警察署で勾留中に死亡のベトナム国籍男性の遺族 埼玉県と和解

5年前、埼玉県の警察署で勾留中に死亡したベトナム国籍の男性の遺族が、警察の対応に問題があったとして賠償を求めた裁判で、県が遺族に800万円の解決金を支払うことで和解したことが関係者への取材でわかりました。

ベトナム国籍の当時57歳の男性は、5年前強制わいせつの罪で逮捕・起訴され、埼玉県警の武南警察署で勾留中に体調不良を訴え死亡しました。

男性は亡くなる2か月ほど前から腹の痛みなどの症状を訴え、警察は診察を受ける機会を4回設けていましたが、遺族は亡くなる2日前に弁護士が診察を強く求めたにもかかわらず、警察が対応を怠って悪化を放置したとして、県に賠償を求める訴えを起こしていました。

この裁判で23日、県が解決金として800万円を支払うことで和解が成立したことが関係者への取材でわかりました。

和解について、埼玉県警察本部の佐藤拓也首席監察官は「男性のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様方に対して、お悔やみを申し上げます」というコメントを出しました。

この裁判では、亡くなる1か月ほど前に男性を診察した医師が、入院や適切な経過観察を怠ったなどとして、病院も訴えられていましたが、こちらについても病院が遺族に200万円の解決金を支払うことで和解したということです。

原告側「二度と起きないように」

原告側は「勾留中に健康について頼りにできるのは警察や病院だったため、このような結果になってしまい大変残念だ。今後はこのようなことが二度と起きないようにしてほしい」とコメントしています。