IOC ロシア・ベラルーシ選手復帰条件勧告『中立』の個人に限る

IOC=国際オリンピック委員会は、軍事侵攻を理由に国際大会から除外されているロシアとベラルーシの選手の復帰の条件について、国や地域を代表しない『中立』の個人の選手に限るなどとする勧告を国際競技連盟に行ったと明らかにしました。

IOCは28日、スイスで理事会を開き、ウクライナへの軍事侵攻を理由に国際大会から除外されているロシアとその同盟関係にあるベラルーシの選手の復帰の是非などについて話し合いました。

その結果、両国の復帰を認める条件について、国や地域を代表しない『中立』の立場と認められる個人の選手に限るとした上で、団体競技での出場や、軍の関係者や、軍事侵攻を積極的に支持している選手は出場を認めないなどとする勧告を国際競技連盟に行ったと発表しました。

一方、来年のパリオリンピックへの両国の出場については「適切な時期に決定を下す」としています。

IOCのバッハ会長は会見で「軍事侵攻は改めて強く非難するが、ロシアとベラルーシの出場を一律に禁止することは人権侵害に当たり継続することはできない」と述べました。

両国の国際大会への復帰をめぐっては反対の声があがっていて、ウクライナのオリンピック委員会は、軍事侵攻が終わる前に復帰した場合、パリ大会をボイコットする可能性を検討するとしているほか、アメリカや日本など34か国は共同声明に署名し、IOCが復帰の条件とする『中立』の定義を明確にするよう求めています。

JOC 山下泰裕会長「一歩踏み込んだのではないか」

JOC=日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は都内で取材に応じ「『中立』な選手というところについては、一歩踏み込んだのではないか。勧告を受けて今後、さまざまな国際競技連盟が判断するものと思っている。われわれもそれを見極めながら情報収集していきたい」と述べ、勧告を支持する考えを示しました。

一方で、来年のパリオリンピックへの両国の出場については『適切な時期に決定を下す』とするにとどまったことについて「『中立』というところをどういう形にしていけばより多くの人が納得するか。ここはIOCとしてもなかなか難しいのかなと感じている」と述べました。

そして、選手からも両国の復帰の是非について声が上がっていることについて「さまざまな意見があって当然で、自分なりの意思表示をすることは望ましいと思っている。IOCもいろいろな意見を聞きながら判断しようとしている」と述べました。