経営懸念の米銀行 “11の大手金融機関から約4兆円の預金”

経営への懸念が高まっていたアメリカ西部に拠点を置く銀行「ファースト・リパブリック・バンク」は、11の大手金融機関からあわせて300億ドル、日本円でおよそ4兆円の預金を受け取ると発表しました。経営悪化への懸念を払拭(ふっしょく)し、破綻の連鎖を避けるねらいがあるとみられます。

「ファースト・リパブリック・バンク」は16日、金融大手JPモルガン・チェースなど11の大手金融機関からあわせて300億ドル、日本円でおよそ4兆円の預金を受け取ると発表しました。

この銀行は西部カリフォルニア州に拠点を置き、富裕層向けのビジネスなどで知られていて、去年末時点の総資産は2126億ドル、日本円でおよそ28兆円です。

銀行の資料によりますと、去年末時点の預金残高のうち、推定でおよそ67%にあたる1195億ドル、日本円でおよそ16兆円が預金保護の対象外だということです。

保護されない預金の割合が大きいことから、アメリカで2つの銀行が相次いで経営破綻したあと、株価は先週末と比べて一時78%下落したほか、複数の大手格付け会社から格付けを引き下げられ、経営への懸念が高まっていました。

ほかの金融機関から巨額の預金を受け取ることを金融市場に示すことで、経営悪化への懸念を払拭し、破綻の連鎖を避けるねらいがあるとみられます。

ファースト・リパブリック・バンク「支援は信任投票」

「ファースト・リパブリック・バンク」のハーバート会長とロフラーCEOは「11の金融機関からの支援は私たちの銀行の流動性を強化し、今のビジネスの質を反映するもので、当行とアメリカの銀行システム全体への信任投票となる」とコメントしています。

米財務省とFRB「最も歓迎すべきこと」

アメリカ財務省のイエレン長官とFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長などは「大手銀行グループによる支援の表明は最も歓迎すべきことであり、アメリカの銀行システムの健全さを示すものだ」という共同声明を発表しました。