“ウクライナに戦闘機供与” ポーランドとスロバキアが表明

ウクライナ南部に面した黒海の上空で、アメリカ軍の無人機がロシア軍機の妨害を受けたあと墜落したとアメリカ側が発表し、ロシアが反発するなど双方がけん制し合っています。一方、ポーランドやスロバキアがウクライナに旧ソビエト製の戦闘機を供与すると表明し、ウクライナ側の反転攻勢の追い風になるかが焦点です。

アメリカ軍はウクライナ南部に面した黒海の上空で14日、偵察用の無人機がロシア軍の戦闘機から妨害行為を受けて衝突し、制御できなくなったため海上に墜落させたと発表しています。

さらに、無人機がロシア軍機と衝突したときに撮影したとする映像を公表し、ロシア側に安全な飛行を行うよう重ねて求めました。

この映像についてロシア側は、直接コメントしていませんが、ロシア国防省は17日、「ショイグ国防相はアメリカ軍の無人機の侵入を阻止した戦闘機の乗組員に勲章を授与する」とたたえ、さらに、「ロシアの戦闘機は武器を使用せず、無人機との接触もなかった」と従来の主張を繰り返しています。

また、プーチン大統領の側近も無人機を回収して軍事機密を入手するとして、アメリカをけん制しています。

ロシアの前の大統領で、安全保障会議のメドベージェフ副議長は17日、SNSに「アメリカは正気ではない。軍どうしが連絡を取り合うことは必要だが、アメリカとの協力は間違っている」などと投稿し、批判しました。

こうした中、ポーランドのドゥダ大統領は16日、旧ソビエト製のミグ29戦闘機4機を数日中に、ウクライナに供与すると表明しました。

さらに、ウクライナの隣国のスロバキアのヘゲル首相も17日、13機のミグ29を供与すると明らかにしました。

欧米メディアは、実現すればNATO=北大西洋条約機構の加盟国として初めての戦闘機の供与になると伝えていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「ウクライナ空軍はすでにミグ29を運用していて、受け取った場合、次の反転攻勢に使用できる」と分析しています。

これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「NATOの加盟国の多くが、紛争への直接的な関与のレベルを上げる、新たな事例となる」と反発しています。