“ AIで亡き妻の歌声を再現”した作品がAIアートグランプリに
人工知能=AIを使って制作した動画や漫画などの作品を表彰するコンテストが東京・秋葉原で開かれ、亡くなった妻の声などをAIで再現して歌を歌わせた東京都のクリエイターの動画がグランプリに選ばれました。
AIをめぐっては、簡単な命令でテキストや画像など生成してくれる「生成系AI」と呼ばれる新しいタイプのものが次々と登場するなど、ビジネスやアートなどさまざまな分野に利用が広がっています。
「AIアートグランプリ」は、CGクリエイターや研究者などの有志で作る実行委員会が初めて開催したもので、東京の秋葉原で開かれた最終審査会では、AIを使って制作した動画やゲーム、漫画などの279の応募作品から、1次審査を通過した動画と漫画の5作品の審査が行われました。
その結果、グランプリには、東京都のクリエイター松尾公也さんの動画「Desperado by 妻音源とりちゃん[AI]」が選ばれました。
この作品は、亡くなった妻の歌声や会話などの音声データと写真のデータをAIに学習させ、新たに生成した妻のイラストにのせて、再現した妻の声で歌を歌わせた動画です。
松尾さんは「これまで音声合成はいかになめらかにするかが難しかったが、AIを使うことで自然なものが出来上がった。AIにどういう命令を出せば、望むものが得られるかを試行錯誤しました」と話していました。
審査員長のCGアーティストで、東京大学名誉教授の河口洋一郎さんは「AIは人間の眠っている才能を呼び覚ますと感じた。人間の創造性を伸ばすパートナーとして共に健全に発展し、すばらしい作品が登場することに期待したい」と話していました。