WBC【解説】日本 世界一奪還 “栗山監督 掲げた野球を体現”

アメリカのファンが多くを占めるアウェーの雰囲気の中で成し遂げた“世界一奪還”。
野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシック、日本が決勝でアメリカに勝ち3大会ぶり3回目の優勝を果たしました。

栗山英樹監督が就任当初から掲げていた「投手力を中心に我慢して守りきる」という日本の野球を体現した結果でした。
(スポーツニュース部 記者 金沢隆大)

代表メンバー30人の選考で栗山監督はその半数を占める15人のピッチャーを選びました。
その理由は明確でした。

日本が海外の強豪と渡り合うためには強みの投手力を最大限に生かすのが重要であること。

そして「投手リレーが必要な際に迷わずつぎ込めるように」するためでした。

迎えたWBCの決勝は、まさに、そのねらいどおりの展開となります。
相手は30人の選手全員が大リーガーのアメリカ。

特に打線はトラウト選手やゴールドシュミット選手など1番から9番までスタープレーヤーが名を連ねています。

決勝を前に栗山監督は選手たちに「そうそうたるメンバーだが勝つチャンスはあるから臆さず正面からぶつかっていこう」と声を掛けました。
試合は所属チームでの役割に関係なく「いける選手は全員行く」形になります。

小刻みな投手リレーで相手打線に的を絞らせませんでした。
ほとんどの回でランナーを背負う苦しい場面が続きましたが、登板したピッチャーはいずれも要所を締めて、決定打を許さない力投でスコアボードに「0」を並べていきました。
7回まで5人のピッチャーでアメリカ打線を1点に抑えると、8回にはチームの精神的支柱のダルビッシュ有投手が登板しソロホームランで1点を失ったもののリードを守りました。
そして、世界一まで、あとアウト3つとなった9回。

試合を締めくくる大役は投打二刀流で大リーグを席けんしている大谷翔平選手が担いました。

大リーグのスタープレーヤーたちを相手に7人のピッチャーで野手陣の奪った3点を守りきった日本がつかんだ14年ぶりの栄冠。

それは「アメリカの球場で、アメリカを倒して世界一になる」。

そう言い続けてきた栗山監督の描いた理想の野球が野球の生まれた国で体現された瞬間でした。