東京 足立区はごみ屋敷対策のための条例を制定し、専門に対応する職員も配属して対策を進めています。
足立区は10年前に全国で初めてごみ屋敷対策に特化した「足立区生活環境の保全に関する条例」を制定し、「ごみ屋敷対策係」という専門の窓口を設けて4人の職員が対応しています。
足立区によりますと条例を制定した当時、区内ではごみ屋敷がおよそ50件あり、区の担当者が対応する中で、ごみ屋敷の状態に至る住人の背景には、精神面や経済面などさまざまな問題を抱えていたり、地域から孤立していたりするケースが多いことがわかったといいます。
「ごみ屋敷」の全国調査 過去5年間で5200件余 環境省
自宅などにごみが積まれ悪臭や害虫の発生原因となる、いわゆる「ごみ屋敷」について、環境省は現状を把握するための全国調査を行い、過去5年間で全国で5200件余りに上ることが分かりました。
環境省はごみ屋敷の現状について、去年9月、全国すべての自治体にあたる1741市区町村を対象にアンケート調査を行い、今回初めて自治体が把握している「ごみ屋敷」の件数について尋ねました。
それによりますと、過去5年間で全体の38%に当たる661の自治体が把握していると回答し、件数は5224件に上りました。
都道府県別では、東京都が880件、愛知県が538件、千葉県が341件などとなり、このうちの半数近くが、本人への直接指導や複数の部署が連携して支援したことなどで改善したということです。
また、全体の5.8%に当たる101の自治体が「ごみ屋敷」に対応する条例などを制定し、このうち26の自治体は実効性を持たせるなどの理由で罰金などの罰則規定を設けていましたが、75の自治体は「ごみ屋敷」の状態になるケースは福祉的なサービスを必要とする人が多いなどの理由から、罰則規定は設けていませんでした。
一方、条例がなくても、自治体指定のごみ袋を免除するとか、生活支援を必要としている世帯を対象にごみ出しの支援を実施するなど、改善につながった事例を紹介し、環境省は各自治体による「ごみ屋敷」をなくす対策に生かしてほしいとしています。
東京 足立区 “福祉的支援しながら解決につなげること重視”


そのため区では、ごみ屋敷の解決はごみの片付けや撤去を行うだけではなく、住人の生活の相談にのるなど福祉的な支援をしながら、ごみ屋敷の解決につなげることを重視しているということです。
1年余りにわたって対応している高齢の1人暮らしの男性は当初、ごみの撤去に否定的でしたが、区の担当者が保健師と共に自宅を訪問して精神疾患の治療につなげたほか、条例にのっとって撤去にかかる費用を区が負担をするなど生活を支援することで、ごみの撤去の同意を得られたということです。
こうした対策により、区によりますと、条例制定から先月末までのおよそ10年間で319件のごみ屋敷に対応し、このうち84.6%にあたる270件が解決につながったということです。
1年余りにわたって対応している高齢の1人暮らしの男性は当初、ごみの撤去に否定的でしたが、区の担当者が保健師と共に自宅を訪問して精神疾患の治療につなげたほか、条例にのっとって撤去にかかる費用を区が負担をするなど生活を支援することで、ごみの撤去の同意を得られたということです。
こうした対策により、区によりますと、条例制定から先月末までのおよそ10年間で319件のごみ屋敷に対応し、このうち84.6%にあたる270件が解決につながったということです。

足立区生活環境保全課の志田野隆史課長は「さまざまな事例から、精神的な問題を抱えている人が医療につながっていないことが大きな課題と感じる。そうした人などに対応できるよう、保健や福祉の部署などが横断的に対応することで多くの事例が解決に結び付いていると思う」と話していました。