自転車 すべての人にヘルメット 4月から努力義務 着用呼びかけ

4月から自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が努力義務になるのを前に、大阪でイベントが開かれ、ふだんからヘルメットで身を守っている競馬の騎手が、訪れた人たちに着用を呼びかけました。

自転車に乗る際のヘルメットの着用については、現在、13歳未満の子どもに着用させることが保護者の努力義務になっていますが、4月1日からは、年齢を問わず、すべての人に努力義務化されます。

これを前に、大阪 浪速区の商業施設でイベントが開かれ、競馬の騎手の角田大河さんがヘルメットの重要性を呼びかけました。

このなかで角田さんは、騎手は常にヘルメットをつけて馬から落ちた時などに備えていることを挙げて、自転車に乗るときも命を守るためにヘルメットを着用するよう呼びかけました。

大阪府警によりますと、令和3年までの5年間に府内で自転車の交通事故で死亡した人のうち、頭を強く打って死亡したのはおよそ7割にのぼるということです。

角田さんは「落馬した時にヘルメットが守ってくれたことが何度もありました。事故から身を守るために自転車に乗るときは必ず着用してほしいです」と話していました。

4月からも「着用しない」53% 京都府警調査

京都府警察本部は2月、府内各地の34か所で、自転車の利用者およそ800人を対象に、ヘルメット着用の努力義務について聞き取りでアンケート調査を行いました。

この中で、4月から努力義務化されることについて「知っている」と答えたのは53%だったということです。

また、
▽「自転車用ヘルメットを持っている」と答えた人は全体の15%にとどまり、
▽「持っていない」と答えた人のうち、「購入予定」と回答したのは35%だったということです。

さらに4月からヘルメットを着用するかたずねたところ、
▽「着用する」が46%
▽「着用しない」が53%となりました。

着用しない理由としては、
▽「努力義務だから」が最も多く30%
▽「みんなかぶっていないから」が22%
▽「髪型が崩れるから」が10%だったということです。

京都府警によりますと、去年までの5年間で、府内では自転車で交通事故にあって亡くなった人は31人で、このうち29人がヘルメットを着用していなかったということです。また、亡くなった31人のうち、半数以上の20人が頭部を負傷していたということです。

京都府警察本部交通企画課の加藤剛室長補佐は「自転車のヘルメットはまだまだ定着していないが、事故の被害を減らすために重要なものなので、今後も周知を進めていきたい」と話しています。

衝突や転倒の衝撃 脳への影響 ヘルメットでどう変わる JAF実験

自転車の事故の中で多い「出会い頭」の事故について、JAF=日本自動車連盟は実験を行いました。

2台の自転車が時速20キロで衝突すると、自転車に乗っていた人形はバランスをくずして倒れ、頭部が地面に打ちつけられました。

衝突や転倒による衝撃が脳に与える影響を数値化すると、自転車の後部座席に乗っていた子どもが受けたダメージは、ヘルメットを着用していない場合、着用している場合と比べて、およそ17倍。

実験によると、低速の自転車どうしの衝突でも頭部に致命傷を負うリスクは高く、被害の軽減のためにヘルメットの着用が効果的だということです。

店“ことしに入り販売数増” 正しい着用のしかたは

福岡県福津市にある自転車販売店では、ことしに入ってヘルメットの販売数が増えています。

売り場には「自転車に乗るすべての人のヘルメット着用が努力義務になります」と表示され、需要の高まりで品ぞろえも豊富になり、自転車の色に合わせて購入する人も多いということです。

警察や販売店では、ヘルメットを選ぶ際のポイントとして、製品の安全基準を定めている一般財団法人が認証したものなどをすすめているということです。

また、着用の際は、
▽ヘルメットの先端が眉毛の少し上にくるように水平にかぶり、
▽ずれないようにすること、
▽あごひもは指が1、2本入る程度に調整することなど、
正しい着用を心がけてほしいとしています。

「イオンバイク福津店」の販売員、中村武文さんは「ヘルメットを正しくかぶって、自転車で安全に走っていただければと思います」と話していました。