【詳しく】日韓首脳会談 「シャトル外交」再開で一致

岸田総理大臣と韓国のユン・ソンニョル大統領の日韓首脳会談が16日行われ、両首脳は10年以上途絶えている、首脳間の相互訪問、「シャトル外交」の再開を確認しました。

戦後最悪とまで言われた日韓関係は改善に向けて大きく動き出しました。

首脳会談が行われた16日の動きを詳しくまとめました。

東京 銀座の飲食店を2軒はしごし意見交換

1軒目の日本料理店での夕食会には、裕子夫人とキム・ゴニ(金建希)夫人も同席しました。

政府関係者によりますと、松阪牛のすき焼きや、岸田総理大臣の地元・広島の地酒などを楽しんだということです。

続いて両首脳は通訳だけを伴って2軒目の洋食店に移り、ビールと焼酎を酌み交わしながらオムライスなどを食べました。

2人とも上着を脱ぎ、ネクタイも外して向き合い、くだけた雰囲気で意見交換を行ったということです。

すき焼きとオムライス、いずれもユン大統領の好物であることから、2つの店を用意したということで、岸田総理大臣としてはユン大統領を最大限のもてなしで迎えて本音ベースで語り合い、個人的な信頼関係を築くねらいがあったとみられます。

22:06 夕食会終了 16日のすべての日程を終了

午後10時6分、岸田総理大臣とユン・ソンニョル大統領が、東京・銀座の洋食店「煉瓦亭」を出ました。岸田総理大臣は、ユン大統領を見送った後、現場をあとにしました。これで、16日に予定されていたすべての日程が終了しました。

韓国政府高官「日本が十分に謝罪したという意味」

日韓首脳会談の終了後、ユン・ソンニョル大統領に同行している韓国政府の高官は、日本メディアの記者団に対し「両首脳の信頼が深まったのは事実で、政治的不信を取り除くことができたのが大きかったと思う。洋服の最初のボタンをうまくかけられた」と述べました。

また、ユン大統領が、1998年に当時の小渕総理大臣とキム・デジュン(金大中)大統領が発表した「日韓共同宣言」の精神を発展的に継承すると述べたことについて「日本が十分に謝罪したという意味だ。歴史認識についてこれ以上日本を疑わず、新たな未来に向かっていこうという意味の発言だ」と説明しました。

21:10 洋食店に入る

午後9時10分に、岸田総理大臣が12分にはユン・ソンニョル大統領が2軒目の会場、東京・銀座の洋食店「煉瓦亭」に入りました。政府関係者によりますと、両首脳は、オムライスを食べる予定だということです。

21:09 両首脳 日本料理店を出る

午後9時9分、岸田総理大臣とユン・ソンニョル大統領は、東京・銀座の日本料理店「銀座 吉澤」を出て、近くの洋食店に向かいました。

韓国側「未来志向の関係の発展を目指すことを確認できた」

ユン・ソンニョル大統領の日本訪問に同行している、韓国大統領府のキム・ソンハン(金聖翰)国家安保室長は、記者団に対し、日韓首脳会談の結果について「両首脳が両国のさまざまな懸案を振り返り、未来志向の関係の発展を目指すことを確認できた」と指摘しました。

その上で「最も近い隣国である日韓両国が、冷え込んだ関係を正常化し、緊密に協力して北東アジアや世界の平和に貢献するための礎を築いたことに意義がある。人的交流や経済協力がさらに活発になるきっかけになったと評価できる」と述べました。

また、韓国政府の関係者は、2019年を最後に開かれていない日中韓3か国の首脳会議について「現在、韓国が議長国だが、新型コロナウイルスの影響のほか、韓日関係が悪化したこともあり開催できずにいた。両国の関係が改善すれば、韓国で開催する条件もかなり改善される」と述べ、早期の開催に期待を示しました。

