羽生結弦さん 希望テーマにアイスショー 東日本大震災から12年

フィギュアスケートでオリンピックを2連覇し、プロに転向した仙台市出身の羽生結弦さんが、東日本大震災の発生から11日で12年になるのに合わせて、ふるさとの宮城で開催するアイスショーが10日から始まりました。

アイスショーは、被災地から希望を発信し少しでも笑顔になれるきっかけになればと、仙台市を拠点にプロとして活動を続ける羽生さんが座長を務め、10日から3日間、宮城県利府町で開催されます。

12年前、羽生さんは仙台市内のリンクで練習中に被災しました。

震災発生直後、停電で街の明かりが消え、絶望感の中で空を見上げると満点の星が輝いていたということで、ショーでも会場のリンクをプロジェクションマッピングで、輝く星に見立てて華麗な滑りやジャンプを披露しました。

また、体操のオリンピック金メダリストの内村航平さんも共演し、同じ黒の衣装を着た羽生さんと内村さんは、スケートのスピンとあん馬のせん回の動きを合わせるなどして、およそ6000人の観客を沸かせていました。

ショーの最後に羽生さんは「あれから12年の時がたとうとしています。きょうのプログラムがあの日の星のように、少しでも皆さんの希望となることを願っています」とあいさつし、涙を流す観客の姿も見られました。

終了後、報道陣の取材に応じた羽生さんは「3月11日には毎年、祈りや感謝の気持ちを込めながら、人知れず滑っていた。今回は『希望』をテーマに構成したアイスショーで、あの日に見た星空を映して滑ることができた。このショーだからこそ伝えられる気持ちを感じてほしい」と話していました。

内村航平さん「被災地の方から勇気や元気をもらった」

体操でオリンピック2連覇を果たした内村航平さんは今回、羽生さんと演技で初めて共演しました。

内村さんは「羽生くんとはいずれコラボしたいと思っていて、こんなに早く実現できるとは思っていなかった。お互いにオリンピックを2連覇して引退し、まだ競技を極めきっていないと感じていると思うし、互いにリスペクトしているので呼吸が合ったのではないかと思う」と振り返りました。

そして震災から12年がたつのに合わせて被災地で行われたアイスショーに出演したことについて「僕も12年前に世界選手権の開催が危ぶまれたが、復興の思いをもってやり切って被災地の方から勇気や元気をもらったと言ってもらえた。それを糧に選手として頑張れたし、今もその思いをずっと変わらず持っている。羽生くんは地元だし、そういう思いを持った者どうしのコラボレーションなので、よりその思いが届けられたらいいなと思う」と話していました。