日本政府 韓国向け輸出管理解除へ 韓国もWTO提訴取り下げへ

日韓両政府は、16日まで3日間、局長級の政策対話を行い、日本が韓国に対して厳しくしていた半導体の原材料など3品目の輸出管理の措置を、解除すると発表しました。

日本は、韓国側の貿易管理に関する審査体制が十分でないなどとして、いずれも2019年に、半導体や有機ELパネルなどに使われる、高純度のフッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドの3品目について、韓国向けの輸出管理を厳しくしたほか、輸出の手続きを簡略化できる優遇措置の対象国から、韓国を除外していました。

発表によりますと、日韓両政府は16日まで3日間、局長級の政策対話を行い、韓国側が日本側の措置に対抗して2020年に行った、WTO=世界貿易機関への提訴を取り下げることを確認したということです。

これを受けて、日本が韓国に対して厳しくしていた半導体の原材料など3品目の輸出管理の措置を、解除することも確認したということです。

経済産業省は、3品目の輸出管理を適切に行っていると認めた日本企業などには、原則3年間、輸出許可の申請を免除することにしています。

2019年7月に輸出管理が厳しくなった3品目は、半導体やスマートフォンなどの製造に使われ、世界の生産量に占める日本企業のシェアが高いのが特徴です。

日本政府としては、政策対話を通じて韓国側の審査体制などの実効性を確認できたとしていて、およそ4年ぶりに輸出管理を厳しくする措置を解除することになりました。

一方、輸出の手続きを簡略化できる優遇措置の対象国に韓国を加えるかどうかについては、引き続き政府間で対話を進めることにしています。

韓国側も提訴取り下げ発表

韓国での「徴用」をめぐる裁判で、日本企業に賠償を命じる判決が確定した翌年の2019年、日本政府は、半導体の原材料など韓国向けの輸出管理を厳しくする措置をとりました。

これに反発した韓国政府は、日本政府の措置が国際的な貿易ルールに違反しているとして、2020年にWTO=世界貿易機関に提訴していました。

これについて韓国の産業通商資源省は、16日までの3日間、日本との局長級の政策対話が行われ、韓国側が行ったWTOへの提訴を取り下げると発表しました。

イ・チャンヤン(李昌洋)産業通商資源相は記者会見で「今回の合意は信頼構築の第一歩であり、両国の経済協力の礎になるものだ」と述べました。

韓国政府は、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決策を発表した今月6日、「日本側との協議が行われている間は紛争解決手続きを中断することにした」と明らかにしていました。

ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権としては、冷え込んでいた日韓関係の改善を重視する立場から、首脳会談の開催に合わせて、これまでの姿勢を転換したとみられます。