参院予算委 放送法 政治的公平 首相“疑念招かぬよう適切に”

放送法が定める「政治的公平」の解釈に関する総務省の行政文書に関連し、立憲民主党が、法律の解釈が圧力でゆがめられてはならないとただしたのに対し、岸田総理大臣は、政策決定にあたって国民の疑念を招くことがないよう、引き続き適切に取り組む考えを示しました。

参議院予算委員会では27日、集中審議が行われました。

自民 宮崎氏 物価高騰対策について

自民党の宮崎雅夫氏は、政府が先週まとめた追加の物価高騰対策をめぐり「農林水産分野について大変深刻な状況が続いており、現場の人たちに具体的に支援の手が届くようなスピード感をもって、政府全体で取り組んでいただきたい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「物価高から国民生活や事業活動を守り抜くため、年度内にコロナ対策とあわせ、2兆円強のコロナ物価予備費を措置した。今回の追加策を早急に実行に移してまいりたい」と述べました。

立民 石橋氏 安倍政権当時の総務省の行政文書について

立憲民主党の石橋通宏氏は、放送法が定める「政治的公平」の解釈に関する安倍政権当時の総務省の行政文書をめぐり「元総理大臣補佐官が官邸の立場で圧力をかけたことが明らかになったとお認めになったほうがいい。岸田政権では少なくとも放送法の解釈を官邸がゆがめることはないと明言してほしい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「やり取りがあったのはそのとおりだが、解釈については、所管する総務省が責任を持って行ったと理解している。政策決定にあたって国民の疑念を招くことがないよう、引き続き今の内閣において適切に取り組んでいきたい」と述べました。

公明 宮崎氏 「2024年問題」について

公明党の宮崎勝氏は、トラックドライバーに対する時間外労働の規制が強化され、輸送量の減少が懸念されるいわゆる「2024年問題」について「物流事業者だけで、この危機的状況を乗り切ることは難しく、荷主や消費者の協力も必要不可欠だ。政府横断的な対応が求められるが、具体的にどう進めていくのか」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「政府として迅速に対応する必要があると認識しており、近日中に、新たな関係閣僚会議を設置・開催し、緊急に取り組む政策を取りまとめる。わが国の物流の革新に向けて、政府全体でスピード感を持って取り組んでいきたい」と述べました。

維新 東参院国対委員長 議員定数の削減について

日本維新の会の東参議院国会対策委員長は、議員定数の削減について「本来なら増税を言う前に、われわれの経費を削減していくべきだが、逆に参議院では議員定数を6人も増やし、年間4億5200万円もの経費が増えた。議員定数の1割削減をずっと訴えてきたが、まずは6人を減らすべきだ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「議員定数については、全体として国会議員のありようをどうするかを議論するということであり、ぜひ自民党も含めて、国会として民主主義の根幹がどうあるべきか議論すべき課題だ」と述べました。

国民 田村氏 扶養されている配偶者めぐる制度について

国民民主党の田村麻美氏は、扶養されている配偶者をめぐる制度について「半数近くの企業で収入制限つきの配偶者手当が残っている。社会保険の適用拡大の企業規模要件の撤廃の課題についても、すべてこれを取り払っていく決断を総理に求めたい」と述べました。

これに対し、岸田総理大臣は「配偶者手当については、さまざまな機会を通じて、私みずからも見直しを促していきたい。雇用のあり方に対して中立的な社会保障制度としていく観点から、勤労者皆保険の実現に向けた取り組みを進めており、多様な働き方が可能になるような環境整備が重要だ」と述べました。

共産 井上参院幹事長 ウクライナ侵攻について

共産党の井上参議院幹事長は、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり「日本がウクライナの情勢から学ぶ教訓は、いったん戦火になれば国土が戦場になって大量の犠牲者が避けられないということで、外交努力の強化こそ最大の教訓だ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「ウクライナ侵略における教訓は、国連憲章をはじめとする国際法を守る国際秩序をつくっていくことであると考えており、秩序を作るための外交努力に、G7議長国としてもしっかり取り組んでいきたい」と述べました。

れいわ 木村氏 障害のある子どもの教育について

れいわ新選組の木村英子氏は、障害のある子どもの教育について「障害のあるなしで分けられ、コミュニケーションができなかった時間を取り戻すことは容易ではない。障害者やその保護者が希望する学校に入学できるように、法令や制度の見直しをしてほしい」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「障害のある子どもと障害のない子どもが、可能なかぎりともに過ごすための学校運営や環境整備が重要だ。本人や保護者の意向が尊重されるよう、教育委員会に適切な対応を促していかなければならない」と述べました。