ロシア戦術核 ベラルーシ受け入れ表明 国連安保理 緊急会合へ

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が、隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備する方針を明らかにしたのに対して、ベラルーシ外務省も自国の安全保障にとって必要だとして受け入れることを表明しました。
国連の安全保障理事会は、緊急会合を31日に開催することを決めるなど、ロシアの核をめぐる動きに懸念が強まっています。

ロシアのプーチン大統領は、25日に公開されたインタビューの中で、同盟関係にあるベラルーシに戦術核兵器を配備する方針を明らかにしました。

ベラルーシ外務省も28日、ロシア国営タス通信の質問に答える形で声明を発表し、戦術核兵器は自国の安全保障と防衛力の強化のために必要で、NPT=核拡散防止条約に違反するものではないと主張し、配備の受け入れを表明しました。

国連の安全保障理事会は、「新たな挑発行為だ」と強く反発するウクライナ側の要請を受けて、緊急会合を31日に開催することを決めました。

また、アメリカのバイデン大統領も28日、「危険な話で憂慮している」と述べるなど、ロシアの核をめぐる動きに懸念が強まっています。

こうした中、アメリカ政府高官は28日、ロシアとの核軍縮条約「新START」についてロシアが条約を順守していないとして、戦略核兵器についての情報提供を停止することを決めたと明らかにしました。

アメリカとロシアは、条約に従って年に2回、それぞれが配備している核弾頭の数や位置などについて情報を交換していますが、先月、ロシアが一方的に履行を停止すると発表していて、今回の対応についてアメリカは、「ロシアが条約を順守することを拒否したため、同じようにすることを決めた」としています。

長崎大学 鈴木教授「核兵器の使用リスク高まるおそれ」

ロシアのプーチン大統領が、隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備することを明らかにしたことについて、核軍縮の動きに詳しい長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎教授は「これまでのロシアによる、“核のどう喝”がさらにエスカレートしてきた印象だ。西側からのウクライナへの武器供与継続に対する対抗策と考えられる」と指摘しました。

また、米ロの核軍縮条約「新START」をめぐって、ロシアが条約を順守していないとして、アメリカが戦術核兵器についての情報提供を停止すると発表したことについては「両国のコミュニケーションがさらに断絶されることになり、核兵器をめぐって『相手側の認識、意図への理解』が一層欠如してしまうことにつながる」と指摘し、誤解などで核兵器の使用リスクが高まるおそれがあると懸念を示しました。

松野官房長官「情勢さらに緊迫化 非難する」

松野官房長官は午後の記者会見で「唯一の戦争被爆国である日本として、ロシアによる核兵器の威嚇も、ましてや使用も断じて受け入れられない。ロシアがウクライナ侵略を続ける中で、情勢をさらに緊迫化させるものであり、非難する」と述べました。

そのうえで「ロシアやベラルーシに対し、緊張を高めるような行為をやめるよう求めるとともに、事態の推移を注視していく。国連安全保障理事会会合の開催については、現在、理事国間で調整中だが、他の理事国とも緊密に意思疎通を行い、適切に対応していく」と述べました。