【会見ノーカット動画も】日韓首脳の発言は?記者会見を詳しく

岸田総理大臣と韓国のユン・ソンニョル大統領は総理大臣官邸で首脳会談を行ったあと、午後6時34分からそろって記者会見に臨みました。

両首脳の発言について、詳しくお伝えします。

岸田首相「日韓関係をさらに発展させていくことで一致」

岸田総理大臣は、共同記者会見で「ユン大統領の訪日を心から歓迎する。今週、東京では桜の開花を迎えたが、長い冬の時期を抜けて2国間訪問としては、およそ12年ぶりに韓国の大統領を日本にお迎えした」と述べました。

その上で「ユン大統領との首脳会談において、現下の戦略環境の中で、日韓関係の強化は急務であること、そして1965年の国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係をさらに発展させていくことで一致した」と述べました。

岸田首相 「徴用」韓国措置を評価

岸田総理大臣は「先般、韓国政府は、旧朝鮮半島出身労働者問題に関する措置を発表した。日本政府としては、この措置を、非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価している」と述べました。

岸田首相「シャトル外交を再開させることで一致」

岸田総理大臣は「日韓関係の新たな章を開くために、今回、ユン大統領との首脳会談において、両国の首脳が形式にとらわれず頻繁に訪問するシャトル外交を再開させることで一致した」と述べました。

岸田首相「歴史認識 全体として引き継いでいることを確認」

岸田総理大臣は「日本政府は1998年10月に発表した日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認した。今後、韓国側の措置の実施とともに、両国間の政治、経済、文化などの分野における交流が力強く拡大していくことを期待する」と述べました。

岸田首相「安全保障対話など早期に再開を」

岸田総理大臣は「日韓関係について、多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくことで一致した。具体的には、まずはこれまで長い期間中断していた『日韓安全保障対話』や『日韓次官戦略対話』を早期に再開すること、そしてハイレベルの日韓中プロセスを早期に再起動する重要性について一致した」と述べました。

岸田首相「経済安全保障に関する協議を立ち上げ」

岸田総理大臣は「新たに日韓間で経済安全保障に関する協議を立ち上げることとした。さらに輸出管理分野においても進展があった。今後、各政策分野で担当省庁間の対話を幅広く推進していく」と述べました。

岸田首相「日韓協力・交流のための基金を歓迎」

岸田総理大臣は「民間の交流・協力は2国間関係を下支えする屋台骨だ。両国の経済団体が未来志向の日韓協力・交流のための基金を創設すると表明したことを歓迎する。政府としても未来を担う若者の交流を引き続き支援していく」と述べました。

そして「いまや、両国の交流が戻り、それぞれの訪問外国人数において、日韓は、お互いに最大数を占めている。今後、人的交流の活発化と関係改善の好循環がさらに加速化することを大いに期待する」と述べました。

岸田首相「安全保障協力の重要性確認」

岸田総理大臣は「現下の厳しい安全保障環境についても認識を共有した。とりわけ、けさのICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル発射を含め、核・ミサイル活動をさらに進める北朝鮮への対応については、日米同盟、韓米同盟の抑止力や対処力をいっそう強化し、日韓、日韓米3か国の間でも安全保障協力を力強く推進していくことの重要性を確認した」と述べました。

その上で「北朝鮮との対話の窓は開かれているということに変わりはない。拉致問題については、ユン大統領から改めて力強い支持を頂いた」と述べました。

岸田首相「『自由で開かれたインド太平洋』の重要性確認」

岸田総理大臣は「歴史の転換期において『自由で開かれたインド太平洋』を実現する重要性について確認し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くため同志国が力を合わせていく必要性について認識を共有した」と述べました。

その上で「今回のユン大統領の訪日を契機として信頼と友情が育まれ、日韓関係が大いに飛躍することを期待している」と述べました。

岸田首相「訪韓の具体的時期は決まってはいない」

岸田総理大臣は「『シャトル外交』の再開について一致したが、まさに今回はその第1弾と考えてよいと思っている。今後、適切な時期の訪韓を検討することになると思うが、今の時点で具体的な時期については決まってはいない」と述べました。

