理事会のあとの記者会見でラガルド総裁は「インフレ率を2%に戻す決意は揺るぎない」と改めて述べる一方、今の経済分析には直近の金融危機が市場に与えた影響は織り込んでいないとし、今後の政策運営については不確実性があることも明らかにしました。
そのうえで「物価の安定と金融の安定はどちらかしか実現できないトレードオフの関係にあるわけではなく、今回それを実証していると思う」と述べ、インフレを抑えるために利上げを進めても、金融市場の安定を損なうわけではないという考えを強調しました。
また、スイスの大手金融グループ「クレディ・スイス」の経営に対する懸念が金融市場の動揺につながったことについて、ラガルド総裁は2008年のリーマンショックのときの経験を引き合いに出し、「何が起こったのか、何をしなければならなかったのか、私は明確に覚えている。ヨーロッパの金融機関は財務基盤の強化に取り組み、今は当時よりも格段にしっかりしている」と述べました。
当時、ラガルド氏はフランスの経済相を務めていて、危機対応にあたっていました。

欧州中銀 0.5%の大幅利上げ決定 インフレ抑制優先の姿勢示す
ヨーロッパ中央銀行は金融政策を決める理事会を開き、先月予告していたとおり、0.5%の大幅な利上げを決めました。アメリカの銀行の相次ぐ破綻やスイスの大手金融機関の経営に対する懸念が高まるなかでも、インフレの抑制を優先する姿勢を示しました。
ヨーロッパ中央銀行は16日、本部があるドイツのフランクフルトで理事会を開きました。
このなかで主要な政策金利を0.5%引き上げ、3.5%にすることを決めました。
利上げは去年7月以降、6回連続となります。
ヨーロッパ中央銀行は先月の理事会でインフレを抑えるためにはさらなる利上げが必要だとして、今回の0.5%の大幅利上げを予告していました。
ただ、今月に入ってアメリカの銀行が相次いで破綻したのに続き、ヨーロッパでもスイスの大手金融グループ「クレディ・スイス」の経営に対する懸念が高まり、金融市場に動揺が走るなかで予告通りに利上げするのか注目されていました。
ヨーロッパ中央銀行は理事会のあとの声明で「インフレは長期にわたり高すぎる状態が続くとみられ、2%の目標を実現する決意のもと利上げを決めた」としてインフレの抑制を優先する姿勢を示しました。
一方、現在の金融市場の動きについては「ユーロ圏の銀行は強固な資本と十分な資金を保有している」としたうえで「必要に応じて流動性資金の支援を提供する」と表明し、金融システムの安定をはかる考えを強調しました。