アメリカ・ニューヨーク州、マンハッタン地区の大陪審は30日、トランプ氏を起訴しました。
罪状は明らかになっていませんが、トランプ氏をめぐっては、トランプ氏と不倫関係にあったと主張するポルノ女優に口止め料が支払われた問題について、検察が捜査を進めていました。
アメリカメディアによりますと、大統領経験者が起訴されるのは史上初めてだということです。
また検察は「トランプ前大統領の弁護士と連絡をとり、起訴された罪について罪状認否のためのトランプ氏の出頭について調整を始めた」と発表しました。
アメリカの複数のメディアはトランプ氏の弁護士の話として、来週4日にもトランプ氏が出頭要請に応じる可能性があると伝えています。
起訴されたことについて、トランプ前大統領は声明を発表し「これは歴史上最大の政治的迫害と選挙への介入だ。民主党は、完全に無実な人間を起訴するという考えられないことをやった。この魔女狩りは、バイデンにとてつもない形で跳ね返ってくるだろう」としています。
トランプ氏は、来年行われる大統領選挙への立候補を表明していて、今後の選挙戦やアメリカ政治にどのような影響が出るのか注目されています。
トランプ前大統領 NY州大陪審が起訴 4日にも出頭の可能性
アメリカ・ニューヨーク州の大陪審は30日、トランプ前大統領を起訴しました。罪状は明らかになっていませんが、大統領経験者が起訴されるのは史上初めてです。
アメリカの複数のメディアはトランプ氏の弁護士の話として、来週4日にもトランプ氏が出頭要請に応じる可能性があると伝えています。
“大統領経験者の起訴 史上初めて”
口止め料めぐる問題とは
トランプ氏の罪状は明らかになっていませんが、アメリカのAP通信は、ニューヨーク州の大陪審は数週間、2016年にかつてトランプ氏と不倫関係にあったと主張するポルノ女優に口止め料として13万ドルが支払われた問題へのトランプ氏の関わりについて調べていたと伝えています。
AP通信によりますと、トランプ氏の側近だった元顧問弁護士のコーエン氏が口止め料を支払い、トランプ氏の会社は、コーエン氏への返済を「弁護士費用」として帳簿に記載していたということです。
その上で、AP通信は複数の専門家の話として、トランプ氏が業務記録を改ざんした罪で起訴された可能性があると指摘しています。
そして、その場合、改ざんが別の犯罪を隠すためなどに意図的に行われたかどうかが焦点になるとの見方を伝えています。
AP通信によりますと、トランプ氏の側近だった元顧問弁護士のコーエン氏が口止め料を支払い、トランプ氏の会社は、コーエン氏への返済を「弁護士費用」として帳簿に記載していたということです。
その上で、AP通信は複数の専門家の話として、トランプ氏が業務記録を改ざんした罪で起訴された可能性があると指摘しています。
そして、その場合、改ざんが別の犯罪を隠すためなどに意図的に行われたかどうかが焦点になるとの見方を伝えています。
捜査指揮する検事に白い粉が入った封筒
口止め料が支払われた問題について捜査を指揮しているアルビン・ブラッグ検事は、2022年に黒人として初めてニューヨーク州マンハッタン地区検察の検事として就任しました。
海外メディアによりますと、今月24日にはブラッグ検事宛に殺害予告とともに、白い粉が入った封筒が届く事案があり、警察はトランプ前大統領に関する捜査との関連を調べています。
トランプ前大統領はブラッグ検事についてこれまでにみずからのSNSで、「この国にとって危険な存在で、今すぐ解任されるべきだ」と投稿するなど強く批判しています。
海外メディアによりますと、今月24日にはブラッグ検事宛に殺害予告とともに、白い粉が入った封筒が届く事案があり、警察はトランプ前大統領に関する捜査との関連を調べています。
トランプ前大統領はブラッグ検事についてこれまでにみずからのSNSで、「この国にとって危険な存在で、今すぐ解任されるべきだ」と投稿するなど強く批判しています。
トランプ氏めぐり別の捜査も進む
トランプ氏をめぐっては、ほかにも司法当局による捜査が進められています。
司法省は去年11月、特別検察官を任命し、
▽南部フロリダ州のトランプ氏の自宅から最高機密を含む複数の機密文書が見つかった問題や、
▽2021年、連邦議会にトランプ氏の支持者らが乱入した事件への関与について捜査を続けています。
また、トランプ氏が3年前の大統領選挙で敗れた南部ジョージア州の結果を覆すよう、州当局に圧力をかけた疑いでも州の検察が捜査しています。
司法省は去年11月、特別検察官を任命し、
▽南部フロリダ州のトランプ氏の自宅から最高機密を含む複数の機密文書が見つかった問題や、
