国際
イランとサウジアラビア 外交関係正常化で合意 中国が仲介
中東で長年、対立してきたイランとサウジアラビアは断交していた外交関係を正常化させることで合意しました。両国の合意は、中国が仲介したということで、中東での存在感を高める狙いもあるとみられます。
イランとサウジアラビアの両政府は10日、国営メディアを通じて互いの大使館を再開させて外交関係を正常化させることで合意したと発表しました。
それによりますと、両国は、中国の仲介のもと北京で協議を開いたということで中国も含めた3か国の共同声明で互いの主権を尊重することなどを確認したということです。
両国は2016年にサウジアラビアでイスラム教シーア派の指導者が処刑されたことをきっかけにイランにあるサウジアラビア大使館が襲撃され、外交関係を断絶していました。
中東の地域大国である両国が関係を正常化することで事実上の代理戦争の場となっていたイエメンの内戦の和平など地域の緊張緩和につながるかが焦点となります。
一方、中国としては原油の輸入などで関係を深めている両国を仲介することで中東での存在感を高める狙いもあるとみられます。
それによりますと、両国は、中国の仲介のもと北京で協議を開いたということで中国も含めた3か国の共同声明で互いの主権を尊重することなどを確認したということです。
両国は2016年にサウジアラビアでイスラム教シーア派の指導者が処刑されたことをきっかけにイランにあるサウジアラビア大使館が襲撃され、外交関係を断絶していました。
中東の地域大国である両国が関係を正常化することで事実上の代理戦争の場となっていたイエメンの内戦の和平など地域の緊張緩和につながるかが焦点となります。
一方、中国としては原油の輸入などで関係を深めている両国を仲介することで中東での存在感を高める狙いもあるとみられます。
イランとサウジアラビアの対立
イランとサウジアラビアは長年、豊富な石油資源を背景に中東で影響力を持ち、それぞれが覇権を握ろうと、争ってきました。
いずれの国もイスラム教の国ですが、サウジアラビアではスンニ派、イランではシーア派が主流で、宗派が異なっています。
2019年にはサウジアラビアの石油関連施設が攻撃され、原油生産にも影響が出ました。この事件をめぐっては、サウジアラビア政府は、イランが関与したと主張していますが、イラン側は否定しています。
両国の対立の影響は周辺国にも広がり、このうち、イエメンではサウジアラビアが政権側を支援する一方、イランが反政府勢力を支援し、事実上の「代理戦争」となってきました。
その結果、食糧不足や医療体制の崩壊など人道状況の悪化を招いてきました。今回の共同声明ではイエメン情勢については言及されていません。
今回の合意を受け、イエメンの内戦についても終結に向かうかが焦点です。
また、アメリカは対立するイランを孤立させるため、いわゆる「イラン包囲網」の構築を図ってきていて、イランと敵対するイスラエルとサウジアラビアとの関係改善を後押ししていました。
今回、サウジアラビアがイランとの関係正常化に踏み切ったことで、アメリカやイスラエルの外交政策にどのような影響が出るかも注目されます。
いずれの国もイスラム教の国ですが、サウジアラビアではスンニ派、イランではシーア派が主流で、宗派が異なっています。
2019年にはサウジアラビアの石油関連施設が攻撃され、原油生産にも影響が出ました。この事件をめぐっては、サウジアラビア政府は、イランが関与したと主張していますが、イラン側は否定しています。
両国の対立の影響は周辺国にも広がり、このうち、イエメンではサウジアラビアが政権側を支援する一方、イランが反政府勢力を支援し、事実上の「代理戦争」となってきました。
その結果、食糧不足や医療体制の崩壊など人道状況の悪化を招いてきました。今回の共同声明ではイエメン情勢については言及されていません。
今回の合意を受け、イエメンの内戦についても終結に向かうかが焦点です。
また、アメリカは対立するイランを孤立させるため、いわゆる「イラン包囲網」の構築を図ってきていて、イランと敵対するイスラエルとサウジアラビアとの関係改善を後押ししていました。
今回、サウジアラビアがイランとの関係正常化に踏み切ったことで、アメリカやイスラエルの外交政策にどのような影響が出るかも注目されます。
イラン側の代表「地域の安定化やイスラム圏の協力強化に」
