ロシア軍 “極超音速ミサイル” 異例の数発射 国内誇示目的か

ロシア軍が9日に行ったウクライナ全土へのミサイル攻撃には、極超音速ミサイルも用いられ、ことし最大規模の攻撃だったと指摘されています。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は9日、首都キーウなど各地に対して、80発以上を発射する大規模なミサイル攻撃を行いました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、動画のメッセージで「文明社会に対し、戦争を仕掛けるテロ国家による新たな攻撃で、一部の地域や都市では、停電や断水が発生した。ロシアのミサイルは6人の命を奪った」と非難しました。

一方、今回の攻撃には、巡航ミサイルや通常、迎撃用に使われる地対空ミサイルに加えて、ロシア側が極超音速ミサイルだと誇示する「キンジャール」も、6発という異例の数が発射されたと指摘されています。

イギリス国防省は10日「先月16日以来の大規模な長距離攻撃であり、おそらく、去年12月以来最大の攻撃の一つだ」と分析しました。

また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は9日「ロシアの攻撃は、国家のプロパガンダの目的で行われたものだ。今月2日に、ウクライナからの襲撃でロシア西部の州で死者が出たとして、国内の戦争支持者から報復を要求する声が高まった。プーチン大統領は、これをなだめるため、希少なミサイルをむだに使用した」と指摘しました。

ロシア軍はすでに、深刻なミサイル不足に陥っているとみられるものの、プーチン大統領はウクライナに対する報復攻撃だとして、国内に誇示する必要があったという見方がでています。