コロナワクチン確保量 算定根拠 十分に確認できず 会計検査院

4兆円余りに上った新型コロナウイルスのワクチンの接種事業について、会計検査院は、国が確保することにしたワクチンの量の算定根拠が十分に確認できないとして、「必ずしも適切とは認められない」と指摘しました。

新型コロナウイルスのワクチンは、厚生労働省が複数のワクチン製造販売会社と契約を結び、接種の実施費用を含め、令和2年度と3年度の2年間でおよそ4兆2000億円が支出されています。

ワクチンの契約数は最大で8億8200万回分に上りましたが、会計検査院が調査した結果、厚生労働省の当時の資料には確保を決めたワクチンの量の算定根拠が十分に記載されていなかったということです。

このため、検査院は「必ずしも適切とは認められない」と指摘し、今後は、緊急時でも、事後に判断の妥当性を検証できるようにするよう求めました。

さらに納入前にキャンセルしたワクチンのうちアストラゼネカの6225万回分の返金額について算定根拠の確認をしていなかったことも分かりました。

別の製造販売会社のものを含めると、キャンセルしたワクチンは合わせて2億回余りに上り、検査院は、今後それぞれと行う返金の交渉では金額の妥当性を確認するよう求めました。

厚生労働省は「ワクチンは、開発の失敗などのリスクも考えた上で確実に接種できる量を確保したが、算定の根拠は資料だけでは分かりにくいところがあった。今後は事後に分かりやすい資料を適切に作成したい。キャンセルについては現在、企業と協議中なので、妥当性を確認しながら対応していきたい」としています。
※タイトルの文言を一部変更しております。