「JOLED」に対しては、官民ファンドの「INCJ」が総額で1390億円に上る出資や融資を行い、全面的に支援してきました。
支援額は「ジャパンディスプレイ」に次ぐ2番目の規模ですが、巨額の出資の回収は難しい見通しです。
「INCJ」の勝又幹英社長は27日、オンラインで記者会見し「民事再生という選択肢を選ばざるを得なかったことは誠に断腸の思いだ。非常にめまぐるしい技術開発の中で、大きな世界のトレンドを追い、ふさわしい支援を適宜出せていたか、多々、反省すべき点がある」と述べました。
一方、「INCJ」は、これまでに「JOLED」を含めて144件の投融資を行い、総額は1兆2000億円に上りますが、株式の売却などで1兆3000億円をすでに回収しているとしています。
JOLEDが民事再生法を申請 負債総額337億円
官民ファンドの出資を受けて有機ELディスプレーを生産している「JOLED」は27日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。
負債総額は337億円に上る見込みで、石川県と千葉県の工場は閉鎖する方針です。
「JOLED」は、2015年にソニーグループとパナソニックホールディングスの有機EL事業を統合して設立され、パソコン向けなどに独自の生産技術を使った有機ELディスプレーの生産を手がけてきました。
しかし、安定した生産に想定以上の費用と時間がかかったうえ、需要の伸び悩みや競争の激化で業績が悪化したことから、自力での事業継続は難しいと判断し、27日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。
会社によりますと、負債総額は337億円に上る見込みです。
この会社は、官民ファンドの「INCJ」が株式の56%を持つ大株主で、これまでに行った出資や融資の総額は、1390億円に上るということです。
会社は、有機ELディスプレーの製造と販売から撤退することを決め、石川県能美市と千葉県茂原市にある工場は今後、半年ほどかけて閉鎖する方針です。
従業員はおよそ380人で、技術開発を担当する100人程度を除いて順次、解雇する方針です。
一方、技術開発の事業については液晶パネルメーカーの「ジャパンディスプレイ」に引き継ぎ、事業の再建を目指すということです。
支援の官民ファンド社長「断腸の思い 多々反省すべき点」
巨額の支援も巻き返しできず
「JOLED」は、有機ELディスプレーで先行する韓国メーカーに対抗しようと、2015年に設立され、官民ファンドから巨額の支援も受けてきました。
有機ELの分野では、小型のスマートフォン向けではサムスン電子が、大型のテレビ向けではLGディスプレーが高いシェアを獲得するなど、韓国メーカーが圧倒的な存在感を示し、中国メーカーも台頭しています。
これに対し「JOLED」は、高精細で有機ELディスプレーの製造コストを抑えることができる「印刷式」という独自の技術で巻き返しを図ろうとしましたが、量産化が遅れたことに加えて、製品もパソコンや車載向けなど中型のディスプレーが中心で、スマホ向けなどで成長する市場を取り込むことができませんでした。
また、「JOLED」から技術開発を引き継ぐ液晶パネルメーカーの「ジャパンディスプレイ」も今年度の決算で9年連続の最終赤字となる見通しです。
日本のディスプレー産業は官民ファンドからの巨額の支援にもかかわらず、競争力の低下が浮き彫りになっています。
有機ELの分野では、小型のスマートフォン向けではサムスン電子が、大型のテレビ向けではLGディスプレーが高いシェアを獲得するなど、韓国メーカーが圧倒的な存在感を示し、中国メーカーも台頭しています。
これに対し「JOLED」は、高精細で有機ELディスプレーの製造コストを抑えることができる「印刷式」という独自の技術で巻き返しを図ろうとしましたが、量産化が遅れたことに加えて、製品もパソコンや車載向けなど中型のディスプレーが中心で、スマホ向けなどで成長する市場を取り込むことができませんでした。
また、「JOLED」から技術開発を引き継ぐ液晶パネルメーカーの「ジャパンディスプレイ」も今年度の決算で9年連続の最終赤字となる見通しです。
日本のディスプレー産業は官民ファンドからの巨額の支援にもかかわらず、競争力の低下が浮き彫りになっています。