▽2021年、連邦議会にトランプ氏の支持者らが乱入した事件への関与について捜査を続けています。
また、トランプ氏が3年前の大統領選挙で敗れた南部ジョージア州の結果を覆すよう、州当局に圧力をかけた疑いでも州の検察が捜査しています。
トランプ前大統領が声明「歴史上最大の政治的迫害」
トランプ前大統領は声明を発表し「これは歴史上最大の政治的迫害と選挙への介入だ。民主党は、完全に無実な人間を起訴するという考えられないことをやった。この魔女狩りはバイデンにとてつもない形で跳ね返ってくるだろう」としています。
また、自身が関係する企業が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し「これはかつてない規模の国家に対する攻撃だ。自由かつ公正だった選挙に対する継続的な攻撃でもある。アメリカは今や三流国家だ」として強く反発しています。
また、自身が関係する企業が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し「これはかつてない規模の国家に対する攻撃だ。自由かつ公正だった選挙に対する継続的な攻撃でもある。アメリカは今や三流国家だ」として強く反発しています。
共和党 マッカーシー下院議長「先例のない権力の乱用」
野党・共和党のマッカーシー下院議長はツイッターに投稿し「大統領選挙への介入の試みであり、われわれの国に取り返しのつかない損害を与えた」として、トランプ前大統領と不倫関係にあったと主張する女性に口止め料が支払われた問題について捜査しているニューヨーク州のマンハッタン地区の検事、ブラッグ氏を強く批判しました。
その上で「アメリカ国民はこの不当な行為を許容することはない。議会下院は、ブラッグ氏の先例のない権力の乱用の責任を追及する」と対決姿勢を示しました。
その上で「アメリカ国民はこの不当な行為を許容することはない。議会下院は、ブラッグ氏の先例のない権力の乱用の責任を追及する」と対決姿勢を示しました。
裁判所前はものものしい雰囲気
ニューヨーク、マンハッタンにある裁判所の前には、トランプ前大統領の起訴のニュースを受けて、多くのメディアが集まっています。周辺には多数の警察官が警戒にあたり、ものものしい雰囲気となっています。
トランプ氏の弁護士も起訴認める
トランプ氏の弁護士はアメリカの複数のメディアに対し起訴されたとの連絡は受けていると認めたうえで、罪状については現時点で知らされていないと話しています。
また、アメリカのニュースサイト ビジネスインサイダーは、弁護士が「ほかの事件と同様、私たちは最初から闘うつもりだ。即座に、積極的にこの誤った判断と闘う」と述べたと伝えています。
また、アメリカのニュースサイト ビジネスインサイダーは、弁護士が「ほかの事件と同様、私たちは最初から闘うつもりだ。即座に、積極的にこの誤った判断と闘う」と述べたと伝えています。
来年の大統領選挙への影響は
トランプ氏の起訴が伝えられたことを受けて、すでにトランプ氏自身が立候補を表明している来年の大統領選挙への影響が注目されています。
アメリカのメディアは、起訴されたり、今後、仮に有罪になったりした場合でも、立候補自体は可能だとの見方を伝えています。
背景にはアメリカの憲法が大統領になる要件について、アメリカ生まれであることや35歳以上であること、14年間以上アメリカに居住していることなどとし、犯罪歴などが制約になると明記していないためです。
トランプ氏自身も3月、司法当局からの捜査で起訴された場合について「選挙戦からおりる考えは毛頭ない」と述べ、立候補の意思に変わりはないと強調しています。
また、支持者やトランプ氏の求心力に与える影響についても大きな関心が集まっています。
トランプ氏をめぐっては、岩盤支持層と呼ばれる熱狂的な支持者が数多くいるとされています。2021年、連邦議会にトランプ氏の支持者らが乱入した事件を受けて、歴代大統領で初めて任期中に2度目となる弾劾訴追をされた際や、自宅から機密文書が見つかった問題で司法省による捜査を受けても、岩盤支持層が大きく離れることはありませんでした。
その一方で、去年秋の中間選挙でトランプ氏が推す候補者が激戦州で相次いで敗れ、求心力の衰えを指摘する声がもともとあることに加え、大統領経験者として史上初めて、起訴されたと伝えられたことを受けて、穏健な共和党支持層などの離反を招く可能性もあります。
アメリカのメディアは、起訴されたり、今後、仮に有罪になったりした場合でも、立候補自体は可能だとの見方を伝えています。
