【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア大統領府「直接的な関与レベル上げる新たな事例だ」

ポーランドとスロバキアが相次いで、ウクライナに戦闘機を供与すると表明したことに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は17日、「NATO=北大西洋条約機構の加盟国の多くが、紛争への直接的な関与のレベルを上げる、新たな事例となる」と反発しました。

また、「こうした供与が特別軍事作戦の結果に影響を与えることはないが、ウクライナやウクライナの人々にさらなる不幸をもたらすことになるだろう。当然、こうした兵器は軍事作戦の標的となる」と述べ、ウクライナを支援するヨーロッパ側の動きをけん制しました。

スロバキアも戦闘機の供与決める

ポーランドがウクライナに旧ソビエト製のミグ29戦闘機を供与すると表明したのに続いて、ウクライナの隣国のスロバキアも17日、供与を決めました。

スロバキアのヘゲル首相は17日、ツイッターに「政府はウクライナに13機のミグ29を送ることを承認した。軍事支援はウクライナがロシアから身を守るためのカギだ」と投稿しました。

ミグ29をめぐっては、ポーランドのドゥダ大統領が16日、数日中に4機をウクライナに引き渡すと表明しています。

ウクライナへの戦闘機の供与は、実現すればNATO=北大西洋条約機構の加盟国で初めてとなります。

ロシア国防省「米無人機を阻止した乗組員に勲章授与」

アメリカ軍はウクライナ南部に面した黒海の上空で14日、偵察用の無人機がロシア軍の戦闘機から妨害行為を受けて衝突して制御できなくなったため海上に墜落させたと発表し、無人機がロシア軍機と衝突したときに撮影したとする映像を公表してロシア側に安全な飛行を行うよう重ねて求めました。

この映像についてロシア側は直接コメントしていませんが、ロシア国防省は17日「ショイグ国防相はアメリカ軍の無人機の侵入を阻止した戦闘機の乗組員に勲章を授与する」とたたえ、さらに「ロシアの戦闘機は武器を使用せず、無人機との接触もなかった」と従来の主張を繰り返しています。

またプーチン大統領の側近も無人機を回収して軍事機密を入手するとして、アメリカをけん制しています。

ロシアの前の大統領で、安全保障会議のメドベージェフ副議長は17日、SNSに「アメリカは正気ではない。軍同士が連絡を取り合うことは必要だが、アメリカとの協力は間違っている」などと投稿し、批判しました。

マリウポリの劇場攻撃から1年 ウクライナ各地で追悼集会

ウクライナ東部、ドネツク州のマリウポリでは去年3月16日、子どもを含む大勢の市民が避難していた劇場が攻撃され、地元の市議会は、ロシア軍による爆撃で300人以上が死亡した可能性もあるとしています。

攻撃から1年となった16日、ウクライナ各地で追悼集会が開かれ、このうち首都キーウでは、当時、劇場周辺に攻撃を避ける目的で書かれていたとみられるロシア語の「子どもたち」という文字をろうそくで再現し、犠牲者を悼んでいました。

攻撃を目撃したという男性は「どうかこの悲劇を記憶にとどめてもらいたい」と訴えていました。

ゼレンスキー大統領も16日、ビデオ演説で「邪悪な国家は責任をとる必要がある。われわれがマリウポリを解放し侵略者が裁かれる日が来る」と述べ、ロシアを非難しました。

また、国連人権理事会が設置した調査委員会は、16日に公開したウクライナの人権状況についての報告書で、ロシア軍は、民間人がいるかどうか確認するための措置をとらずにマリウポリの劇場を攻撃したと指摘しています。

この劇場をめぐっては去年12月、ロシア側が重機でがれきの撤去作業を始めたとマリウポリの幹部が明らかにしていて、ウクライナ側は、戦争犯罪をロシアが隠そうとしていると批判しています。

国連調査委員会 “ロシアの戦争犯罪行為を確認”

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの人権状況について国連人権理事会が設置した調査委員会は16日、ロシアが民間人への攻撃や虐殺、それに子どもの連れ去りなど戦争犯罪にあたる行為が確認されたとする報告書を公開しました。

