世界初の発見!魚は「顔」で自分がわかる?

世界初の発見!魚は「顔」で自分がわかる?
私たちヒトは鏡や写真を見て自分だと認識することができます。

実は魚もヒトと同じようにみずからのことを認識できるというのです。

今回はこれまでの動物の常識が変わるかもしれない、世界初の発見について取り上げます。

問題に挑戦!

問題
次の中から、クロマグロを選び記号で答えなさい。
答えはオです。

魚の体や顔などを見比べればわかりますよね。

このように私たちは主に見た目の特徴で魚の種類を見分けています。

今回は魚自身も自分たちの種類や自分自身のことを見分けられるのかということに関する最新研究を掘り下げます。

驚きの新発見とは?

今回の実験で使われたのは、ホンソメワケベラという魚。
ほかの魚についた寄生虫を食べる習性があり岩礁やサンゴ礁に生息しています。

研究を行った、大阪公立大学の幸田正典さんにどんな新発見があったのか話を聞きました。
幸田さん
「自分の写真を魚に見せます。そうするとその写真を自分だとわかっていることが確認できたんです」
幸田さんたちの研究グループは魚も人間と同じように、みずからの写真を見せると「これは自分だ」と認識できるということを世界で初めて実証しました。
さらに・・・。
幸田さん
「どこを見て自分の写真だとわかるかというと、全体の姿形ではなく顔だけを見て自分かわかるんです。人間と同じなんですね」
幸田さんたちのグループは2019年、ホンソメワケベラが鏡に映ったみずからの姿を自分自身だと認識する能力があることについて実証していました。

そのときに行ったのが下あご付近に汚れをつけた場合とつけなかった場合で行動に違いがあるのかを調べる実験です。
ホンソメワケベラは自分の体に寄生虫がついたとき、砂や石に体をこすりつけて落とそうとする習性があります。

汚れをつけた場合、鏡を見せるとあご付近を砂にこすりつけるようなしぐさを見せ、汚れをつけなかった場合は、こうした行動を行わなかったのです。
幸田さん
「『あ!こんなところに寄生虫ついてるやん。えらいこっちゃ!』ということでこすります。鏡がなかったら誰もこする行動はしません」
ただ、具体的にどの部分を見て自分だと認識しているのかまでは、わかっていませんでした。

今回行った実験とは?

今回、幸田さんたちが注目したのが魚の「」。
ホンソメワケベラの顔には、個体ごとに異なった斑点模様があり、この模様を見て仲間の顔を区別していると考えられています。
そこで。

1.自分の写真

2.他者の写真

3.自分の顔他者の体の合成写真。

4.他者の顔自分の体の合成写真。

この4枚の写真を見せる実験を行いました。

もし、顔を見て自分だと認識しているなら1と3は自分だとみなし、2と4は顔が違うので自分だと思わないはずです。

ホンソメワケベラは知らない相手だと判断すると攻撃をする習性があり、今回の実験ではその習性を利用しました。

すると・・・。
幸田さん
「自分の写真に知らない個体の顔を貼って見せると攻撃するんです。自分の顔だったら攻撃しません」
結果は、自分の顔だった1と3は攻撃せず他者の顔の2と4に攻撃をしたのです。

つまり全身ではなく、顔だけで自分だと認識していることが分かりました。

さらに、下あご付近に寄生虫のようなしるしをつけた写真を使って以前と同じような実験を行ったところ何度も体をこすりつける行動を起こしたのです。
鏡に映った姿だけでなく、写真でも自分を認識していることを新たに証明しました。
幸田さん
「自分の写真にマークがないと全然こすらないんです。つまり自分の写真ということがわかっているんですね」
これまで自分の姿を認識する能力は、ゾウやイルカ、チンパンジーなど知能の高い動物では確認されていました。

魚も顔で自分を認識できるという今回の発見はこれまでの常識を根底から覆すといいます。
幸田さん
「自己意識があるということは簡単に言うと魚に心があるんですよ。何々したいとかしようとか、感情の面でも『怖い』とかそういう感情があるんです。魚は僕らと変わらないのかもしれません」
魚の内面についてはまだ解明されていないことも多いと幸田さんは考えています。
幸田さん
「これもびっくりすると思うんですけど、魚は夢を見ているんです
今はその研究成果をまとめている途中だということですが、魚のことを深く知ると、驚くような世界が広がっているのかもしれませんね。

魚は自分の顔もわかるし、相手のことも認識できる、かつ夢まで見るかもしれない。

幸田さんは、ホンソメワケベラだけでなく、魚類全体が同じように自己意識を持っているのではと考えているそうです。
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