ロシアのウクライナ侵攻から400日 双方の対立深まる

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して30日で400日となります。ウクライナ軍は、ヨーロッパ各国からの戦車供与などを受け、大規模な反転攻勢に乗り出す構えを見せる一方、ロシア軍は長期戦を見据えて国民に結束を求めています。

ウクライナのレズニコフ国防相は27日、ドイツなどから供与が進む主力戦車「レオパルト2」を実戦に投入する時期について、エストニアのメディアの取材に対し「天候しだいではあるが、これからの2か月間で投入されるだろう」と述べました。

ウクライナ軍としては、供与された戦車を4月から5月にかけて前線に投入し、大規模な反転攻勢に乗り出す見通しを示した形です。

これに関連して、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は29日、戦車などがウクライナに到着したことで大規模な反転攻勢の条件が整ってきているとする一方、ウクライナ軍が使いこなせるまでには時間がかかる可能性が高いという見方も示しました。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は29日「広い意味の戦争でいえば、長引くことになる」と述べ、軍事侵攻は長期化するという認識を示したうえで、国民に結束を求めました。

またロシア軍の兵士などの死傷者について、イギリスのウォレス国防相は29日の会見で「アメリカの最新の見立てでは、死傷者は22万人以上にのぼる」と述べ、アメリカからの情報をもとに、ロシア側の消耗が一層進んでいるという見方を示しました。

こうした中、イギリス国防省は30日、ロシアの報道などをもとに、ロシアが新たに40万人の兵士の募集に向けた準備を始めていると指摘しました。

強制力を伴う動員ではなく、志願兵として募集をかけることで国内の反発を抑えるねらいとみられますが、自主的に40万人もの兵士が集まる可能性は低いと分析しています。

勝利を望む一方 先行きへの不安の声も

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始してから400日となり、ウクライナの首都キーウではウクライナ軍の勝利を望む声が聞かれる一方で、ロシア軍の攻撃による被害や生活への影響がいつまで続くのか先行きへの不安を口にする人もいました。

22歳の男性は「東部の戦況はひどいですが、ウクライナ軍の勝利を信じ、反撃してくれるのを待っています。兵士が直面している困難を考えれば疲れたなどとはとても言えません」と話していました。

42歳の女性は「絶対に勝つと信じていますが、たくさんの命が失われ、多くの地域が破壊されたことを悲しく思っています。経済は打撃を受け、あす何が起こるかわからないためお金をためたいと思いますが、それも難しい状況です。3人の子どもは地下で勉強するなどの苦労をしていて、自分たちの将来がどうなるのか心配しています」と話していました。

51歳の男性は「多くの人が亡くなり、いまの気持ちを語ることは簡単ではありません。この戦争が早く終わり、平和が訪れることを望んでいます」と話していました。
一方、アメリカのバイデン大統領は、日本をはじめ、およそ120の国や地域の首脳などを招き、29日から2日間の日程で「民主主義サミット」をオンラインで開きました。
会合でバイデン大統領は「民主主義は強くなり、専制主義は弱体化している」と述べ、軍事侵攻を続けるロシアや覇権主義的な行動を強める中国を念頭に、結束して対抗していくことを呼びかけました。
会合では、ウクライナのゼレンスキー大統領も演説し「ロシアの野望はウクライナだけにとどまらない。民主主義は直ちに勝利しなければならない」として一層の支援を求めるとともに、各国のさらなる団結を訴えました。

松野官房長官「厳しい制裁と強力なウクライナ支援を継続し強化」

松野官房長官は午前の記者会見で「法の支配に基づく国際秩序を守り抜くため、G7=主要7か国の議長国や国連安保理の非常任理事国として引き続きG7をはじめとする国際社会と緊密に連携しながら、厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続し強化していく」と述べました。