高校野球 センバツ準決勝【詳しく】山梨学院 山梨勢初の決勝へ

センバツ高校野球、準決勝の第1試合は山梨学院が広島の広陵高校に6対1で勝ちました。山梨学院は山梨県勢として春夏通じて初めて甲子園の決勝に進出しました。

※記事後半ではイニングごとの詳しい試合経過もお伝えします。

ーーーー 123 456 789 計 HE
山梨学院 010 000 005 6130
広  陵 100 000 000 1100

試合は1回、広陵が4番・小林隼翔選手の犠牲フライで先制すると、山梨学院は直後の2回に6番・進藤天選手の犠牲フライで同点に追いつきました。
その後は、広陵の2年生、高尾響投手と、山梨学院の林謙吾投手の両エースがランナーを出しながらも要所を締めて得点を許さず、1対1の同点のまま9回を迎えました。
山梨学院は、ヒットと送りバントで1アウト二塁のチャンスをつくると、4番の高橋海翔選手がセンターにタイムリーヒットを打って勝ち越しに成功しました。山梨学院はこの回打者一巡の猛攻で、一挙に5点を奪うと、そのウラを林投手が抑えて、6対1で勝ちました。
山梨学院は山梨県勢として春夏通じて初めての決勝進出です。一方、広陵は20年ぶりとなる決勝進出はなりませんでした。

決勝打 山梨学院 高橋海翔選手「後ろに回す気持ちで」

9回表に決勝のタイムリーヒットを打った山梨学院の4番、高橋海翔選手は「自分が決めるという気持ちはなくて、後ろに回す気持ちでした。打った感触は覚えていませんが、とにかく食らいつきました。大歓声は聞こえていて気持ちよかったです。決勝タイムリーを自分が打てて、とてもうれしい」と話していました。9回1失点と好投したエースの林謙吾投手とは試合後に会話し「“なぜ、俺がインタビューじゃないんだ”と言われました。“俺が打ったからだよ”と答えました」と笑顔を見せました。山梨県勢初の決勝に向けては「きょうの準決勝を決勝だと思って全力でいったので、あしたのことは、特に考えていませんが、きょうみたいな、諦めないで1点、1点をもぎとる試合をしたいです」と意気込みを語りました。

山梨学院 林謙吾投手「2回以降は落ち着くことができた」

10本のヒットを打たれながらも1失点で完投した山梨学院のエース、林謙吾投手は「1回は力みがあって制球が乱れてしまいましたが、ランナーを出した時に『いつも通りだな』と割り切ることができたので、2回以降は落ち着くことができました」と振り返りました。吉田洸二監督からは相手の力が数段上だから立ち向かう気持ちで行けと言われていたということで「勝っても負けてもいいという気持ちになれたことも大きかったです」と、冷静なピッチングの要因を語りました。山梨県勢として春夏通じて初めての決勝進出になったことについては「多くの人が応援してくれて、それがプレシャーではなく、すべて力になったのですごく感謝しています。自分たちはチャレンジャーだと割り切って、自分のピッチングを崩さずに冷静に投げていきたいです」と、あすの決勝を見据えていました。

山梨学院 吉田洸二監督「これが決勝戦だと思って」

山梨県勢として春夏通じて初めての決勝進出を決めた山梨学院の吉田洸二監督は、「これが決勝戦だと思って、力はずいぶん相手が上なので前半、中盤とついていって相手に焦ってもらう試合展開にしようと話していて、そういう形になりました。きょうは、前回の試合同様、複数の点数を与えないということで全員で取り組みました」と振り返りました。その上で9回1失点と好投した林謙吾投手について「この大会、甲子園で育てて頂いて、本来の力が十分に出せたと思います」と話しました。そして、あすの決勝に向けて「この勢いを大事にしながら、今大会は力を出し切るというテーマで来ているので、最後まで初志貫徹して、その気持ちでいきたいです」と話していました。