イランメディアによりますと、両国の関係正常化について、イラン側の代表として協議に臨んだ最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長は「両国間の誤解を取り除いて未来を見据えることは、地域の安定化やイスラム圏の国々の協力の強化につながる」と評価した上で、中国の果たした役割に感謝したということです。
中国 王毅政治局委員「仲介者として責任を果たした」
中国外務省によりますと、イランとサウジアラビアの代表団は3月6日から北京で協議を行っていたということです。
協議最終日の10日は、外交を統括する王毅政治局委員が式典に立ち会い、中国外務省のホームページには、王氏が、両国の高官と手を取りあっている写真が掲載されています。
このなかで、王氏は「大きな成果が得られた。両国の外交関係の正常化は対話の勝利であり、平和の勝利だ。現在の激動する世界にとって大きな朗報だ」と強調しました。
そのうえで「中国は頼れる仲介者として責任を忠実に果たした。今後も世界の焦点となる問題を適切に対応するため建設的な役割を担い、大国としての役目を果たしていく」と述べました。
習近平国家主席は去年12月、中東のサウジアラビアを訪問しサルマン国王やムハンマド皇太子と会談したのに続いて、2月には北京でイランのライシ大統領とも会談しています。
産油国のイランとサウジアラビアはともに中東の地域大国で、中国政府としてはみずからの仲介により、7年にわたった断交を終わらせることで、アメリカの影響力が強かった中東地域における存在感を高める狙いがあるとみられます。
協議最終日の10日は、外交を統括する王毅政治局委員が式典に立ち会い、中国外務省のホームページには、王氏が、両国の高官と手を取りあっている写真が掲載されています。
このなかで、王氏は「大きな成果が得られた。両国の外交関係の正常化は対話の勝利であり、平和の勝利だ。現在の激動する世界にとって大きな朗報だ」と強調しました。
そのうえで「中国は頼れる仲介者として責任を忠実に果たした。今後も世界の焦点となる問題を適切に対応するため建設的な役割を担い、大国としての役目を果たしていく」と述べました。
習近平国家主席は去年12月、中東のサウジアラビアを訪問しサルマン国王やムハンマド皇太子と会談したのに続いて、2月には北京でイランのライシ大統領とも会談しています。
産油国のイランとサウジアラビアはともに中東の地域大国で、中国政府としてはみずからの仲介により、7年にわたった断交を終わらせることで、アメリカの影響力が強かった中東地域における存在感を高める狙いがあるとみられます。
米ホワイトハウス「関係改善を支援していく」
イランとサウジアラビアが外交関係を正常化させることで合意したことを受けてアメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は10日、記者団に対し「中東地域における緊張緩和につながるいかなる取り組みも歓迎する」と述べました。
その一方で、イランが合意を尊重するかどうかを注視していく必要があるとして懐疑的な見方も示しました。
また、今回の合意についてアメリカは事前にサウジアラビアから情報を得ていたものの、直接、関与していないとしています。
中国が仲介を務めたことについては「イランを交渉のテーブルにつかせたのは中国の呼びかけだけでなく、国内外からの圧力だと考えている」と述べました。
一方、アメリカが後押ししていた、イランと敵対するイスラエルとサウジアラビアとの関係改善については「今回の合意がどのような影響を与えるかわからないが、引き続き関係改善を支援していく」と述べています。
また、バイデン大統領はこれに関連し「イスラエルとアラブ諸国の関係がよくなれば皆にとってよいことだ」と述べました。
その一方で、イランが合意を尊重するかどうかを注視していく必要があるとして懐疑的な見方も示しました。
また、今回の合意についてアメリカは事前にサウジアラビアから情報を得ていたものの、直接、関与していないとしています。
中国が仲介を務めたことについては「イランを交渉のテーブルにつかせたのは中国の呼びかけだけでなく、国内外からの圧力だと考えている」と述べました。
一方、アメリカが後押ししていた、イランと敵対するイスラエルとサウジアラビアとの関係改善については「今回の合意がどのような影響を与えるかわからないが、引き続き関係改善を支援していく」と述べています。
また、バイデン大統領はこれに関連し「イスラエルとアラブ諸国の関係がよくなれば皆にとってよいことだ」と述べました。