トルコ大地震の被災地 東日本大震災経験した日本と連帯の声も

トルコと隣国シリアで合わせておよそ5万4000人が死亡したトルコ南部の大地震の被災地では、日本の支援への感謝とともに東日本大震災を経験した日本との連帯を示す声が聞かれました。

先月6日にマグニチュード7.8の大地震が発生したトルコ南部のガジアンテプでは、日本の国際緊急援助隊の医療チームが活動していて、手術や分べんにも対応できる診療テントの中で、これまでに180人余りの隊員が医療支援にあたってきました。

このうち、エコー検査や血液検査などを行う臨床検査技師の南島友和さん(47)は6歳まで仙台市で過ごし、東日本大震災では、災害派遣医療チーム「DMAT」の一員として、またその後も医療ボランティアとして仙台市と岩手県陸前高田市で活動しました。

南島さんは「自分たちが受けた支援を被災地でどのように生かしていけるかを考えながら活動しています。トルコの人に少しでも笑顔になってもらえるよう支援していきたい」と話していました。

また、東日本大震災では沖縄県の医療チームとして岩手県宮古市で1週間巡回診療にあたった医師の林峰栄さん(54)は「東日本大震災では外から人が助けにきて、思いを一緒にしてくれるというのが重要だと感じました。トルコでも被災した病院の代わりに受診する人が多く、役に立てていると思います」と話していました。

医療チームでは、地震による負傷者やもともと持病がある人など、先月14日からこれまでに1900人以上の治療にあたってきていて、診療テントを訪れた人たちからは感謝の声とともに、東日本大震災を経験した日本との連帯を示す声も聞かれました。

このうち、26歳の女性は「日本は私たちの困難な時にそばにいてくれました。助けに来てくれて彼らは本当の兄弟のように感じます」と話していました。

また、地震で被害を受けた地元の国立病院の院長は「日本が地震のあと、すぐにここへやって来てくれたことをうれしく思います。彼らにも自分たちにも大きな災害が起きないよう祈っているし、これからもお互いの支援関係は続くでしょう」と話していました。

東日本大震災の経験 今回の大地震の活動に生かす

東日本大震災でトルコの救助隊を率いた防災当局者は、そのときの経験が今回のトルコ南部での大地震での活動に役立っていると話しています。

トルコ災害緊急事態管理庁のヤルチュン・ムンジュさんは東日本大震災でトルコの捜索救助チームの隊長として、およそ30人の隊員を率いて宮城県利府町を拠点に、3週間にわたって活動を続けました。

ムンジュさんは、一緒に活動した日本の警察や消防による捜索や救助活動の在り方を学んだとしたうえで、「私たちにとっては経験を積むことができました。日本のチームの規律と慎重さを見習い、今回の対策本部で実践しました」と話し、その時の経験を今回の大地震での活動に生かしたことを明らかにしました。

そのうえで、東日本大震災の被災者に改めてお見舞いのことばを述べるとともに「自然災害が2つの国をつなげています。われわれは常に同志であり続けることを確信しています」と話していました。