
国立病院機構の医薬品入札で談合 卸5社に課徴金6億円超 公取委
独立行政法人「国立病院機構」が発注した九州地方での医薬品の入札をめぐり、談合を繰り返したとして、公正取引委員会は医薬品卸5社に合わせて6億2000万円余りの課徴金を納付するよう命じました。
課徴金の納付を命じられたのは、
◆医薬品卸大手の傘下にある
▽「翔薬」
▽「九州東邦」
▽「アルフレッサ」のほか、
◆医薬品卸で
▽大分市にある「アステム」と
▽熊本市にある「富田薬品」の5社です。
公正取引委員会は、おととし立ち入り検査を行うなどして調査を進め、24日、結果を発表しました。
それによりますと、この5社は国立病院機構が発注した九州にある31の病院の医薬品の共同入札をめぐり、遅くとも2016年6月から、落札する会社を事前に話し合って決める談合を繰り返していたということです。
談合が認定された3年半の間に発注されたのは、およそ850億円、2万5000品目に上りましたが、このうち9割近くの入札で談合が行われていたということです。
公正取引委員会は5社に対し、課徴金合わせて6億2000万円余りの納付を命じたほか、再発防止などを求める排除措置命令を出しました。
一方、医薬品卸大手の傘下にある「アトル」は立ち入り検査が行われる前に、違反行為を自主申告したため、課徴金は免除され、排除措置命令も受けませんでした。
公取委「業界に根深く浸透」
公正取引委員会の福田誠 第五審査長は、24日の会見で「医薬品の流通価格は薬価の改定に影響するので、入札談合によりその価格が高止まりすると実勢よりも高額な薬価が設定されることになり、その分、患者たちの負担が増加することになる。このような行為が長きにわたって行われていたことは大変遺憾で、受注調整を行う構造が医薬品流通業界において根深く浸透していたと言わざるをえない。今後も引き続き違反行為が行われていないか十分に注視する」と述べました。
各社のコメント
「翔薬」の親会社の「スズケン」は、「このような事態に至ったことは誠に遺憾であり、株主をはじめとするステークホルダーの皆様にはご迷惑をおかけしていることを深くおわび申し上げます。当社グループとしては、すでに実施している再発防止策の徹底と深化に継続して取り組みます」とコメントしています。
「九州東邦」の親会社の「東邦ホールディングス」は「株主の皆様、お取引先様ならびに関係者の皆様には、多大なご迷惑、ご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げます。この度の命令を厳粛かつ真摯に受け止め、より一層、再発防止の徹底と信頼回復に努めます」とコメントしています。
「アルフレッサ」の親会社の「アルフレッサホールディングス」は「当社グループは、アルフレッサが2019年に医療用医薬品の入札に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして公正取引委員会による立ち入り検査が入ったことを受け、再発防止策を策定し、再発防止に徹底して取り組んでいます。本件については、株主の皆様、お得意様、お取引先様をはじめ関係各位に多大なご迷惑とご心配をおかけしていることを心よりおわび申し上げます」とコメントしています。
「アトル」の親会社の「メディパルホールディングス」は「アトルは排除措置命令、課徴金納付命令のいずれも受けていませんが、違反行為に関わり、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを、心よりおわび申しあげます。本件を厳粛かつ真摯に受け止め、これまでに取り組んできた独占禁止法順守に関する諸施策を、より一層徹底して推し進めていく所存です」とコメントしています。
「九州東邦」の親会社の「東邦ホールディングス」は「株主の皆様、お取引先様ならびに関係者の皆様には、多大なご迷惑、ご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げます。この度の命令を厳粛かつ真摯に受け止め、より一層、再発防止の徹底と信頼回復に努めます」とコメントしています。
「アルフレッサ」の親会社の「アルフレッサホールディングス」は「当社グループは、アルフレッサが2019年に医療用医薬品の入札に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして公正取引委員会による立ち入り検査が入ったことを受け、再発防止策を策定し、再発防止に徹底して取り組んでいます。本件については、株主の皆様、お得意様、お取引先様をはじめ関係各位に多大なご迷惑とご心配をおかけしていることを心よりおわび申し上げます」とコメントしています。
「アトル」の親会社の「メディパルホールディングス」は「アトルは排除措置命令、課徴金納付命令のいずれも受けていませんが、違反行為に関わり、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを、心よりおわび申しあげます。本件を厳粛かつ真摯に受け止め、これまでに取り組んできた独占禁止法順守に関する諸施策を、より一層徹底して推し進めていく所存です」とコメントしています。