松野官房長官は、午後の記者会見で「国際社会が地政学的競争や地球規模課題の深刻化といった複合的危機に直面する中、開発協力の果たす役割が重要になると同時に、透明かつ公正なルールに基づいた協力が求められている」と指摘しました。
そのうえで「大綱の改定は時代の変革に対応し、開発協力を一層、効果的、戦略的に活用していくためのものだ。今後、パブリックコメントの意見も踏まえ、策定に向けた作業を続けていく」と述べました。
政府がODA改定案 相手国の要請待たず支援 技術生かす提案型に
政府は、ODA=政府開発援助の指針を定めた「開発協力大綱」の改定案をまとめました。
日本の強みである技術力を生かし、相手国の要請を待たずに協力を提案する「オファー型」の支援によって、より戦略的に途上国などのニーズに応える方針を打ち出しています。
政府は、ODAの理念や指針を定めた「開発協力大綱」について、8年ぶりとなる見直しを進め、ことし6月までに改定することにしています。
5日に公表された改定案によりますと、国際社会は気候変動問題やロシアによるウクライナ侵攻など複合的な危機に直面していて、日本のODAが果たす役割は一層、重要になっているとしています。
そのうえで、日本の強みである技術力を生かし、相手国の要請を待たずに積極的に協力を提案する「オファー型」の支援によって、機材の提供や施設の建設といったハード面だけでなく、人材育成などソフト面の協力も組み合わせ、より戦略的に途上国などのニーズに応える方針を打ち出しています。
さらに、中国が途上国に対して返済できないほどの貸し付けを行っていることなどを念頭に「相手国の債務の持続可能性に十分配慮する」と明記しています。
日本の今年度のODA予算は5700億円余りと、厳しい財政状況などからピークの1997年度から半減していて、政府としては戦略的な支援によって途上国などとの関係強化につなげたい考えです。
松野官房長官「時代の変革に対応」
