「袴田事件」弁護団 検察に特別抗告の断念を改めて要請

いわゆる「袴田事件」で袴田巌さんの再審=裁判のやり直しが認められたことを受けて、弁護団が16日、検察に対して最高裁判所に特別抗告をしないよう改めて要請しました。

袴田巌さん(87)は、57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で死刑が確定しましたが、無実を訴えて裁判のやり直しを求め、今週13日、東京高等裁判所で認められました。

決定を受けて弁護団は16日、東京高等検察庁に特別抗告をしないよう改めて求める上申書を提出しました。

このあと弁護団は記者会見し、検察の主張に対する新たな見解を公表しました。

高裁の審理では、死刑判決の決め手となった「5点の衣類」についた血痕の色の変化が争点となり、検察は血痕が付いた布を1年以上みそに漬ける実験を行って「一部には赤みがみられ、赤みが残る可能性を十分に示すことができた」と主張しました。

これについて弁護団が、色彩に関する専門家に依頼して布の写真を分析したところ、長期間みそに漬けた場合、血痕が色合いを失うのに対し、みそは色が鮮やかになることが分かったということです。

弁護団は「検察が『赤みが残った』と主張している部分は血痕ではなくみその色だ」として、検察が特別抗告した場合にはこの分析結果を最高裁に提出する考えです。

小川秀世弁護士は「特別抗告をしないという結論を早く出して袴田さんを安心させてほしい」と話していました。