シリコンバレーバンクは最先端のIT企業やスタートアップ企業が集まるアメリカ西部カリフォルニア州のシリコンバレーに拠点をおいていました。
1983年の設立以来、主にテクノロジー関連のスタートアップ企業やスタートアップ企業に出資するベンチャーキャピタル向けに融資してきたことで知られていました。
この銀行の資料によりますと去年1年間にベンチャーキャピタルが出資するテクノロジーやヘルスケア関連の企業がアメリカで行った株式の新規公開のうち、44%がこの銀行の取引先だったということです。
この銀行は大規模な金融緩和を背景に預金を増やしていました。
FRB=連邦準備制度理事会が新型コロナウイルスの感染拡大への対応として大規模な金融緩和策に踏み切った2020年3月以降、スタートアップ企業などの取引先の預金が増加。
銀行の資料によりますと去年3月末時点の預金はその2年前の2020年3月末と比べて3.2倍に急増していました。
こうした預金は国債などの債券で運用されていました。
しかし、FRBは去年3月以降、インフレを抑え込むため利上げに踏み切りました。
政策金利が引き上げられるとその影響で債券市場で取り引きされている国債などの債券の金利も上昇しますが、債券の価格は金利が上がれば下落する関係にあるため去年から債券の価格は下落傾向が続いていました。
利上げが急速に進んだことで市場で取り引きされる債券の価格が下落し、財務の悪化につながり、厳しい経営環境に陥ったと見られています。
シリコンバレーバンクが経営破綻 米銀行破綻で2番目の規模
アメリカの金融当局は、西部カリフォルニア州に拠点をおき、スタートアップ企業向けの融資で知られる銀行が経営破綻したと発表しました。この銀行の総資産は2000億ドル余り、日本円でおよそ28兆円と、アメリカの銀行の破綻では2008年に起きた貯蓄金融機関の破綻に次ぐ2番目の規模となります。
FDIC=連邦預金保険公社などアメリカの金融当局は10日、カリフォルニア州に拠点をおく「シリコンバレーバンク」が債務超過に陥って経営破綻し、FDICが管財人として資産を引き継いだと発表しました。
1983年に設立された「シリコンバレーバンク」はカリフォルニア州と東部マサチューセッツ州に17の店舗を展開し、IT関連のスタートアップ企業への積極的な融資で知られていました。
FDICによりますと、総資産は去年末の時点でおよそ2090億ドル、日本円でおよそ28兆円に上り、アメリカの銀行の破綻では2008年に起きた貯蓄金融機関、ワシントン・ミューチュアルの破綻に次ぐ2番目の規模になるということです。
破綻の理由についてアメリカのメディアは、利上げによって価格が下落した債券の売却で損失が出て経営が悪化し、顧客からの預金の引き出しが相次いだことなどが原因だと報じています。
シリコンバレーバンクとは

米の銀行破綻 過去最大は

アメリカのFDIC=連邦預金保険公社によりますと、アメリカの銀行の破綻としては、2008年9月の、貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルの破綻が過去最大の規模だということです。
ワシントン・ミューチュアルは、住宅ローンが主力で預金の流出によって、事業の継続が困難となったため破綻し、預金などの銀行業務が大手銀行、JPモルガン・チェースに買収されました。
ワシントン・ミューチュアルの総資産は当時の為替レートでおよそ33兆円で、今回の「シリコンバレーバンク」の破綻は、これに次ぐ規模となったことから、欧米のメディアはいずれも速報で大きく報じています。
ワシントン・ミューチュアルは、住宅ローンが主力で預金の流出によって、事業の継続が困難となったため破綻し、預金などの銀行業務が大手銀行、JPモルガン・チェースに買収されました。
ワシントン・ミューチュアルの総資産は当時の為替レートでおよそ33兆円で、今回の「シリコンバレーバンク」の破綻は、これに次ぐ規模となったことから、欧米のメディアはいずれも速報で大きく報じています。
米財務省イエレン長官「銀行のシステムは現在も健全」
「シリコンバレーバンク」の経営破綻を受けて、アメリカ財務省は10日、イエレン長官がFRB=連邦準備制度理事会とFDIC=連邦預金保険公社、OCC=通貨監督庁の幹部を招集し、対応を協議したと発表しました。
この中でイエレン長官は銀行の規制当局が適切な対応を取ることに全面的な信頼を寄せていると表明したうえで、銀行のシステムは現在も健全で、規制当局は銀行の破綻に対処する有効な手段を有していると述べたということです。
この中でイエレン長官は銀行の規制当局が適切な対応を取ることに全面的な信頼を寄せていると表明したうえで、銀行のシステムは現在も健全で、規制当局は銀行の破綻に対処する有効な手段を有していると述べたということです。
市場関係者「金融業界への影響は限定的か」
「シリコンバレーバンク」の経営破綻の影響についてニューヨークの市場関係者は「金融業界への影響には注意が必要だが、現時点では限定的ではないかと見ている。アメリカの利上げの影響で金融機関が保有している債券の価格は下落しているが、シリコンバレーバンクのように資金繰りのために売却せざるをえない状況に追い込まれなければ損失は確定しないため、信用不安が広がることにはならないのではないか」と話しています。
また、別の市場関係者は「今回の経営破綻の背景にはシリコンバレーバンクが積極的に融資していたテクノロジー関連のスタートアップ企業の業績不振があるのではないかとの見方も出ている。金融業界だけでなくスタートアップ企業への影響についても注意して見ていく必要がありそうだ」と話しています。
また、別の市場関係者は「今回の経営破綻の背景にはシリコンバレーバンクが積極的に融資していたテクノロジー関連のスタートアップ企業の業績不振があるのではないかとの見方も出ている。金融業界だけでなくスタートアップ企業への影響についても注意して見ていく必要がありそうだ」と話しています。
イギリス法人も破綻に向けた手続き申請へ
イギリスの中央銀行、イングランド銀行は10日、経営破綻したアメリカの「シリコンバレーバンク」のイギリス法人について、破綻に向けた手続きを裁判所に申請すると発表しました。
発表によりますと、イギリス法人は、当面、支払いや預金の受け入れを停止するとしています。また、預金者には、イギリスの預金保護の機関から最大8万5000ポンド、日本円にしておよそ1400万円を上限に、預金の払い戻しが行われるということです。
イングランド銀行は、この法人のイギリスでの事業は限定的だとして、金融システムを支える重要な機能は担っていないとしています。また、「シリコンバレーバンク」のイギリス法人は、金融当局との協議の結果、破綻は12日の夕方になるとしています。
発表によりますと、イギリス法人は、当面、支払いや預金の受け入れを停止するとしています。また、預金者には、イギリスの預金保護の機関から最大8万5000ポンド、日本円にしておよそ1400万円を上限に、預金の払い戻しが行われるということです。
イングランド銀行は、この法人のイギリスでの事業は限定的だとして、金融システムを支える重要な機能は担っていないとしています。また、「シリコンバレーバンク」のイギリス法人は、金融当局との協議の結果、破綻は12日の夕方になるとしています。