広陵 中井哲之監督「追加点取れず厳しい展開に」

広陵の中井哲之監督は「先発の高尾響投手が非常に粘り強く投げてくれていましたが、追加点がなかなか取れず厳しい展開になりました。ただ、ストライクを取りにいくボールを打たれてしまっていたので、そこは反省点だと思います」と試合を振り返りました。ノーヒットに終わった、主軸の真鍋慧選手については「打てなかった悔しさを自分の練習に生かしていくことを期待したいと思います」と話しました。そのうえで「夢の舞台でよい経験をさせてもらったので、また広島に帰って、しっかり選手とともに、全ての面をレベルアップして頑張りたいと思います」と夏の大会を見据えていました。
広陵のエースで2年生の高尾響投手は「2回に1点を取られて、そこからはしっかり抑えられたのでよかったのですが、9回に抑えることができずに課題だと感じました。変化球にしっかり対応されてしまいました」と試合を振り返りました。そのうえで「甲子園のムードにのまれないようなピッチングが必要だと思いました。9回を投げ切ることができて最小失点に抑えられるようなピッチャーになりたいです」と夏に向けた決意を話していました。

《試合経過》

11:00 試合開始

午前11時、センバツ高校野球の準決勝 第1試合、山梨学院 対広島の広陵高校の試合が始まりました。先攻は山梨学院、後攻が広陵です。山梨学院は、山梨県勢として春夏通じて初めての決勝を目指します。広陵は優勝した2003年以来、20年ぶりの決勝を目指します。

【1回表】山梨学院 三者凡退 山梨学院0-0広陵

1徳弘 空振り三振
2星野 ライトフライ
3岳原 レフトフライ

★【1回ウラ】広陵が犠牲フライで1点先制 山梨学院0-1広陵

広陵は4番・小林選手の犠牲フライで1点を先制しました。

1田上 ライトへのツーベースヒット
2谷本 送りバント成功
3真鍋 フォアボール(1アウト一塁三塁)
4小林 ライトへの犠牲フライ
(山梨学院0-1広陵)
5中尾 ピッチャーフライ

★【2回表】山梨学院 犠牲フライで追いつく 山梨学院1-1広陵

山梨学院は6番・進藤選手の犠牲フライで、すぐさま同点に追いつきました。

4高橋 センター前ヒット
5佐仲 ライトフライ(ランナー 暴投で二塁へ。その後タッチアップで1アウト三塁)
6進藤 センターへの犠牲フライ
(山梨学院1-1広陵)
7大森 ライトフライ

