ウクライナ 古文書の修復に「阿波和紙」 徳島県が無償で提供

ウクライナ西部リビウの国立歴史公文書館では、徳島県の伝統の和紙が、古文書の修復作業に役立てられています。
ウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、ロシアから仕入れていた修復用の紙が手に入らなくなったため徳島県が無償で提供したもので、公文書館の館長は、支援に謝意を示しています。

ウクライナ西部のリビウにある国立歴史公文書館は、18世紀後半から続くウクライナで最も歴史の古い公文書館です。

12世紀から20世紀前半までの行政文書や裁判資料、住民の戸籍記録など100万点以上を収蔵しています。

この中には、およそ900年前の樹皮に書かれた資料や17世紀にオスマン帝国のスルタンから送られた手紙など貴重な歴史資料も数多く含まれています。

紙の劣化が進み破れるなどした資料の修復は、これまで主にロシア製の紙で行っていましたが、去年の軍事侵攻以降、紙を仕入れることができなくなっていました。

公文書館の職員が新たな調達先を探していた際、知人を通じて徳島県の伝統和紙「阿波和紙」の存在を知り、連絡を取ったところ、徳島県がウクライナへの支援の一環として無償で提供することを決めました。

公文書館には、これまでに徳島県吉野川市で作られた厚さの異なる5種類の阿波和紙、合わせて8500枚が届けられています。

27日にNHKの取材班が訪れた際には、専門のスタッフが、後ろが透けて見えるほど薄い和紙を古文書にのりで丁寧に貼り付け、修復作業を行っていました。

ウクライナ国立歴史公文書館のオレシア・ステファニク館長は「日本の紙が私たちの歴史の保存に貢献してくれることは黄金のような価値があります。日本の人々の支援に感謝しています。おかげで未来に希望が持てます」と話していました。