ダルビッシュ WBC後初登板 先発で8奪三振 開幕に向け調整

WBC=ワールド・ベースボール・クラシックで日本の優勝に貢献した大リーグ、パドレスのダルビッシュ有投手が、アリゾナ州のキャンプ地で行われた練習試合に先発登板し、4イニングを投げて8つの三振を奪い、シーズン開幕に向けた調整を進めました。

WBCの決勝、アメリカ戦でリリーフとして登板し、優勝に貢献したパドレスのダルビッシュ投手は25日、アリゾナ州ピオリアのキャンプ地でマイナーリーグのチームとの練習試合に先発しました。

WBCの決勝から中3日の登板となったダルビッシュ投手は、1回は2つの三振を奪って三者凡退に抑えましたが、2回にヒットとエラーで1アウト二塁のピンチを招くとタイムリーヒットを打たれて失点しました。

3回は三者凡退で切り抜け球数がわずか10球だったため、特別ルールでさらにもう1人と対戦して三振を奪いました。

そして、4回も3つの三振を取ってこの回でマウンドを降りました。

ダルビッシュ投手は変則的な4イニングで合わせて64球を投げ、ヒット3本を打たれて1失点しましたが、8つの三振を奪いました。
ダルビッシュ投手は、今シーズンから導入される投球間の時間制限のピッチクロックにも問題なく対応し「ピッチクロックでどういう感じで試合が進んでいくかを知りたかったが、変化球も含めてすごくよかったと思う。そこまで自信はなかったが、やってみると意外といけるなという感じで楽しかった」と手応えを感じている様子でした。

その一方で「今ある力はもちろん全部出したが、まだ疲れがあるので自分の中ではまだ100%には来ていないかなという感じ。やっぱり疲れていたんだと思うが、この3日間くらいすごく寝たので、よくなったと思う」と話し、WBCの疲れもにじませていました。

ダルビッシュ 開幕投手逃すも後悔する様子なし

ダルビッシュ投手はWBC1次ラウンドの韓国戦で先発した際に48球を投げましたが、そのあとは準々決勝のイタリア戦、決勝のアメリカ戦と大リーグでは経験がないリリーフでの登板が続き、今月30日の開幕に向けては思うように実戦での球数を重ねられませんでした。

WBC決勝でのリリーフ登板は試合当日の昼間にパドレスから登板の許可が出るなど難しい調整が続き、ダルビッシュ投手は大会後の23日に「侍ジャパンとしてはもちろん勝つことがメインだし、パドレスとしては選手を貸している側だからイニングをちゃんと投げてもらわないと困るというところで、その間にいたので正直疲れた部分はある」と率直な思いを明かしていました。

今大会、ダルビッシュ投手は大リーグから選ばれた日本選手でただ1人、2月の宮崎での強化合宿に初日から参加し、野球の実力はもちろん、若い選手が多い今回の代表チームで率先して明るい雰囲気作りに徹し、優勝の原動力になりました。

アメリカよりも柔らかい日本のマウンドで投げたことによる感覚の狂いや「合宿中からあまりよくなかった」と言う腰や股関節の状態など大会を通した疲労もあって、3年連続の開幕投手は逃すことになりましたが「宮崎から行く時点で自分のことを100%にするのは難しいとわかっていた。若い選手たちとすごく仲よくなったりして関係を築けたことは自分としてもよかった部分はたくさんある」と話し、後悔する様子はありませんでした。

大会を通してその言動から高い人間性が称賛されてきたダルビッシュ投手。

今後は、キャンプ地でもう1回調整のマウンドに上がってから大リーグ12年目のシーズンの開幕を迎える予定です。