【2回ウラ】広陵 ランナー出すも併殺で無得点 山梨学院1-1広陵

広陵はヒットでランナーが出ましたが、ダブルプレーに打ち取られ無得点に終わりました。

6只石 センターフライ
7松下 センター前ヒット
8濱本 セカンドゴロでダブルプレー

【3回表】山梨学院 三者凡退 山梨学院1-1広陵

8林 センターフライ
9伊藤 ライトフライ
1徳弘 空振り三振

【3回ウラ】広陵 ランナー2人出すも無得点 山梨学院1-1広陵

3回ウラ、広陵は1アウト一塁三塁のチャンスを作りましたが、3番と4番が連続三振で得点を奪えませんでした。

9高尾 ライト前ヒット
1田上 バント成功
2谷本 ライト前ヒット(1アウト一塁三塁)
3真鍋 空振り三振(2アウト一塁三塁)
4小林 三振

【4回表】山梨学院 2イニング続けて三者凡退 山梨学院1-1広陵

2星野 ショートゴロ
3岳原 空振り三振
4高橋 レフトフライ

【4回ウラ】広陵 ランナー出すも無得点 山梨学院1-1広陵

4回ウラ、広陵はヒットが出ましたが、後続が打ち取られ無得点でした。

5中尾 セカンドゴロ
6只石 ライト前ヒット
7松下 キャッチャーフライ
8濱本 センターフライ

【5回表】山梨学院 ランナー出すも得点ならず 山梨学院1-1広陵

5回表、山梨学院は6番・進藤選手がヒットで出ましたが得点はなりませんでした。

5佐仲 レフトフライ
6進藤 センター前ヒット
7大森 送りバント失敗 ランナーアウト バッター一塁セーフ
8林 ショートゴロ

【5回ウラ】広陵 この回もランナー出すも無得点 山梨学院1-1広陵

5回ウラ、広陵は2番・谷本選手のヒットと盗塁で2アウト二塁のチャンスを作りましたが、注目の3番・真鍋選手が抑えられ得点は奪えませんでした。

9高尾 セカンドフライ
1田上 ライトフライ
2谷本 センター前ヒット(その後、盗塁で2アウト二塁)
3真鍋 サードファウルフライ

【6回表】山梨学院 ランナー二塁も無得点 山梨学院1-1広陵

6回表、山梨学院は2アウトから2番・星野選手のツーベースヒットで得点圏にランナーを出しましたが、後続が倒れ、得点を奪えませんでした。

9伊藤 空振り三振
1徳弘 空振り三振
2星野 センターオーバーのツーベースヒット(2アウト二塁)
3岳原 空振り三振

【6回ウラ】広陵 チャンスも得点奪えず 山梨学院1-1広陵

6回ウラ、広陵はヒットと相手のワイルドピッチで1アウト三塁と勝ち越しのチャンスを作りましたが、後続が倒れて得点は奪えませんでした。

4小林 レフト前ヒット
5中尾 送りバント成功
6只石 ワイルドピッチでランナー三塁へ→空振り三振
7松下 セカンドゴロ

【7回表】山梨学院 3安打も無得点 山梨学院1-1広陵

7回表、山梨学院は2アウトから6番・進藤選手がツーベースヒットで出て、続く大森選手がセンター前ヒットを打ちましたが、センターからの好返球でホーム、タッチアウトとなり、得点を奪えませんでした。
4高橋 ライト前ヒット→盗塁失敗
5佐仲 ショートフライ
6進藤 レフトライン際へツーベースヒット(2アウト二塁)
7大森 センター前ヒットもセンターからの好返球でホーム タッチアウト

【7回ウラ】広陵 ランナー出すも無得点 山梨学院1-1広陵

7回ウラ、広陵は9番の高尾投手が内野安打で出塁しましたが、無得点に終わりました。

8田村 ピッチャーゴロ
9高尾 内野安打
1田上 センターフライ
2谷本 空振り三振

【8回表】山梨学院 内野ゴロ3つで三者凡退 山梨学院1-1広陵

8林 ショートゴロ
9伊藤 ショートゴロ
1徳弘 セカンドゴロ

【8回ウラ】2アウト一塁二塁も得点ならず 山梨学院1-1広陵

8回ウラ、広陵は2アウトからヒットとデッドボールで一塁二塁のチャンスを作りましたが、7番の松下選手が見逃し三振で得点できませんでした。

3真鍋 センターフライ
4小林 セカンドフライ
5中尾 ライト前ヒット
6只石 デッドボール(2アウト一塁二塁)
7松下 見逃し三振

★【9回表】山梨学院が勝ち越し 山梨学院6-1広陵

9回表、山梨学院はランナー二塁のチャンスで4番・高橋選手がタイムリーヒットを打って勝ち越しに成功しました。
さらに続く佐仲選手がタイムリースリーベースヒット、進藤選手がタイムリーツーベースヒットを打つなど、打者一巡の猛攻で一挙に5点を奪い6対1とリードしました。
2星野 レフト前ヒット
3岳原 送りバント成功
4高橋 センター前へタイムリーヒット
(山梨学院2-1広陵)
5佐仲 ライト線へタイムリースリーベースヒット
(山梨学院3-1広陵)
6進藤 レフトオーバーのタイムリーツーベースヒット
(山梨学院4-1広陵)
7大森 ショートフライ
8林 ライト前ヒット
9伊藤 ショート後方へのヒット
(山梨学院5-1広陵)
1徳弘 ライトへタイムリーツーベースヒット
(山梨学院6-1広陵)
2星野 空振り三振