その上で「今後、双方が形式にとらわれず頻繁に訪問する中で、日韓関係の新たな章を開きたい。ユン大統領との間で個人的な信頼関係をさらに培いつつ、日韓両国がともに利益を得られる協力を進めるとともに、課題や懸案について腹蔵なく話し合っていく」と述べました。

岸田首相「徴用」求償権の行使は想定せず

韓国政府の傘下にある財団が原告への支払いを終えたあと、日本企業に弁済を求める、いわゆる「求償権」をめぐり、岸田総理大臣は「ユン大統領の力強いリーダーシップのもと、韓国の財団が判決金などを支給する措置が発表された。措置の趣旨に鑑み、求償権の行使は想定していないものと承知をしいる」と述べました。

その上で「いずれにせよ、今後、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化など幅広い分野における交流が力強く拡大していくことを期待をしている」と述べました。

岸田首相「ユン大統領の訪日は正常化の大きな1歩」

岸田総理大臣は「今般のユン大統領の訪日は、日韓関係の正常化にとって、大きな1歩となる訪日となった」と述べました。

ユン大統領 「徴用」求償権の行使は想定せず

ユン大統領は「徴用」をめぐる問題の解決策として、韓国政府の傘下にある財団が原告への支払いを終えたあと、日本企業に弁済を求めるいわゆる「求償権」の扱いについて問われたのに対し「求償権の行使は解決策を発表した趣旨に関連して想定していない」と述べました。

ユン大統領「韓国と日本は協力すべきパートナー」

ユン大統領は岸田総理大臣との首脳会談のあとの記者会見で「韓国大統領として12年ぶりに訪問し、首脳会談を行うことができてうれしく思う。大統領就任当時の韓日関係を考えると、首脳会談の結果を説明する意味は格別だ」と述べました。

その上で「韓国と日本は、自由、人権、法治の普遍的価値を共有し、安全保障や経済、グローバルアジェンダで共同の利益を追求する最も近い隣国であり、協力すべきパートナーだ。これまで冷え込んできた両国関係によって、両国の国民が直接・間接的に被害を受けてきたことに共感し早期に回復、発展させていくことで一致した」と述べました。

そして「両国の未来をともに進めるという国民のコンセンサスを受け、安全保障、経済、人的文化の交流など、多様な分野で協力を推進するための議論をさらに加速化することにした」と述べました。

ユン大統領「首脳会談でGSOMIAの完全正常化を宣言した」

ユン大統領は日韓の軍事情報包括保護協定=GSOMIAについて「首脳会談でGSOMIAの完全正常化を宣言した」と述べました。

ユン大統領 「徴用」解決策「未来志向的な発展を議論する土台」

ユン大統領は「両首脳は、『徴用』をめぐる解決策の発表を契機に、両国が未来志向的な発展をこれから本格的に議論する土台が用意されたと評価した」と述べました。

その上で、北朝鮮がけさ長距離弾道ミサイルを発射したことについて「北の核・ミサイル開発が朝鮮半島や北東アジア、それに世界の平和を脅かすという認識で一致した。日増しに高度化している核・ミサイルの脅威に対応するためには、韓米日3か国の協力が非常に重要で、今後、積極的に協力していくことで一致した」と述べました。

ユン大統領「今回の会談は新しい関係を切り開く第一歩」

ユン大統領は、1998年に当時の小渕総理大臣とキム・デジュン大統領が発表した「日韓共同宣言」からことしで25年になることに触れ「今回の会談は、共同宣言の精神を発展的に継承し、両国間の不幸な歴史を克服し、新しい関係を切り開く第一歩となった。今後も『シャトル外交』を通じて積極的に意思疎通し協力していく」と強調しました。