【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(15日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米オースティン国防長官「攻撃的で危険な行動」

アメリカのオースティン国防長官は日本時間の15日午後9時すぎ、ウクライナへの軍事支援をめぐるオンラインでの会合の冒頭、黒海の上空でアメリカ軍の無人機MQ9が墜落したことに言及しました。

このなかでオースティン長官は「ロシア軍機が妨害行為を行い、体当たりした結果、MQ9は墜落した。この危険な出来事は、国際空域におけるロシア軍パイロットによる一連の攻撃的で危険な行動パターンの一部だ」と述べ、ロシアを改めて非難しました。

そのうえで「アメリカは国際法が認めるあらゆる場所で飛行し、活動し続ける。ロシアには、軍用機を安全かつプロ意識を持って運用する義務がある」と述べ、ロシア側に再発防止を求めました。

ロシア大統領府報道官「プーチン大統領にも報告」

黒海の上空でアメリカ軍の無人機がロシア軍の戦闘機の妨害行為を受けて衝突したとアメリカ政府が発表したことについてロシア大統領府のペスコフ報道官は15日「国防省の声明に付け加えることは何もない」と衝突を否定したロシア側の立場を繰り返した上で「当然プーチン大統領にも報告されている」と述べました。

また、アメリカとロシアの関係について「嘆かわしい状態にある」とする一方「ロシアは建設的な対話を今でも拒否していない」と述べ、ロシアとしては対話を拒むものではないとする姿勢を示しました。

専門家 “米ロ間の駆け引き続く”

安全保障に詳しい慶應義塾大学の鶴岡路人准教授は「これまでもアメリカの無人偵察機とロシアの戦闘機が接近するようなことはあったようだ。無人機の墜落がロシアの意図した行動かは分からないが、アメリカの偵察活動を妨害したいという考えはあったのは明確だ」と指摘しました。

そのうえで鶴岡准教授は、アメリカとロシアの主張が食い違っていることについて、両国ともにこれ以上緊張を高めることは望んでいない一方でどちらも相手の警告に屈した形にはなりたくないという考えが背景にあると分析しています。

そして「ロシアは、アメリカの偵察活動を少しでも少なくしたいのに対し、アメリカは今回の事態を受けても引き続き偵察活動を続けていきたい。両国は自分たちの行動は変えずに相手の行動がより抑制的になることを目指すだろう」と述べ、今後、両国間の駆け引きが続くという見方を示しました。

米シンクタンク “直接的な衝突に発展せず”

一方、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は14日「この事件がアメリカとロシアの直接的な衝突に発展することはない」として、直接衝突することは両国とも望んでおらず事態のエスカレートにはつながらないとする見方を示しています。

ロシア有力紙 “長年にわたる新たな問題に”

ロシアメディアは一斉にこの問題を取り上げていて、このうち有力紙のコメルサントは14日「米ロは危険なまでに接近した」と題して、ウクライナ情勢を受けて悪化している米ロ関係で「長年にわたる新たな問題になりかねない」と懸念を伝えています。

また、政権寄りの新聞イズベスチヤは15日、アメリカの無人機は、ロシアが9年前、一方的に併合したウクライナ南部のクリミア半島付近で、ウクライナの利益のために偵察活動を行っている上、無人機にはミサイルを搭載することもできるとして、アメリカが緊張をあおっているとする見方を伝えています。

アメリカの無人機 ロシア軍戦闘機と衝突 黒海上空で 米軍発表

アメリカ軍の発表によりますと、ウクライナ南部に面した黒海の上空で14日朝、日本時間の14日午後、ロシア軍のスホイ27戦闘機2機がアメリカ空軍の無人機MQ9に妨害行為を行ったということです。

ロシア軍機は無人機の前方を飛行したり燃料を浴びせたりしたあと、1機が無人機のプロペラに衝突したため、アメリカ側は無人機を海上に落下させることを余儀なくされたとしています。
アメリカ軍は無人機は偵察用のもので、国際空域で通常業務を行っていたと説明し「ロシアの乗組員によるこうした行動は危険であり、誤算や意図しない事態の激化につながる可能性がある」としてロシア側を非難しました。
ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は14日、記者団に対し黒海の上空でアメリカ軍機がロシア軍機に妨害を受けることはめずらしいことではないとする一方、落下を余儀なくされたのは初めてだとしています。

今回の衝突についてはバイデン大統領にも報告されているということで、国務省がロシア側に対して懸念を伝えるとしています。

カービー調整官は「われわれは国際空域での飛行を続け、地域の安全保障に必要なことを続ける」と強調しました。

ロシア国防省「戦闘機は無人機と接触せず」

ロシア国防省によりますと、14日の朝、ウクライナ南部クリミア半島に近い黒海の上空でアメリカ空軍の無人機、MQ9を探知し、戦闘機を緊急発進させたとしています。

そして日本時間の14日午後3時半ごろ、無人機は急な動きで高度を下げて制御不能となり海上に墜落したと主張しています。

その上でロシア国防省は「ロシアの戦闘機は搭載された武器を使用せず、無人機と接触することもなく安全に帰還した」としてアメリカ側の発表を否定しました。

衝突されたMQ9「リーパー」 精密誘導兵器など搭載可能

アメリカ軍によりますと、ロシア軍機に衝突されたのはMQ9と呼ばれる無人機です。

アメリカ空軍のホームページによりますと、MQ9「リーパー」は、イラクやアフガニスタンでの軍事作戦で使われてきたMQ1「プレデター」を改良し、機体をさらに大きくした高性能の無人機です。

