新型コロナ 5類移行後の医療費負担や医療体制 見直し方針公表

新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行したあとの医療費の負担や医療提供体制について、厚生労働省は、無料となっている検査や外来診療の費用を患者の自己負担とすることや、幅広い医療機関で患者を受け入れてもらうことを柱に、見直しを行う方針を公表しました。

厚生労働省は10日、新型コロナの感染症法上の位置づけが5月8日に「5類」に移行したあとの医療費の負担や医療提供体制について、具体的な方針を明らかにしました。

それによりますと、現在は公費で賄われ、窓口負担が無料となっている医療費のうち、検査や、陽性が判明したあとの外来診療の費用は、自己負担に見直します。

ただ、急激な負担の増加を避けるため、高額な治療薬は引き続き公費で無料とし、入院費は、原則として自己負担を求めるものの、月に最大2万円を軽減する措置を設けるとしています。負担の増加を避けるための措置はそれぞれ9月末まで継続し、その後、感染状況などを踏まえ、延長するかどうか検討するということです。

一方、医療提供体制については、幅広い医療機関で受診ができる体制を目指して、来年4月までに段階的に移行を進めていくとしています。

具体的には、外来診療については、季節性インフルエンザの検査をシーズン中に1人でも行った全国のおよそ6万4000の医療機関で受け入れる体制を目指し、入院については、およそ8200あるすべての病院で受け入れる体制を目指すとしています。また、医療機関に支払われる診療報酬は、入院の際に加算していた特例措置を縮小します。

現在、保健所などが行っている入院調整については、原則、医療機関の間で行う仕組みに段階的に移行するとしています。

厚生労働省は、都道府県ごとの医療体制の移行計画を来月中に策定してもらう方針です。

加藤厚労相「円滑な移行に向け取り組みたい」

加藤厚生労働大臣は記者会見で「現在対応してもらっている医療機関には引き続きお願いし、新たな医療機関にも対応をお願いできるような支援措置を実施して、医療体制の拡大を図っていきたい」と述べました。

そのうえで「来週以降、都道府県などを対象にした説明会を開催し、現場の意見を聞きながら、運用の詳細を詰めていくなど、丁寧に対応していきたい。国と地方自治体が一体となって 国民の理解と協力を得ながら、円滑な移行に向けて取り組んでいきたい」と述べました。

また、新たな変異株の出現など、科学的な前提が異なった状況になれば、新型コロナが発生したときと同じように、一時的に対策を強化する考えを示しました。