【9回ウラ】広陵 この回もヒット出るも無得点 山梨学院6-1広陵

9回ウラ、広陵は2アウトから1番の田上選手がセンター前ヒットを打ちましたが、続く2番の谷本選手がファーストゴロに打ち取られました。山梨学院が広陵に6対1で勝って決勝に進みました。山梨学院は、山梨県勢として春夏通じて初の決勝進出です。

8高橋 ファーストフライ
9倉重 ショートフライ
1田上 センター前ヒット
2谷本 ファーストゴロ
(試合終了)

山梨学院 大森選手の兄が声援

山梨学院のアルプススタンドではメンバーのうち、山梨県出身として、ただ1人先発出場した、大森燦選手の4歳年上の兄、開さんが、大きな声援を送りながら試合を見届けました。開さんは山梨学院の野球部出身で、自身は甲子園への出場は叶いませんでしたが、その後、山梨学院大学へ進学し、現在は野球部で学生コーチを務めています。これまでの試合はテレビで観戦してきましたが、準決勝は初めて、友人とともに甲子園を訪れ、弟の打順が回ってくると、メガホンを力いっぱい打ち鳴らしてエールを送っていました。そして、7回に大森選手がセンター前にヒットを打つと、飛び跳ねて喜んでいました。開さんは「弟がこの場に立っていることが誇らしいです。打席が来ると、もう心臓がバクバクです。アルプスから『がんばれ燦!』と伝えたい」と話していました。

《先発メンバー》

山梨学院【先攻】

1(右)徳弘太陽
2(中)星野泰輝
3(左)岳原陵河
4(一)高橋海翔
5(捕)佐仲大輝
6(遊)進藤天
7(二)大森燦
8(投)林謙吾
9(三)伊藤光輝

広陵【後攻】

1(中)田上夏衣
2(三)谷本颯太
3(一)真鍋慧
4(遊)小林隼翔
5(左)中尾湊
6(捕)只石貫太
7(二)松下水音
8(右)濱本遥大
9(投)高尾響

《見どころ》

山梨学院は、春夏通じて初のベスト4に進み、勝てば山梨県勢として春夏通じて初めての決勝進出となります。エースの林謙吾投手は、ここまでの4試合すべて先発し、このうち2試合で完投するなどほぼ1人で投げ抜いているチームの大黒柱で、与えたフォアボールとデッドボールは、わずか2つと抜群の安定感をみせています。また、打線も準々決勝でヒット14本を打ち12得点を上げるなど好調です。

広陵は強力打線がここまでの3試合で17得点をあげ、13年ぶりに準決勝に進出しました。注目の強打者、真鍋慧選手は初戦でヒット3本と活躍し、準々決勝でも長打2本を含む3本のヒットを打っていて、打線の中心です。

山梨学院のエース・林投手と、広陵の強力打線の対決、どちらが上回るのか注目です。

【山梨学院 今大会成績】

▽1回戦 3-1 東北
▽2回戦 4-1 氷見
▽3回戦 7-1 光
▽準々決勝 12-3 作新学院

▼得点(1試合平均)6.5
▼チーム打率.319
▼ホームラン0
▼犠打・犠飛13
▼盗塁6
▼失点(1試合平均)1.5
▼失策3

【広陵 今大会成績】

▽2回戦 5-0 二松学舎大付
▽3回戦 3-2 海星
▽準々決勝 9-2 専大松戸

▼得点(1試合平均)5.7
▼チーム打率.343
▼ホームラン0
▼犠打・犠飛6
▼盗塁6
▼失点(1試合平均)1.3
▼失策4