宮内庁の「馬車列」復活 天皇ご一家ゆかりの馬も

今月、東京駅前に現れた伝統的な馬車の列。皇居で儀式に臨む新任の外国大使を乗せるもので、3年ぶりに復活しました。実はこの日、天皇ご一家ゆかりの馬もデビュー。
今後、馬車を引いて走る姿を、多くの人が目にすることになりそうです。
(社会部・藤田公平)

宮内庁の馬車列 3年ぶりに復活

3月8日、菊の紋章があしらわれた漆塗りの馬車の列が、東京駅の貴賓玄関から皇居に向けて出発しました。

馬車が乗せているのは、日本に着任した外国大使。

新任の大使は、皇居・宮殿で、本国からの信任状を天皇陛下に手渡す「信任状捧呈式」に臨むことになっています。
宮内庁によりますと、信任状捧呈式にあたり大使の送迎に馬車を使っている国は、イギリスやスペインなど数か国しかなく、世界的にも珍しいということです。

乗用車での送迎を選ぶこともできますが、ほとんどの大使が馬車を希望します。

新型コロナウイルスの影響で令和2年(2020年)3月を最後に、馬車での送迎は中止されていましたが、この日、3年ぶりに復活しました。

天皇ご一家ゆかりの馬

馬車を引く馬は、栃木県にある宮内庁の御料牧場で育てられ、一定の大きさに成長すると皇居内のきゅう舎に移されます。
動物好きの天皇皇后両陛下と愛子さまも、皇居を散策する際、きゅう舎を訪れ、馬とのふれあいを楽しまれることがあるということです。

去年の愛子さまの誕生日にあたり、宮内庁が公開した映像では、愛子さまが馬ににんじんを与えては鼻先を優しくなでています。

この茶色の毛並みが美しい馬、名前は「咲姫」(さきひめ)といいます。

「姫」とは言うものの、雄の4歳馬です。

撮影には両陛下も立ち会い、愛子さまを見守りながら「咲姫」とふれあわれたということです。

両陛下も見守った馬車列

大使を乗せる馬車列が復活した今月8日、馬車を引いた馬の中に「咲姫」の姿がありました。
(手前が「咲姫」)

この日が、「咲姫」のデビューの日だったのです。

「咲姫」は、パキスタンの大使の馬車を引く役を担いました。
(向かって左側が「咲姫」)

オフィス街の並木道を通過する際には、沿道に集まった人たちが写真や動画に収めていました。

皇居までの約1キロの道のりをゆっくりと進む様子は、天皇皇后両陛下も、テレビのニュースでご覧になりました。

側近によりますと、両陛下は、多くの人が馬車列の再開を喜んでいたことをうれしく思うとともに、美しく整えられた馬車列を感慨深そうに見られていたということです。

宮内庁によりますと、信任状捧呈式は、その年にもよりますが、年間およそ30件。

今後、天皇ご一家ゆかりの「咲姫」が馬車を引いて走る姿を、目にする機会も増えることになりそうです。