ソメイヨシノの開花に異変!?

春と言えばサクラの季節。東京ではいち早くソメイヨシノの開花が発表がされましたが近年、温暖化などによる気候変動によってソメイヨシノの開花に異変がみられるといいます。今回はソメイヨシノについて取り上げます。
問題に挑戦!

次の中で、ソメイヨシノの花はどれですか。
記号で答えなさい。
ただし、大きさの関係は実際とは異なります。
(聖光学院中学校 2016年 理科)
記号で答えなさい。
ただし、大きさの関係は実際とは異なります。
(聖光学院中学校 2016年 理科)
答えはエです。
ソメイヨシノの特徴

3月14日、「東京でサクラが開花した」と発表されました。
ソメイヨシノでは全国で最も早い発表となりました。
ソメイヨシノは北海道南部から鹿児島まで広く分布し気象庁の観測対象となっています。
20年以上にわたりサクラを研究している森林総合研究所の勝木俊雄さんにソメイヨシノはどのようにして生まれたのか聞きました。
ソメイヨシノでは全国で最も早い発表となりました。
ソメイヨシノは北海道南部から鹿児島まで広く分布し気象庁の観測対象となっています。
20年以上にわたりサクラを研究している森林総合研究所の勝木俊雄さんにソメイヨシノはどのようにして生まれたのか聞きました。

勝木さん
「エドヒガンとオオシマザクラの雑種だということはわかっています。江戸に染井村という植木屋の町があったのですが、そこで増殖されて広まっていったと言われています」
「エドヒガンとオオシマザクラの雑種だということはわかっています。江戸に染井村という植木屋の町があったのですが、そこで増殖されて広まっていったと言われています」

ソメイヨシノは2種類のサクラを掛け合わせて生まれたもので、「エドヒガン」のように華やかな淡いピンク色で「オオシマザクラ」のように大きな花をつけます。
まさに両者の「イイトコどり」をした品種です。
まさに両者の「イイトコどり」をした品種です。

花見をしやすい枝ぶりで、成長が早く、増殖しやすいのも特徴で、すべてがちょうどいい性質を持った「奇跡の1本」だといいます。
勝木さん
「『お花見をするのにぴったりだから、これをちゃんと増やそう』というふうに当時の人も考えたのかなと思います」
「『お花見をするのにぴったりだから、これをちゃんと増やそう』というふうに当時の人も考えたのかなと思います」
近年生じている異変とは?
そんなソメイヨシノに近年、開花の異変が生じているというのです。
勝木さん
「昔は東京で入学式の頃に咲くサクラと思われていましたが、いまは3月半ばぐらいに咲いて、入学式の頃には、ほとんど花は散っているという状況になっています」
「昔は東京で入学式の頃に咲くサクラと思われていましたが、いまは3月半ばぐらいに咲いて、入学式の頃には、ほとんど花は散っているという状況になっています」

1つ目の異変は、開花の早まり。
ことしの東京のソメイヨシノの開花日は平年より10日早く、2020年、2021年とならんで、統計を取り始めてから最も早い開花となりました。
勝木さんによると、おおむね4月上旬だった100年前と比べて2週間ほど早くなっているといいます。
ことしの東京のソメイヨシノの開花日は平年より10日早く、2020年、2021年とならんで、統計を取り始めてから最も早い開花となりました。
勝木さんによると、おおむね4月上旬だった100年前と比べて2週間ほど早くなっているといいます。
勝木さん
「気候変動による、いわゆる温暖化に加えて、ヒートアイランドという都市特有の現象も加わっています。気温が高くなると、それだけ芽の動きが早くなって早く咲くということです」
「気候変動による、いわゆる温暖化に加えて、ヒートアイランドという都市特有の現象も加わっています。気温が高くなると、それだけ芽の動きが早くなって早く咲くということです」
では、このまま気温の上昇が続くと、ソメイヨシノの開花は、さらに早まっていくのでしょうか?
勝木さん
「実はそこが違いまして…あんまり暖かくなりすぎると、今度は逆に遅く咲くという現象も見られます」
「実はそこが違いまして…あんまり暖かくなりすぎると、今度は逆に遅く咲くという現象も見られます」
その異変が顕著に出ているのが、鹿児島のソメイヨシノです。