19:40 夕食会はじまる

午後7時40分、夕食会が銀座の日本料理店「銀座 吉澤」で始まりました。

19:38 ユン大統領が日本料理店に入る

午後7時38分、岸田総理大臣に続いて、ユン大統領が「銀座 吉澤」に入りました。

19:31 岸田総理大臣が日本料理店に入る

午後7時31分、岸田総理大臣は、ユン大統領との夕食をともにするため、最初の夕食会の会場、「銀座 吉澤」に入りました。

19:22 岸田総理大臣 官邸を出る

午後7時22分、岸田総理大臣は総理大臣官邸を出ました。
このあと、ユン大統領と銀座で夕食をともにすることにしています。

19:01 パク外相 官邸を出る

午後7時1分、韓国のパク・チン外相が総理大臣官邸を出ました。

19:01 ユン大統領 官邸を出る

午後7時1分、ユン大統領は総理大臣官邸を出ました。
このあと、両首脳は銀座で夕食をともにすることにしています。

18:59 共同記者会見が終わる

午後6時59分、日韓首脳の共同記者会見が終わりました。

18:34 共同記者会見が始まる

午後6時34分、岸田総理大臣と韓国のユン・ソンニョル大統領の共同記者会見が総理大臣官邸で始まりました。

18:15 日韓首脳会談の全体会合が終わる

午後6時15分、日韓首脳会談の全体会合が終わりました。予定されていた会談の日程はすべて終了しました。このあと、両首脳は、共同記者会見を行い、会談の成果などを発表することにしています。

岸田総理大臣「日韓関係の新たな章をともに開く機会」

岸田総理大臣は首脳会談の冒頭「春の訪れを迎えたこの日に、日韓関係の新たな章をともに開く機会が訪れたことを大変うれしく思う」と述べました。

そして、少人数会合で、10年以上途絶えている両首脳による相互訪問「シャトル外交」を再開させることで一致したことを明らかにしました。

その上で「全体会合では政治、経済、文化など多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を強化していくことなどについて意見を交わしたい」と述べました。

さらに16日朝の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について、「明確な挑発行為で、到底看過できない。厳しい戦略環境のもとでの日韓、日韓米の連携をさらに進めていくことも議論したい」と述べました。

ユン大統領「協力の必要性はさらに高まっている」

ユン大統領は、首脳会談の冒頭で「岸田総理大臣との会談は、これまでさまざまな懸案で難しい状況にあった韓日関係が新たに出発することを両国民に知らせる特別な意味がある。自由・人権・法治の普遍的価値を共有する日本は、安全保障や経済、グローバルアジェンダで協力すべきパートナーだ。自由民主主義の価値が重大な挑戦に直面しているいま、両国の協力の必要性はさらに高まっている」と述べました。

その上で「けさ東京へ出発する前の北の長距離弾道ミサイルの発射からも分かるように、日増しに高度化する北の核・ミサイルの脅威は、東アジアのみならず国際社会の平和と安定にも大きな脅威だ。両国は緊密に連携し、不法な脅威と国際社会の難題に賢明に対処しなければならない」と述べました。

さらに「きょうの会談では、これまで停滞してきた韓日関係を、協力と共生、発展の関係に転換する有益な議論ができると信じている。岸田総理大臣が述べた両国の『シャトル外交』についても積極的に歓迎する。これからも緊密に意思疎通しながら、韓日関係の新たな時代を切り開くためともに努力できることを期待する」と述べました。
※ユン・ソンニョル(尹錫悦)。

両首脳 今夜はすき焼きやオムライス

会談のあと両首脳はそろって記者会見を行うことにしています。

また、今夜は、すき焼きやオムライスが好物だというユン大統領の希望もふまえ、東京・銀座の2軒の店で食事を共にする予定で、岸田総理大臣としては、率直な意見交換を通じ、個人的な信頼関係を深めたい考えです。

夕食会行われる銀座 厳戒態勢

ユン大統領の来日に伴い、警視庁は、都内に多くの警察官を配置して警戒を強化していて、このうち、日韓首脳の夕食会が行われる東京・銀座では、会場周辺の広い範囲で一時的な交通規制が行われる見通しで、厳戒態勢での警備が続いています。

ユン大統領は16日から2日間、日本に滞在します。

夕食会が行われる銀座の日本料理店の前には、多くのSPが配置され警戒に当たっていたほか、制服警察官が通行するドライバーに対し駐車は控えることなどを呼びかけていました。

また、周辺では大統領が訪れる時間帯にあわせ、広い範囲で一時的な交通規制が行われる見通しです。

去年、安倍元総理大臣が銃撃された事件以降、要人警護の強化が進む中、警視庁は、官邸や韓国大使館といった重要施設で警察官を増員して配置するほか、各地で検問も行うなど、厳戒態勢での警備が続いています。