調査委員会はウクライナなどで現地調査を行い、595人から聞き取りを行った一方、ロシア側からの協力は得られていないとしています。

報告書ではロシア側の行為として、民間人への攻撃やブチャを含むキーウ地域などで男性65人、女性2人、それに14歳の少年が処刑されたことを確認したとした上で、手や足を縛られたり、近距離から頭を撃たれたりした遺体もあったとしています。

また、4歳から82歳に対する性的暴力や、子どもの連れ去りについても戦争犯罪に相当すると指摘しています。

さらにロシアによる去年10月以降のエネルギー関連施設への攻撃については厳しい寒さの中、多くの人が電気や暖房を使えず「人道に対する罪」にあたる可能性がありさらなる調査が必要だとしています。

一方、報告書ではロシア側の捕虜に対する銃撃などウクライナ側による戦争犯罪とされる違反行為も確認されたと指摘しています。

ポーランド大統領 “ウクライナに戦闘機供与”

ポーランドは旧ソビエト製のミグ29戦闘機をウクライナに供与する意向を示してきましたが、ドゥダ大統領は16日、首都ワルシャワで行った記者会見で「今後、数日中に4機の戦闘機を引き渡す」と述べ近く4機のミグ29を供与すると表明しました。

欧米メディアは実現すればNATO加盟国として初めての戦闘機の供与になると伝えています。

またドゥダ大統領は4機以上を供与する可能性も示唆しました。

ウクライナと国境を接するポーランドはウクライナへの軍事支援を積極的に進めていて、先に供与が決まったドイツ製戦車「レオパルト2」もいち早く自国が保有する戦車を供与すると表明し、ドイツなどが続く形となりました。

ミグ29を巡っては、同じくウクライナの隣国のスロバキアも供与に前向きな姿勢を示しています。

一方、主要な支援国のアメリカはウクライナ側が求めているF16戦闘機の供与について慎重な姿勢を示しています。

中国外相“和平交渉再開を望む” ウクライナ外相と電話会談

中国外務省は16日、秦剛外相とウクライナのクレバ外相が電話で会談したと発表しました。

中国外務省によりますと会談で秦外相は「危機がエスカレートして制御できなくなることを懸念している」と述べたうえで「関係国ができるだけ早く和平交渉を再開することを望む」として、ロシアとの停戦に向けて建設的な役割を果たす考えを示したということです。

一方、クレバ外相は16日、会談についてツイッターに「領土の一体性の重要性について意見を交わした。私はゼレンスキー大統領が掲げる和平に向けた方針の重要性を強調した」と投稿しました。
ゼレンスキー大統領は、中国が先月発表したロシアとウクライナに対話と停戦を呼びかける文書について、一定の評価をするとともに習主席と会談したい意向を示しています。

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルの電子版は、習主席がゼレンスキー大統領とオンラインでの会談を計画していると伝えていて、会談に向けた調整が行われた可能性もあります。

激戦のバフムト ロシアの進軍鈍化

ウクライナ側の拠点の一つドネツク州のバフムトをめぐっては、ロシアの民間軍事会社ワグネルの部隊などとウクライナ軍との激戦が続いています。

ウクライナ軍が防衛線を築いて徹底抗戦するなか、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は15日、ロシア側は兵員や砲弾の損失によって、バフムトを包囲したり中心部を掌握したりすることが難しくなっていると分析しました。

そして、東部の戦線でロシア軍の攻撃回数が今週に入って大幅に減っているとするウクライナ側の発表を引用しながら「ロシア側の進軍のペースは、前の週と比べて落ちているようだ」として、進軍の動きが鈍っているという見方を示しました。

また、イギリス国防省は16日、ドネツク州の別の激戦地ブフレダルについて、ロシア軍が過去3か月にわたって攻撃を仕掛けながらウクライナ軍の抗戦で失敗を繰り返し、先週の攻撃回数が明らかに減っていると指摘しました。

ロシアがクリミア併合から9年で「オンライン会議」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は16日、記者団に対してプーチン政権がウクライナ南部クリミアを併合して18日で9年となることに触れ「17日と18日に関連の会議をオンラインで開く」と述べました。

去年の同じ日には、プーチン大統領がイベント会場で演説し、ウクライナへの軍事侵攻の正当性を国民に訴えましたが、ロシアの有力紙ベドモスチは16日、同じような大規模なイベントは行われない見通しだとした上で「動員などもある中、当時の喜びに浸るのは適切ではない」という専門家の見解を伝えています。