フィギュア世界選手権 坂本花織が首位 女子シングルSP

4年ぶりに日本での開催となるフィギュアスケートの世界選手権が22日開幕し、女子シングルのショートプログラムでは、2連覇を目指す坂本花織選手がミスのない演技で自己ベストに迫る得点をマークし、首位に立ちました。

フィギュアスケートの世界選手権は、さいたま市のさいたまスーパーアリーナで22日開幕し、女子シングル前半のショートプログラムが行われました。

大会2連覇を目指す坂本選手は冒頭、高さと幅のあるダブルアクセルを決めると、続く3回転ルッツと演技後半の3回転3回転のコンビネーションジャンプを確実に決めました。
今シーズンは、全身を絶え間なく動かし続けるショートプログラムの振り付けの難しさに苦しんできましたが、最後まで勢いよく演じきり、3つのスピンやステップでも最高評価のレベルフォーを獲得しました。

坂本選手は表現力などを示す演技構成点も、出場選手中トップで自己ベストに迫る79.24で首位に立ち、連覇へ好スタートを切りました。

6年ぶりの出場となった三原舞依選手は、3回転3回転のコンビネーションを含む3つのジャンプを確実に着氷するなど持ち味の安定感が光りました。
後半はピアノの曲にあわせた華麗なステップやスピンで会場を魅了し、いずれも最高評価を獲得するなど得点は73.46で3位につけました。

2位は73.62で韓国のイ・ヘイン選手です。
初出場の渡辺倫果選手は冒頭のトリプルアクセルで転倒したほか、予定していたコンビネーションジャンプで前半の3回転が1回転になるミスが響き、15位と出遅れました。

坂本選手「あともうちょっとだな」

演技後、坂本選手は「去年の世界選手権では80点を超えていてそれに近い点数が出たのはうれしいが、“あともうちょっとだな”というのも感じた。でも楽しく滑りきれて今シーズンのなかでは一番いい演技ができたので満足」と振り返りました。

“あともうちょっと”と語った理由には「きょうはスピード感がなかったなというのを全体を通して思った。あとはダブルアクセルの加点が1.3くらいしかなかったので、やっぱり満点が欲しかったというところがちょっと悔しい」と課題をあげました。

一方で「ショートプログラムはやっぱりきついなと常に感じていたが、これをやり通せたら新たな自分も生まれるしこういう曲もできるんだという引き出しが増えるので、すごくいい経験になる」と手応えも語っていました。

三原選手「きょうが一番、心をマックスで滑りきれた」

三原選手は「今シーズンの中ではびっくりするくらい一番緊張したが、たくさんの応援と声援に背中を押され感謝しながら滑ることができた。このショートプログラムはいままでの人生を込めて何回も何回も滑ってきたがきょうが一番、心をマックスで滑りきれた。最後はうるうるしながら感謝の思いを込められた」と笑顔を見せていました。

フリーに向けては「いままで見つかってきた課題が全部克服できた演技をしたい。情熱度がもっと高くなるよう力強いところは目力も含めて力強く、優しいところは優しくとコントラストをつけながら強い女性を演じきりたい」と気持ちを高めていました。

渡辺選手「目標の演技ができず悔しさがある」

渡辺選手は「会場のリンクに来てからショートプログラムの3回転ルッツがはまらない事態が起きていて、修正しきれずに臨んだので不安要素はあった。よくも悪くも練習が本番でそのまま出てしまった」と振り返りました。

取材を受けている際にはうっすらと涙を浮かべましたが「目標の演技ができなかった悔しさがある。ただ、転びはしたがトリプルアクセルの質は悪くなかったのでフリーにつなげられる。フリー勝負でなんとかのぼれるところまでのぼりたい」と気持ちを切り替えていました。