クマに襲われ女性が大けが クマ見つからず警戒 北海道 厚岸町

北海道厚岸町で犬の散歩をしていた女性がクマに襲われ、頭や足をかまれて大けがをしました。クマは見つかっておらず、警察などが警戒を続け、注意するよう呼びかけています。

1日午前8時20分ごろ、北海道東部の厚岸町太田の農道で犬の散歩をしていた隣接する釧路町に住む30代の看護師の女性がクマに襲われました。

警察によりますと、女性は、頭や太ももをかまれて大けがをして、ドクターヘリで病院に搬送されたということです。意識はあるということです。

現場は厚岸湾から内陸に3キロ余りの牧場などが多くある地域で、地元のハンターや町の職員が捜索を行いましたがクマは見つかっておらず、警察がパトカーを出して警戒しています。

町も、防災無線を通じて住民に注意を呼びかけています。

北海道内では1日、八雲町と新冠町でもクマの目撃が相次いだほか、小平町の海岸ではクマの足跡が見つかっています。

ことしは特に雪どけが早くクマの活動開始が早まることが予想されていて、北海道は山に入るときは2人以上で行動するなど、注意を呼びかけています。

現場近くの女性「早く捕まってほしい」

厚岸町の現場では、町役場の職員がクマが出没したことを知らせる看板を設置して注意を呼びかけています。

厚岸町環境林務課の真里谷隆課長は「今シーズン、町内で初めての被害だ。山菜採りでは1人で山に入らないことやクマ用の鈴を持ち歩くなど対策をしてもらいたい」と話していました。

現場近くで1人暮らしをしている85歳の女性は「警察から家から出ないように言われたので、玄関の鍵を閉めてきょうは家から出ないことにしました。以前からクマが出るとは言われていましたが、早く捕まってほしいです」と話していました。

また、厚岸警察署はパトカー4台を出して警戒にあたり、現場付近でも赤色灯を回しながらパトロールしていました。

4月5月は「春のヒグマ注意特別期間」北海道が注意呼びかけ

冬眠から覚めたヒグマに遭遇する事故を防ぐため、北海道は1日から来月末までを「春のヒグマ注意特別期間」として、山に入るときは2人以上で行動するなど、注意を呼びかけています。

北海道によりますと、道内でヒグマに襲われた被害者は平成元年からことし1月末までに58人にのぼり、月別でみると、4月と5月の被害者はあわせて19人と全体のおよそ3割に上っています。

この期間は、ヒグマが冬眠から覚める時期と山菜採りのシーズンが重なって被害が多くなることから、道は、きょうから来月末までを「春のヒグマ注意特別期間」として、注意の呼びかけを強化します。

具体的には山に入るときには事前に道や市町村のホームページでヒグマの出没情報を確認し、クマよけの鈴や笛など音の出るものを鳴らして2人以上で行動すること、ふんや足跡を見つけたらすぐに引き返すことを呼びかけています。

北海道の野生動物対策課ヒグマ対策室は「ことしは雪どけが早く、ヒグマが早く活動を開始することが予想される。山では大きな声を出したり手をたたいたりすることでもヒグマとの遭遇の確率を減らすことができる。ヒグマに遭遇しないよう十分に気をつけてほしい」と話しています。