背景にはアメリカの憲法が大統領になる要件について、アメリカ生まれであることや35歳以上であること、14年間以上アメリカに居住していることなどとし、犯罪歴などが制約になると明記していないためです。
トランプ氏自身も3月、司法当局からの捜査で起訴された場合について「選挙戦からおりる考えは毛頭ない」と述べ、立候補の意思に変わりはないと強調しています。
また、支持者やトランプ氏の求心力に与える影響についても大きな関心が集まっています。
トランプ氏をめぐっては、岩盤支持層と呼ばれる熱狂的な支持者が数多くいるとされています。2021年、連邦議会にトランプ氏の支持者らが乱入した事件を受けて、歴代大統領で初めて任期中に2度目となる弾劾訴追をされた際や、自宅から機密文書が見つかった問題で司法省による捜査を受けても、岩盤支持層が大きく離れることはありませんでした。
その一方で、去年秋の中間選挙でトランプ氏が推す候補者が激戦州で相次いで敗れ、求心力の衰えを指摘する声がもともとあることに加え、大統領経験者として史上初めて、起訴されたと伝えられたことを受けて、穏健な共和党支持層などの離反を招く可能性もあります。
世論調査 アメリカ国民は冷静に受け止め
ロイター通信などが先週行った世論調査によりますと「トランプ氏が法を犯していた場合、裁判にかけられるべきか」との質問に「強く賛同する」と「ある程度賛同する」と回答した人を合わせると▽民主党支持者で94%、▽共和党支持者でも80%にのぼっています。
さらに「トランプ氏が逮捕された場合、抗議活動に参加するか」との質問に対しても、▽民主党支持者の96%、▽共和党支持者の90%が「参加しない」と回答するなど、アメリカ国民がトランプ前大統領の起訴に対して、冷静に見ていることがうかがえます。
一方、「トランプ氏の起訴が取り沙汰されて以降のトランプ氏のふるまい」については「無責任だ」と回答したのが▽民主党支持者では76%だった一方、▽共和党支持者では29%にとどまっていて反応が分かれています。
アメリカのモンマス大学が3月、発表した共和党支持者に対して行った世論調査では「誰に2024年の大統領選挙の共和党の候補者になってほしいか」という質問に対して▽トランプ氏がトップで41%、
▽次いで南部フロリダ州のデサンティス知事が27%、そして
▽ヘイリー元国連大使が3%と
トランプ氏が依然として大きくリードしていて支持の根強さを示しています。
さらに「トランプ氏が逮捕された場合、抗議活動に参加するか」との質問に対しても、▽民主党支持者の96%、▽共和党支持者の90%が「参加しない」と回答するなど、アメリカ国民がトランプ前大統領の起訴に対して、冷静に見ていることがうかがえます。
一方、「トランプ氏の起訴が取り沙汰されて以降のトランプ氏のふるまい」については「無責任だ」と回答したのが▽民主党支持者では76%だった一方、▽共和党支持者では29%にとどまっていて反応が分かれています。
アメリカのモンマス大学が3月、発表した共和党支持者に対して行った世論調査では「誰に2024年の大統領選挙の共和党の候補者になってほしいか」という質問に対して▽トランプ氏がトップで41%、
▽次いで南部フロリダ州のデサンティス知事が27%、そして
▽ヘイリー元国連大使が3%と
トランプ氏が依然として大きくリードしていて支持の根強さを示しています。
バイデン大統領「コメントすることは何もない」
トランプ前大統領の起訴について聞かれたバイデン大統領は31日、記者団に対し「コメントすることは何もない」と述べました。
さらに記者団が質問のしかたを変えて繰り返し聞いても「トランプ氏についてはコメントしない」と述べるにとどめました。
トランプ氏起訴の可能性がメディアで取り上げられて以降、ホワイトハウスのジャンピエール報道官も記者会見で、「捜査が行われている事案についてコメントすることはない」と述べるなど距離を置く立場をとっています。
さらに記者団が質問のしかたを変えて繰り返し聞いても「トランプ氏についてはコメントしない」と述べるにとどめました。
トランプ氏起訴の可能性がメディアで取り上げられて以降、ホワイトハウスのジャンピエール報道官も記者会見で、「捜査が行われている事案についてコメントすることはない」と述べるなど距離を置く立場をとっています。
松野官房長官「コメント差し控えたい」
松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「報道は承知しているが、他国の内政に関わる事項についてコメントすることは差し控えたい」と述べました。