習近平国家主席がモスクワを訪れたことと似ている。世界がいかに分断しているかを示している」と述べました。

プーチン大統領 戦術核兵器配備合意のベラルーシ大統領と会談

ロシアのプーチン大統領は5日、同盟関係にある隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領をモスクワのクレムリンに招き会談を行いました。

会談の冒頭でプーチン大統領は、両国が連携して対処すべき多くの課題を話し合うとしたうえで「国際社会での協力関係や両国の安全保障問題も含まれる」と述べました。

プーチン大統領はベラルーシに戦術核兵器を配備すると先月表明していて、両首脳は配備に向けても意見を交わしたものとみられます。

プーチン大統領 ロシア駐在大使に演説「米が危機招いた」

プーチン大統領はロシア駐在の新任の大使らを前に演説しました。

アメリカのトレーシー大使も出席する中でプーチン大統領は「世界の安全保障と安定に直結する、ロシアとアメリカの関係は残念ながら深刻な危機にひんしている。アメリカが2014年にウクライナでクーデターを支援したことが現在の危機を招いたと言わざるをえない」と主張しアメリカを強く批判しました。

林外相 NATO会合に出席 連携強化図る考えを強調

今月4日からベルギーを訪問した林外務大臣は日本時間の5日夜、NATOと日本などのパートナー国による外相会合に出席しました。

そして、中国を念頭に東シナ海などで力による一方的な現状変更の試みが強化されていると指摘し、NATOをはじめとする同盟国や同志国との連携強化を図る考えを強調しました。

会合のあと林大臣は記者団に対し「法の支配に基づく国際秩序の維持・強化に向け、日本とNATOの協力をさらなる高みに引き上げたい」と述べました。

また滞在中、各国の外相などと個別に会談し、このうちウクライナのクレバ外相との会談では、岸田総理大臣のウクライナ訪問に触れ、今後も着実に支援を行っていく考えを伝えました。

G7=主要7か国の議長国を務める日本としては、今月16日から長野県軽井沢町で開かれるG7外相会合や、来月の広島サミットで、今回の会合も踏まえてウクライナ情勢やインド太平洋地域の情勢をめぐる議論を主導したい考えです。

プーチン大統領 併合したウクライナ4州の治安対策徹底を指示

プーチン大統領は5日、安全保障会議を開き、去年一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部と南部の4州について治安対策を徹底するよう関係閣僚などに指示しました。

閣僚らがオンラインで出席する一方で、プーチン大統領の両脇には4州の支配地域の親ロシア派の代表らが座る様子が国営メディアで映し出されました。これらの地域についてロシアが支配を維持する姿勢を強調した形です。

またロシア第2の都市サンクトペテルブルクにあるカフェで今月2日、爆発が起きたなか、安全保障会議では国内の治安情勢を巡っても協議し、プーチン大統領は「ウクライナがロシア側に仕掛けている破壊工作やテロ行為の準備には、欧米の情報機関が関与していると言える十分な根拠がある」と述べました。

NATO外相会合 事務総長 “地域こえた協力 重要さ増している”

NATOは5日、ベルギーで開いた外相会合に日本などインド太平洋のパートナー4か国を招き、ロシアによるウクライナ侵攻が世界におよぼす影響や、ロシアと中国が連携を深めている状況などについて意見を交わしました。

会合のあとの記者会見でストルテンベルグ事務総長は「中国とロシアがルールに基づく国際秩序に抵抗しようとしているいま、NATO加盟国が、そしてNATOと同志国が結束することがいっそう重要になっている」と述べて、地域をこえた協力が重要さを増しているという認識を示しました。

NATOは、ことし7月にリトアニアで予定している首脳会議にも日本などを招待しているとしています。

またストルテンベルグ事務総長は、ロシアが同盟関係にある隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備すると表明していることについて「今のところ、ロシアの核兵器の配備に関して変化は見られないが、われわれは警戒し彼らの行動を注視している」と強調しました。