米 バイデン政権「予算教書」発表 400兆円余の財政赤字削減へ

アメリカのバイデン政権は新年度の「予算教書」を発表し、国防予算を増額する一方、高所得者層の税率の引き上げなどによって400兆円余りの財政赤字の削減を目指す方針を示しました。

バイデン政権は9日、ことし10月から始まる新たな会計年度の予算について政府の考え方を議会に示す「予算教書」を発表しました。

この中では中国に打ち勝つための重要な投資を行うとして中国への対抗姿勢を改めて鮮明にしています。

歳出の要求総額は6兆8830億ドル、日本円にして940兆円余りで前の年度から8%増加しました。

このうち国防費はウクライナへの支援などを含めて8864億ドル3.3%の増加となっています。

一方、▽高所得者層への税率引き上げや▽法人税率の引き上げなどを盛り込み今後10年間で合わせて3兆ドル、日本円にして400兆円余りの財政赤字の削減を目指すとしています。

ただ、野党・共和党が求める社会保障の給付削減は拒否する方針を打ち出しています。

アメリカ政府は借金できる金額が上限に達し、国債の債務不履行を避けるために臨時の措置で当面の資金を確保しています。

上限をさらに引き上げるためには下院で過半数を握る共和党の協力が不可欠で、今後、歳出削減などをめぐって与野党の駆け引きが激しさを増しそうです。

バイデン大統領「国民に負担かけることないようできること反映」

バイデン大統領は9日、東部ペンシルベニア州で演説し議会に提出する予算教書について「勤勉に働くアメリカ国民に負担をかけることがないよう私たちができることを反映させたものだ」と述べました。

そのうえで「就任した2021年以降の2年間で多くの進歩を遂げ、人々の暮らしがよくなり始めているがさらに前進しなければならない」と述べ、政策課題に取り組む考えを強調しました。