“徴用” 韓国政府の解決策 賛成35% 反対59% 韓国世論調査

太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国政府が今週発表した解決策について、韓国の世論調査では賛成が35%、反対が59%となり、日本との関係改善を目指すユン・ソンニョル(尹錫悦)政権の姿勢に評価が分かれています。

韓国の世論調査機関・韓国ギャラップは9日までの2日間で行った世論調査の結果を10日、発表しました。

それによりますと、韓国政府が6日に発表した「徴用」をめぐる問題の解決策について尋ねたところ「韓日関係と国益のため賛成」が35%、「日本の謝罪と補償がなく反対」が59%でした。

また、日本との関係について尋ねたところ「われわれが一部譲歩してでもできるだけ早く改善すべき」が31%、「日本の態度が変わらなければ急いで改善する必要はない」が64%でした。

ユン・ソンニョル大統領を「支持する」と回答した人は34%で、前の週と比べて2ポイント低くなりました。

「支持する」と「支持しない」いずれの回答でも理由の上位には「外交」や「日本との関係」が入っていて、日本との関係改善を目指すユン・ソンニョル政権の姿勢に評価が分かれています。

韓国の公共放送・KBSは「徴用」をめぐる裁判の原告のうち、日本企業にかわって韓国政府傘下の財団による支払いについて、3人は受け取らないと表明しているのに対して、4人の遺族たちは受け入れる意向を示していると伝えています。

韓国の経済団体 連名で広告 “解決策を支持”

韓国の6つの主な経済団体は、10日付けの有力紙の一面に連名で広告を出し、韓国政府が6日に発表した太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決策を支持する立場を表明しました。

広告の中で経済界は「両国間の協力強化と、北東アジアの安全保障の共助に大きく寄与するだろう。経済界は韓日の経済協力の強化のため、さらに努力していく」として、韓国政府の姿勢を後押ししています。

専門家「思った以上に反対一色にはなっていない印象」

世論調査の結果について、韓国政治や日韓関係に詳しい静岡県立大学の奥薗秀樹教授に話を聞きました。

奥薗教授は、解決策の賛否について「もう少し反対が出るのではないかと考えていたが、思った以上に韓国社会は反対一色にはなっていないという印象だ」と述べました。

そのうえで「現時点でユン・ソンニョル政権は、保守層や与党からの支持が維持されていて、政権を支持している人の中で、この解決策が一定程度、受け入れられていることを示している」と分析しました。

一方で「反対一色ではないが、これが持ちこたえられるのかどうか、これからの動向が極めて重要になる」と指摘しました。

そして「この解決策には、韓国で賛否両論あると思うが、ユン政権が支持を失わずに着実に実行に移せるようにし、日本側も協力して環境をつくっていくことが求められる」と話していました。