【動画】05:30ごろ 仙台 祈りをささげる遺族

東日本大震災の発生から12年の11日、津波でおよそ200人が犠牲になった宮城県仙台市若林区の荒浜地区では、亡き妻への感謝を胸に朝早くから祈りをささげる男性の姿がありました。

宮城県仙台市若林区の荒浜地区で生まれ育った大学敏彦さん(68)は、震災発生の当日、仕事で地区を離れていて無事でしたが、津波で自宅と実家を流され妻と両親、兄とおい、合わせて5人を亡くしました。

震災前、地区にはおよそ800世帯、2200人が住んでいましたが、津波でおよそ200人が犠牲となり、地区の海沿いは災害危険区域となったため住宅の建築が制限されています。

大学さんは毎月11日の月命日に欠かさず家族との思い出がつまったこの地区に戻り、祈りをささげてきました。11日も大学さんは海から朝日が昇る時間帯に訪れ亡き妻の名前が刻まれた慰霊碑に線香を手向けたあと、鐘を鳴らして亡くなった家族を思い手を合わせていました。

現在は災害公営住宅に1人で暮らす大学さんは「生まれ育ったふるさとなので、毎年、毎月、来るようにしています。妻には『ありがとう』ということばに尽きるので、これからも見守ってほしいと思って、きょうは手を合わせました。大切な家族を失わないために、地震が起きたら津波がくるものだと思って、とにかく逃げる意識を持ってほしい」と話していました。