福島県相馬市の尾浜地区で家族で民宿を営んでいた五十嵐ひで子さん(75)は、12年前の津波で夫の利雄さん(当時67)と同居していた叔父の2人を亡くしました。五十嵐さんは11日早朝、自宅の跡を訪れて、海の方向に手を合わせて目を閉じ祈りをささげました。
海岸近くにあった自宅を兼ねた民宿は津波の直撃を受け、地震があったあと、避難せずに残っていた3人がのまれ、五十嵐さんだけが助かりました。このため五十嵐さんは、津波の恐ろしさや避難の大切さを伝えようと、語り部として活動しています。
五十嵐さんは、津波で自宅を失ったあと市内で自宅を再建しましたが、おととし2月と去年3月のいずれも市内で震度6強の揺れを観測した2回の地震で大きく壊れ、別の住まいへの転居を余儀なくされました。
五十嵐さんは「あの日を忘れることなんてできませんが、12年がたってようやく少し受け入れられたような気がします。この経験をしっかり伝えていかなければいけないという気持ちが強くなっています。そのために私は生き残ったのかなと。これからも語り継ぎたいです」と話していました。
【動画】06:00ごろ 福島 相馬「語り部」の祈り
12年前の巨大地震による津波で64人が犠牲になった福島県相馬市の尾浜地区では、家族などを亡くした女性が早朝に海岸近くにある自宅の跡を訪れ、祈りをささげました。
