北朝鮮から弾道ミサイル発射 EEZ外落下か 変則的軌道の可能性

防衛省によりますと、19日午前、北朝鮮から弾道ミサイル1発が発射され、日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したとみられています。
ミサイルは変則的な軌道で飛行した可能性があるということです。
船舶や航空機への被害の情報は入っていないということで、防衛省が引き続き情報の収集と警戒・監視を続けています。

防衛省によりますと、19日午前11時5分ごろ、北朝鮮西岸付近から弾道ミサイル1発が東の方向に発射されました。

最高高度はおよそ50キロ、飛行距離はおよそ800キロで、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海に落下したと推定され、変則的な軌道で飛行した可能性があるということです。

船舶や航空機への被害の情報は入っていないということです。

北朝鮮は今月16日にもICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル1発を発射していて、弾道ミサイルを発射したのはことし7回目となります。

またミサイル発射は、北朝鮮が発表した戦略巡航ミサイルを含めると、ことし9回目です。

防衛省は外交ルートを通じて北朝鮮側に厳重に抗議し、情報の収集を進めるとともに、警戒と監視を続けています。

岸田首相 情報収集や分析に全力などを指示

岸田総理大臣は、情報の収集と分析に全力を挙げ国民に対し、迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに不測の事態に備え、万全の態勢をとることを指示しました。

井野防衛副大臣 北京の大使館ルート通じ 北朝鮮に厳重に抗議

井野防衛副大臣は記者団に対し「北朝鮮は、今月16日にもICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイルを発射しており、一連の行動は、わが国や地域、国際社会の平和と安全を脅かすもので、断じて容認できない」と述べ、北朝鮮側に対し、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議したことを明らかにしました。

韓国軍の合同参謀本部も発表

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が19日午前11時5分ごろ、北西部のピョンアン(平安)北道トンチャンリ(東倉里)付近から短距離弾道ミサイル1発を発射したと発表しました。

飛行距離はおよそ800キロで、高度については明らかにしていません。

北朝鮮は、去年に続いてことしに入ってからも、毎月、弾道ミサイルや巡航ミサイルの発射を繰り返し、今月16日にもICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星17型」を発射したばかりです。

米韓両軍は、朝鮮半島有事を想定した定例の合同軍事演習を今月13日から23日の日程で行っていて、北朝鮮はこれに強く反発しています。

今月7日には、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏が談話を発表し「いつでも適切かつ迅速に、圧倒的な行動をとれる態勢を常に維持している」として、米韓両国への対決姿勢を強調しました。

さらに朝鮮労働党の中央軍事委員会の拡大会議で「戦争抑止力をより効果的に行使するとともに威力的、攻勢的に活用するための重大な実践的措置を決定した」と今月12日に発表していました。

北朝鮮はたび重なる発射で、米韓両国への対決姿勢を示しています。

北朝鮮の最近のミサイル発射

北朝鮮はことしに入って、元日に「超大型ロケット砲」と呼ぶ短距離弾道ミサイル1発を発射しました。

先月、18日にICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星15型」1発、20日に「超大型ロケット砲」2発をそれぞれ発射しました。

また、23日に戦略巡航ミサイル「ファサル2型」4発を発射したと、翌日になって発表しています。

そして今月は、9日に「火力襲撃訓練」として短距離弾道ミサイル6発を発射したほか、12日に潜水艦からの発射訓練として、戦略巡航ミサイル2発を発射したと、その翌日に発表しました。

さらに14日には「地対地戦術弾道ミサイル」の発射訓練として短距離弾道ミサイル2発を発射したのに続き、16日もICBM級の「火星17型」1発を発射していました。

北朝鮮 米韓両国への対決姿勢を鮮明に

北朝鮮は、抑止力の強化を図る米韓両国に対して、対決姿勢を鮮明にしています。

米韓両軍は、朝鮮半島有事を想定して今月13日から23日までの日程で定例の合同軍事演習を行っています。

一方で北朝鮮は、先月の軍事パレードでICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星17型」や片側9輪の移動式発射台に搭載された新型ミサイルを誇示しました。

また、今月7日には、キム・ジョンウン総書記の妹、キム・ヨジョン氏が談話を発表し「いつでも適切かつ迅速に、圧倒的な行動をとれる態勢を常に維持している」として、米韓両国への対決姿勢を強調しました。

さらに、朝鮮労働党の中央軍事委員会の拡大会議で「戦争抑止力をより効果的に行使するとともに威力的、攻勢的に活用するための重大な実践的措置を決定した」と今月12日に発表し、米韓両国に対抗する構えを示していました。

韓国とアメリカが空軍の共同訓練実施 B1爆撃機参加

韓国軍は、アメリカ軍とともに、空軍の共同訓練を19日に実施したと発表しました。

訓練は事前に計画されたもので、北朝鮮が強く警戒するアメリカのB1爆撃機のほか、米韓両軍の戦闘機が参加して、朝鮮半島上空で行われたということです。

公開された映像では、B1爆撃機2機が戦闘機と編隊を組んで飛行している様子が映されています。

B1爆撃機が参加した共同訓練は今月3日以来で、韓国軍は「堅固な防衛態勢と、有事における強力な戦略的打撃能力を強化した」と強調しました。

日米韓が電話協議 抑止力強化などで緊密連携改めて確認

北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて、外務省の船越アジア大洋州局長は、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国外務省のキム・ゴン朝鮮半島平和交渉本部長と、電話で対応を協議しました。

協議では、19日のミサイル発射を強く非難したうえで、前例のない頻度と方法で発射を繰り返していることは地域の安全保障にとって差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だという認識を共有しました。

そして、国連安保理決議に沿った北朝鮮の完全な非核化に向けて、地域の抑止力強化や安保理での対応などで、引き続き日米韓3か国で緊密に連携することを改めて確認しました。