これを読めばWBCをもっと楽しめる!野球の基本の「キ」

これを読めばWBCをもっと楽しめる!野球の基本の「キ」
大谷翔平選手の二刀流の活躍で盛り上がっているWBC=ワールド・ベースボール・クラシック。

「6年ぶりの開催、日本の優勝は?」
「特別ルールがあるの?」

まだ間に合う。これさえ読めばもっともっと楽しめる。
初心者向けのポイントをおさえました。
※大会は日本時間の3月22日まで。随時、更新します。

(ネットワーク報道部 鈴木彩里)

【大谷翔平選手】WBCでも二刀流

史上最強とも言われる日本代表。まずは注目選手といえばこの人から。

ベーブルース以来の「二刀流」で世界中を驚かせる大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手(28)は初めてのWBC出場です。

前回、2017年大会はけがの影響で出場を辞退していました。

大谷選手は高校を卒業後、プロ野球の日本ハムに入団し、今大会、日本代表を率いる栗山英樹監督のもとで投手と野手の「二刀流」としての才能を開花させました。
日本で2017年の5年目のシーズンを終え、ポスティングシステムを利用して大リーグ、エンジェルスに入団。

その後も「二刀流」で活躍し、大リーグ4年目の2021年シーズンは歴史的な投打の活躍でMVP=最優秀選手に選ばれたほか、昨シーズンもピッチャーとして15勝9敗、登板したとき以外は指名打者で出場して打率2割7分3厘、ホームラン34本、95打点をマークしました。
今月6日に行われた阪神との強化試合では、2打席連続でスリーランホームランを打ち日本中を驚かせました。

3大会ぶりの優勝を目指す日本にとって中心選手として大きな期待を集めています。

【ダルビッシュ有投手】チーム最年長で精神的支柱にも

多彩な変化球を操り大リーグで11年間活躍するパドレスのダルビッシュ有投手(36)は3大会ぶりのWBC出場です。

2009年大会では日本が優勝を決めた時にリリーフで登板していて、マウンドにあがっていました。

当時は日本ハムに所属し、5年連続で防御率1点台をマークするなど、エースとして活躍していました。
2012年に大リーグのレンジャーズに移籍し、2015年には右ひじのじん帯を修復する「トミー・ジョン手術」を受けて1年2か月にわたって離脱しましたが、その後もドジャース、カブスと移籍し活躍を続けました。

新型コロナの影響で短縮シーズンとなった2020年は日本選手で初めて最多勝のタイトルを獲得しました。

翌年(21年)にはパドレスに移籍し、昨シーズン(22年)は大リーグで自己最多に並ぶ16勝を挙げました。

日本代表の最年長として臨む今大会は、精神面での支柱としても期待されています。

【佐々木朗希投手】“令和の怪物”がWBCの舞台へ

昨シーズン、最年少で完全試合を達成したロッテの佐々木朗希投手(21)は、身長1メートル90センチから繰り出す160キロを超える速球が持ち味です。

18歳以下の日本代表候補の紅白戦で最速163キロを計測し、大船渡高校時代から“令和の怪物”と呼ばれ大きな注目を集めてきました。

2019年にドラフト1位でロッテに入団。

1年目は体作りを優先して2軍でも登板はありませんでしたが、2年目からは先発ローテーション入りを果たしました。
3年目の昨シーズンは、最初の登板で自己最速となる164キロをマークしたあと、4月10日のオリックス戦で28年ぶり16人目となる完全試合を史上最年少、20歳5か月で達成しました。

プロ野球の公式戦では2016年に当時、日本ハムに所属していた大谷翔平選手が記録した165キロが日本選手の最速の記録ですが、佐々木投手は大会前に行われた壮行試合で自己最速となる165キロをマークし、さらなる進化を期待させています。

持ち味の速球と“魔球”とも言われるフォークボールが世界レベルで通用するかに注目です。

【村上宗隆選手】“村神様”で流行語に

続いてはバッターです。
ヤクルトの村上宗隆選手(23)は史上最年少で三冠王に輝き、ホームラン数で王貞治さんの記録を塗り替えました。

熊本・九州学院から2017年にドラフト1位でヤクルトに入団し、力強いバッティングが持ち味の左バッターとしてプロ野球で数々の記録を更新しました。

2年目の2019年シーズンからレギュラーに定着して36本のホームランを打って新人王を獲得。

3年目は全試合に4番で先発しました。

4年目のおととし(21年)も全試合に4番で出場し39本のホームランを打ってチームのリーグ優勝と日本一に貢献。

初めて、ホームラン王の獲得とセ・リーグのMVPに選ばれました。

5年目の昨シーズンは8月にプロ野球記録を更新する5打席連続のホームランを打ったほか、レギュラーシーズン最後の試合で56号ホームランを打って王貞治さんの記録を58年ぶりに更新しました。