17:15 首脳会談の全体会合が始まる

午後5時15分、日韓首脳会談の全体会合が始まりました。

17:13 首脳会談の少人数会合が終了

午後5時13分、日韓首脳会談の少人数会合が終わりました。

16:48 首脳会談が始まる

午後4時48分、総理大臣官邸で日韓首脳会談が始まりました。

16:41 パク・チン外相が総理大臣官邸に入る

午後4時41分、韓国のパク・チン外相が官邸に入りました。
岸田総理大臣と韓国のユン・ソンニョル大統領の会談に同席します。

16:41 総理大臣官邸で栄誉礼始まる

午後4時41分、官邸で陸上自衛隊の儀じょう隊による栄誉礼が始まりました。

16:40 ユン大統領が総理大臣官邸に入る

午後4時40分、韓国のユン・ソンニョル大統領が官邸に入りました。

岸田総理大臣が出迎え固く握手を交わしました。

15:54 林外務大臣が総理大臣官邸に

午後3時54分、林外務大臣が官邸に入りました。
岸田総理大臣と韓国のユン大統領の首脳会談に同席します。

ユン大統領 民団の関係者らとの昼食会に出席

ユン大統領は午後、東京都内で行われた民団=在日本大韓民国民団の関係者など日本に住む韓国の人たちとの昼食会に出席しました。
この中で、ユン大統領は「韓国と日本は隣国であり、民主主義と普遍的価値を共有するパートナーだ。ここ数年間、ほぼすべての分野で交流や協力が停滞したが、北の核・ミサイルの脅威などの厳しい安全保障状況は、より強力な国家間の連帯と協力を求めている」と指摘しました。

そのうえで「きょう、岸田総理大臣と向き合い、両国の未来志向の協力関係をさらに強化していくため、意見を交わす」と述べました。

そして「いま両国は、よりよい未来に進むための出発点に立っている。関係が正常化し、未来に向かって進む時、皆さんもさらに自負心を持てるだろう。両国関係をさらに発展させなければならない」と強調しました。

ユン大統領と同じテーブルに座ったというヨ・ゴニ団長によりますと、ユン大統領は「自分は決断をした。応援する声も反対の声もあるがしっかりやることが大事だ」と日韓関係の改善に改めて強い意欲を示していたということです。

また、ユン大統領は、日本の文化などにも詳しく、「ハヤシライスやオムライスなど日本の西洋料理が好きだ」と話していたということです。
※ユン・ソンニョル(尹錫悦)、ヨ・ゴニ(呂健二)

日本政府 韓国向け輸出管理解除へ 韓国もWTO提訴取り下げへ

日韓両政府は16日まで3日間、局長級の政策対話を行い、日本が韓国への輸出管理を厳しくする措置を取ったことに対抗して2020年に韓国側が行ったWTO=世界貿易機関への提訴を取り下げることを確認しました。

これを受けて、日本政府は半導体や有機ELパネルなどの原材料に使われる高純度のフッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドの3品目について、輸出管理を厳しくしていた措置を解除すると発表しました。

2019年7月に韓国向けの輸出管理を厳しくして以降、およそ4年ぶりに解除されることになります。

「徴用」の原告が新たに提訴

「徴用」をめぐる問題の裁判で、韓国政府の解決策に反対する一部の原告や遺族が、被告となった日本企業の韓国国内にある資産を取り立てるための訴えを新たに起こしたことが分かりました。

原告側の弁護団によりますと、訴えを起こしたのは「徴用」をめぐる問題の裁判の原告の1人、ヤン・クムドクさんや、すでに亡くなった別の原告の遺族です。

ヤンさんらは、2018年に韓国の最高裁判所が賠償を命じた三菱重工業が韓国国内に持つ資産を差し押さえて売却することを認めるよう裁判所に申し立てていて、日本企業に代わって韓国政府の傘下にある財団が原告への支払いを行うとした韓国政府の解決策を拒否する姿勢を示しています。

弁護団は15日、ソウル中央地方裁判所に、三菱重工業の関連会社の資産を取り立てるための訴えを新たに起こしたということで、「政府の解決策を拒否する原告には、被告となった日本企業の韓国国内の資産を速やかに現金化し、原告が希望する形での賠償を得られるよう努める」としています。

※ヤン・クムドク(梁錦徳)

