クレディ・スイス 筆頭株主が投資に否定的と報道 株価大幅下落

スイスの大手金融グループ「クレディ・スイス」は財務報告で内部管理に問題があると明らかにしたほか、15日、筆頭株主が追加投資に否定的な姿勢を示したと伝えられ、経営に対する懸念が高まっています。こうした状況を受けて欧米の株式市場では株価が大幅に下落しました。

スイスのチューリヒに本拠を置く、「クレディ・スイス」は、投資銀行業務や資産運用などのビジネスを50か国以上で展開する世界有数の金融機関です。

しかし、危機管理の不備や顧客情報の大規模な流出など不祥事が相次ぎ、利用者の資産引き出しなどが指摘されていました。

さらにクレディ・スイスは2021年と2022年の財務報告で内部管理に問題があり「重大な弱点がある」と14日、発表しました。

財務諸表をみる監査法人も内部管理に問題があるとする意見を表明しました。

さらに15日には海外メディアがクレディ・スイスの筆頭株主であるサウジアラビアの金融機関が追加の投資は行わない意向だと報じました。

こうした事態を受けてクレディ・スイスの株価は一時、30%以上の急落となり経営に対する懸念が高まっています。

また、ヨーロッパの株式市場、そしてニューヨーク株式市場でも株価が大幅に下落しました。

アメリカでは今月10日と12日に2つの銀行が破綻したことで世界の金融市場に動揺が走ったばかりで懸念がヨーロッパにも広がった形です。

スイス中央銀行と金融機関の監督当局 “資金繰りを支援”

スイスの中央銀行と金融機関の監督当局は15日、共同声明を発表し、必要であればクレディ・スイスに資金繰りを支援することを明らかにしました。

声明では、クレディ・スイスは経営の安定に必要な資本と手元資金を保有しているとしたうえで、もし必要であれば資金繰りを支援するとしています。

また、アメリカで相次いだ銀行2行の経営破たんが、クレディ・スイスに直接連鎖するリスクはないと強調しています。

イギリス経済紙 “スイス国立銀行に経営支援の表明を要請”

イギリスの経済紙フィナンシャルタイムズは、クレディ・スイスが中央銀行である「スイス国立銀行」に対して経営を支援する姿勢を表明してほしいと要請したと伝えました。

経済紙は、事情に詳しい関係者の話だとしていて、金融機関の監督を行う当局にも同じ要請を行ったとしています。

フィナンシャルタイムズは2つの当局とも公的な支援はまだ決めていないと伝えています。

クレディ・スイスの株価は15日、一時30%以上下落し、過去最安値をつけたほか、企業が債務不履行に陥るリスクを示すCDS=クレジット・デフォルト・スワップと呼ばれる金融商品の保証料率が急上昇するなど、金融市場はクレディスイスの経営の現状に厳しい見方を強めています。