偵察活動に加え、精密誘導兵器などを搭載することも可能だということです。

全長11メートル、主翼の幅は20メートルあり、機体の後部にターボプロップ式のエンジンが搭載されています。

高度およそ1万5000メートルを飛行でき、最高速度は時速400キロを上回るということです。

ウクライナとジョージアが互いに非難

ロシアの隣国ジョージアでは今月、外国から資金提供を受ける団体を「外国の代理人」として登録を義務づける法案を巡って「ロシアの法律と同じだ」などとして大規模な抗議活動が起きました。
これについてウクライナのゼレンスキー大統領は8日、「ジョージアの民主主義が勝利することを願っている」と述べ、抗議活動への支持を示しました。
結局、法案は撤回されましたが、ロイター通信によりますと、ジョージアのガリバシビリ首相は12日、地元テレビ局のインタビューで「わが国で数千人が起こした破壊的行動について、戦時下にある国の人物が反応を示せば、それはジョージアで何か異変が起きるよう干渉していることを示す直接の証拠になる」などと発言し、内政に干渉しないようけん制したということです。

こうしたジョージア側の反応についてウクライナ外務省のニコレンコ報道官は13日、SNSへの投稿で「現実とかけ離れた主張は受け入れられない。ジョージア当局は敵を間違えている」として、ウクライナによる内政干渉だとする批判はあたらないと反論しました。

ジョージアはかつてロシアによる軍事侵攻を受けたなかで、ウクライナとともにEU=ヨーロッパ連合への加盟を目指すなどヨーロッパ寄りの姿勢を見せてきましたが、双方の政府当局者が互いを非難する事態になっています。

プーチン大統領 シリアのアサド大統領と会談へ 友好国と関係強化

ロシア大統領府は14日、プーチン大統領が中東シリアのアサド大統領と15日に首都モスクワで会談すると発表しました。

大統領府は「両首脳は政治や貿易、経済などの2国間協力の発展やシリア情勢の包括的な解決に向けて協議する」としています。
ロシアのプーチン政権は内戦が続くシリアのアサド政権を支援するため、2015年に軍事介入に踏み切り、その後も和平協議や停戦交渉でアサド政権の後ろ盾となっています。

また、先月、トルコ南部で発生した大地震では隣国シリアでも大きな被害が出ていて、今後の復興などをめぐり、意見を交わす可能性もあるとみられます。

プーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻を受けて欧米側との対立がいっそう深まるなかで、友好的な国々との関係を強めようとしています。

プーチン大統領 “パイプラインのガス漏れは米関与の可能性”

ロシアのプーチン大統領は、14日、国営テレビのインタビューに対しロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン、ノルドストリームで去年9月に発生した大規模なガス漏れについて「これはテロ攻撃であり、国家レベルが関与したことは明らかだ」と述べました。

その上で「アメリカはロシアのエネルギーをヨーロッパ市場に供給することを止めることに当然関心を持っている」と述べアメリカが関与している可能性があると主張しました。

このパイプラインのガス漏れを巡っては、アメリカメディアが今月、親ウクライナ派の勢力による攻撃が原因だったことを示す情報があると伝えていて、ドイツの検察当局も爆発物を現場に運んだ疑いのある船を捜索したと明らかにするなど、真相の究明につながるか関心が高まっています。

プーチン大統領「国家の存続をかけた戦い」侵攻続ける姿勢強調

プーチン大統領は14日、ロシア極東のブリヤート共和国を訪れ、ヘリコプターなどを製造する工場を視察しました。

プーチン大統領は、工場の従業員たちを前に、ウクライナへの軍事侵攻について「これは単なる地政学的な戦いではなく、国家の存続をかけた戦いだ。敵は、われわれを侮辱し、分裂させようとしてきた。国の発展や子どもたちの将来をかけた戦いとなっている」と述べ、国民に危機感を訴えて軍事侵攻を続ける姿勢を改めて強調しました。

また、「敵はわれわれの経済が崩壊することを期待していたが、そうはならなかった。ロシアの基盤は彼らが考えているより強固だったということだ」と述べました。

ロシア ラブロフ外相 AUKUSを批判

ロシアのラブロフ外相は14日、モスクワで行われた会議で、アメリカとイギリス、オーストラリアの3か国による安全保障の枠組みAUKUSについて「アジアにAUKUSのような軍事ブロックを確立して、NATO=北大西洋条約機構の軍事インフラを拡大させ、長期にわたり対立させようとしている」と述べ、ロシアと対立するNATOを持ち出し批判しました。

ロシアはこれまでも友好関係にある中国との連携を強調しながら、インド太平洋地域に関与していく姿勢を示し、アメリカなどをけん制しています。