13:30 日韓の経済界が基金設立で連携へ

日韓首脳会談に先立ち、経団連と韓国の経済団体「全国経済人連合会」は、経済分野などでの連携強化に向けた「日韓 未来パートナーシップ宣言」をとりまとめました。

この中では両団体が資金を出してそれぞれ基金を設立し、脱炭素社会に向けた取り組みやエネルギーの安全保障など、共通の課題について事業を進めることにしています。

警視庁 厳戒態勢で警備

警視庁は、およそ4年ぶりとなる韓国大統領の訪問に合わせ、警戒レベルを引き上げて警護を徹底する方針です。

このうち、大統領の専用機が到着した羽田空港近くの道路では、SPや制服の警察官が多く配置されているほか、空港のターミナルでは、電動式の立ち乗り二輪車に乗った警察官がパトロールを行うなどしています。

また、大統領の移動に伴い、都内では高速道路や一般道の広い範囲で一時的な交通規制が行われます。

去年、安倍元総理大臣が銃撃された事件以降、要人警護の強化が進む中、警視庁は、官邸や韓国大使館といった重要施設で警察官を増員して配置するほか、各地で検問も行うなど、厳戒態勢で警備に臨む方針です。

米政府 首脳会談の実現を高く評価

アメリカのバイデン政権は、日韓首脳会談の実現を高く評価し、歓迎しています。背景には、中国が急激に軍事力を拡大し、北朝鮮が核・ミサイル開発に突き進むなか、東アジアの2つの同盟国の関係が冷え込んだ状態が続くことに懸念を募らせてきたことがあります。

3月6日に韓国のユン政権が「徴用」をめぐる問題で解決策を示した際には、ホワイトハウスは即座にこれを歓迎する声明を出し、日韓関係の改善に強い期待を表明しました。翌7日にはユン大統領を4月末にワシントンに国賓として迎えることを発表しました。

アメリカとしては、日韓関係の改善の機運をとらえ、これまで停滞していた日米韓3か国の関係を高いレベルにまで引き上げていきたい考えで、とりわけ安全保障面で連携を強め、中国や北朝鮮に対する抑止力を高めたいという思惑があります。

11:30ごろ ユン大統領が羽田空港に到着

16日午前11時半ごろ、ユン大統領はキム・ゴニ夫人とともに羽田空港に到着しました。

韓国出発に先立ってユン大統領は、けさ弾道ミサイルを発射した北朝鮮に対し「無謀な挑発によって代価を払うことになる」とけん制しています。

岸田総理大臣との会談では、弾道ミサイル発射をめぐっても意見を交わし、日韓両国やアメリカを加えた3か国で緊密に連携して対応していくことを確認するものと見られます。

さらに両首脳は、半導体のサプライチェーンや量子技術を含めた先端技術の優位性の確保などで協力を強化するため、新たに経済安全保障に関する対話の枠組みを創設することで一致する見通しです。会談のあと両首脳はそろって記者会見を行うことにしています。

その後の夕食会では、すき焼きやオムライスが好物だというユン大統領の希望も踏まえ、東京・銀座の2軒の店で食事を共にする予定で、岸田総理大臣としては、率直な意見交換を通じ、個人的な信頼関係を深めたい考えです。

松野官房長官「日韓関係がさらに発展することを期待」

松野官房長官は午前の記者会見で、「韓国は国際社会のさまざまな課題への対応に協力していくべき重要な隣国だ。現下の戦略環境に鑑み、安全保障面を含め、日韓、日韓米の戦略的連携を強化し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け連携して取り組む考えだ」と述べました。

その上で「首脳どうしで率直なやり取りが行われ、国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係がさらに発展することを期待する」と述べました。

ユン大統領がソウル近郊の空港を出発

ユン大統領は16日午前、北朝鮮によるICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイルの発射を受けてNSC=国家安全保障会議に出席したあと、去年5月の就任後初めて日本を訪問するため、専用機でソウル近郊の空港を出発しました。

正午ごろに東京に到着する予定で、民団=在日本大韓民国民団の関係者らとの昼食会に出席したあと、午後、岸田総理大臣との首脳会談に臨み、「徴用」をめぐる問題での韓国政府の取り組みを直接説明する方針です。