福岡と鹿児島の過去10年のソメイヨシノの開花日です。
以前は比較的温暖な鹿児島が早く咲く傾向でしたが、近年では、鹿児島のほうが遅い場合が多くなっています。
以前は比較的温暖な鹿児島が早く咲く傾向でしたが、近年では、鹿児島のほうが遅い場合が多くなっています。

さらに去年、鹿児島では開花が遅くなるだけではなく、一部がつぼみのまま花が咲かない個体も見られたのです。
勝木さん
「薩摩半島のいちばん南に指宿市があるんですが、それぐらいまで行くとちゃんと咲かないソメイヨシノも去年確認しています。鹿児島だと、おそらくソメイヨシノはあと50年したら、もうほとんど咲かなくなるんじゃないかなということが考えられます」
「薩摩半島のいちばん南に指宿市があるんですが、それぐらいまで行くとちゃんと咲かないソメイヨシノも去年確認しています。鹿児島だと、おそらくソメイヨシノはあと50年したら、もうほとんど咲かなくなるんじゃないかなということが考えられます」
ソメイヨシノの開花のメカニズム
なぜそんなことが起きるのか?

ソメイヨシノの花芽は開花前年の夏に作られます。
そのまま開花しないよう秋から冬にかけていったん休眠し、冬の寒さによる刺激を受けることで休眠が解除されます。
その後、春先の暖かさによって成長を続け、やがて開花する仕組みです。
このように、開花には寒さによる刺激が必要ですが…
そのまま開花しないよう秋から冬にかけていったん休眠し、冬の寒さによる刺激を受けることで休眠が解除されます。
その後、春先の暖かさによって成長を続け、やがて開花する仕組みです。
このように、開花には寒さによる刺激が必要ですが…
勝木さん
「冬が暖かすぎると、この休眠がうまく解除されなくなるという現象が起こります」
「冬が暖かすぎると、この休眠がうまく解除されなくなるという現象が起こります」

勝木さん
「ずっと秋だと思って、春が来てないなと勘違いしてしまうということですね」
「ずっと秋だと思って、春が来てないなと勘違いしてしまうということですね」
各地域で楽しめるサクラを
いずれ、鹿児島などの温暖な地域では咲かなくなってしまうおそれもあると懸念されているソメイヨシノ。
ただ、ほかにも、日本には温暖な環境に適したサクラがたくさんあるといいます。
勝木さんはこれからも各地でお花見を楽しめるよう、その地域の気候にあったサクラを増やす研究を進めているということです。
ただ、ほかにも、日本には温暖な環境に適したサクラがたくさんあるといいます。
勝木さんはこれからも各地でお花見を楽しめるよう、その地域の気候にあったサクラを増やす研究を進めているということです。
勝木さん
「ソメイヨシノの代わりとして南九州ならばツクシヤマザクラ、紀伊半島のほうにはクマノザクラというのもあります。やっぱりお花見はやり続けてほしいので、代わりになるサクラを準備しないといけないと思っています。またみんなが楽しめるサクラを再度作り出すということに挑戦しています」
「ソメイヨシノの代わりとして南九州ならばツクシヤマザクラ、紀伊半島のほうにはクマノザクラというのもあります。やっぱりお花見はやり続けてほしいので、代わりになるサクラを準備しないといけないと思っています。またみんなが楽しめるサクラを再度作り出すということに挑戦しています」
ソメイヨシノ以外にも、すばらしいサクラはたくさんあるということなのでいろんなサクラを楽しんでほしいと、勝木さんは話していました。

「なぜ?」、実は知りたい「そもそも」をこれからも考えていきましょう。
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