ユン大統領は東京に2日間滞在する予定で、17日は、両国の経済界のトップなどによる懇談会や、都内の大学での講演会などにも出席し、未来志向の関係構築をアピールすることにしています。
※ユン・ソンニョル(尹錫悦)、キム・ゴニ(金建希)。

ユン大統領 訪日のねらい

ユン大統領は、来月末に同盟国アメリカを国賓として訪問するのに先立って日本に赴く形となり、韓国の大統領が就任後、ワシントンより先に東京を訪れるのは異例です。

ユン政権としては、安全保障環境が厳しさを増す中、日米韓3か国の連携強化を図る上でも日韓関係の改善を急ぐとともに、首脳どうしが互いに相手国を訪問し合う「シャトル外交」の12年ぶりの再開にもつなげるねらいがありそうです。

一方、最大の懸案である「徴用」をめぐる問題では、韓国政府が今月6日に発表した解決策について、一部の原告や支援団体が強く反発していて、ユン政権は引き続き丁寧に説明し理解を得る努力を求められています。

このため、岸田総理大臣との会談ではこの問題への取り組みを直接説明した上で、日本側から前向きな対応を引き出したい考えです。

また、ユン大統領の訪問には大手財閥をはじめ多くの企業経営者が同行することになっていて、日韓間の経済協力を強化する好機としても位置づけているとみられます。

「徴用」をめぐる問題以外にも多くの課題や懸案

日本と韓国の間には太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題以外にも多くの課題や懸案があります。

【慰安婦問題】
慰安婦問題をめぐっては、2015年、当時の安倍政権とパク・クネ(朴槿恵)政権の間で、韓国政府が設置する財団に日本政府が10億円を拠出し、元慰安婦への支援を行うことで合意し「最終的かつ不可逆的に」解決することを確認しました。

この日韓合意を発表したのは、日本側は当時、外務大臣を務めていた岸田総理大臣でした。

しかし、パク政権に続くムン・ジェイン政権は、この合意を批判し、2018年11月に財団の解散を一方的に発表し、対立が深まりました。
【レーダー照射】
2018年12月には海上自衛隊の航空機が日本海で韓国軍の艦艇から射撃管制用レーダーの照射を受け、日本政府は不測の事態を招きかねない危険な行為だとして抗議しました。

一方、韓国側は、自衛隊機をねらったものではないという姿勢を崩さず、双方の見解は異なったままとなっています。

【佐渡島の金山】
日本が世界文化遺産への登録を目指している新潟県の「佐渡島の金山」をめぐっても韓国は「朝鮮半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だ」として反発しています。

【福島第一原発 処理水放出計画】
東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を基準を下回った状態に薄めて海に放出する計画について、韓国は懸念を表明しています。

今後、日韓関係の改善を進めるため、こうした課題や懸案についても協議が進むかが焦点となります。
【領土問題】
韓国との間には島根県の竹島をめぐる領土問題もあります。

日本はこの問題を平和的手段で解決するため1954年以降、3回にわたって国際司法裁判所に付託することを韓国側に提案しましたが、いずれも拒否され、実現していません。

【韓国の水産物輸入規制】
東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、韓国は福島や宮城など8つの県のすべての水産物の輸入を停止しています。

また輸入を認めた食品などについても、産地証明書や放射性物質の検査証明書を添付するよう求めています。

これに対して日本政府は、放射性物質に関する厳しい基準を満たしたものだけを出荷していて、韓国の措置は国際的な貿易ルールに違反しているとして2015年にWTO=世界貿易機関に提訴しました。

しかし2019年にWTOは日本の主張を退け、事実上の敗訴が決まりました。

その後も日本は、国際機関の評価など科学的根拠に基づいて判断すべきだと韓国に働きかけていますが、規制撤廃のめどは立っていません。

【日本の輸出管理】
日本政府は2019年7月、韓国側の貿易管理に関する審査などの体制が不十分なことなどを理由に、半導体の原材料など3品目について韓国向けの輸出管理を厳しくしました。

さらに8月には、輸出の手続きを簡略化できる優遇措置の対象国から韓国を除外し、これに対し韓国政府は国際的な貿易ルールに違反しているとして2020年にWTO=世界貿易機関に提訴しました。

一方、今月6日に日韓両政府は輸出管理を厳しくする前の状態に戻すため、2国間の協議を速やかに行うことになったと発表し、韓国政府は協議が続いている間はWTOの手続きを中断すると発表しました。