また首位打者・ホームラン王・打点王のタイトルを獲得し史上最年少で三冠王にも輝き、圧倒的な成績で2年連続でセ・リーグのMVPに選ばれました。
また去年(22年)の「新語・流行語大賞」の年間大賞には、村上選手の活躍でSNSやニュースで広く使われるようになった「村神様」ということばが選ばれ、野球ファン以外にも広く知られるようになりました。

WBCでも若き4番の豪快なスイングに注目です。

決勝はアメリカと対戦

決勝で日本が対戦するアメリカは、前回大会の優勝チームです。

全員が大リーグのチームに所属し大谷選手とエンジェルスでチームメートのトラウト選手がキャプテンを務めています。

昨シーズン、ナショナルリーグのMVPに輝いたゴールドシュミット選手が準決勝で今大会初のホームランを打っているほか、おととし(21年)のナショナルリーグ・首位打者、ターナー選手はここまで打率3割6分8厘、4本のホームランを打つなど打線が調子を上げています。
準決勝のキューバ戦では4本のホームランを打って14対2で大勝しました。

これまでWBCで日本とアメリカの対戦成績は1勝2敗となっていますが、決勝で対戦するのは今回が初めてです。

WBCの特別ルール(1)球数制限

WBCには、主催する大リーグ機構が定めた大会のルールや規定があります。

その中には「大谷ルール」なるものも。特別ルールをまとめました。

まず、ピッチャーに関するものは、1試合の球数制限があります。
▽1次ラウンドでは65球

▽準々決勝は80球

▽準決勝と決勝ではそれぞれ95球
この制限は前回・2017年大会と同じです。

また、登板間隔についてもルールが設けられています。
▽1試合の球数が50球以上の場合は中4日

▽1試合で30球以上50球未満を投げた場合
 または2日連続で投げた場合は、中1日で次の登板が可能に
打者との対戦中に制限の球数に達したときは、打席が終わるまで投げることが可能です。

また日本のプロ野球ではなじみのある、1人のバッターに対して1人のピッチャーを起用するいわゆる「ワンポイントリリーフ」は禁止されています。

これは大リーグのルールに合わせたもので、最低でも打者3人と対戦するかそのイニングが終わるまで交代することはできません。

WBCの特別ルール(2)指名投手枠

WBCの各チームの登録メンバーは、最大30人と決まっています。

このうちピッチャーは少なくとも14人、キャッチャーは2人以上の登録が必要です。

大会中に入れ替えが可能な「指名投手枠」という予備登録メンバーを最大で10人まで選ぶことができます。

最終登録メンバーの中に「指名投手」は最大2人まで登録することができ、1次ラウンドのあとと、準々決勝が終わった段階で、2人を上限に「指名投手」の中から入れ替えることができます。

一方、けが人が出たケースでも選手の入れ替えは可能ですが、メンバーから外れた選手はその後の試合の出場資格を失います。

WBCの特別ルール(3)出場選手資格

WBCの出場選手資格は、選手本人がその代表チームの国籍や永住資格を持っているという条件があります。

ただ、親のどちらかが代表チームの国や地域の国籍を持っている場合や、その国や地域で生まれた場合なども出場が認められます。
大リーグのカーディナルスに所属する外野手のラーズ・ヌートバー選手(25)は、母親が日本人のためこの条件を満たし、今回、日本代表メンバーとして選ばれました。

ヌートバー選手は日系選手で初めてのWBCの日本代表選手となりました。

WBCの特別ルール(4)タイブレーク

今大会の延長では10回以降、ノーアウト二塁から始める「タイブレーク方式」が導入されます。

大リーグでは、昨シーズンから導入されていてWBCでも適用されます。

WBCの特別ルール(5)大谷ルール

WBCはピッチャーが打席に立たず、バッティングのみ行うDHが打席に入る指名打者制が採用されます。

また、昨シーズンの大リーグのルールにのっとって試合が行われるため、投手と野手の「二刀流」でプレーする大谷翔平選手のように先発投手が指名打者を兼ねていた場合、マウンドを降りたあともバッターとしてそのまま試合に出場できるいわゆる「大谷ルール」も適用されます。

この「大谷ルール」は、昨シーズンから大リーグで採用されました。

WBCで採用されるのは今大会が初めてです。

野球のルール 基本の「キ」

ここからは日本が伝統的に得意としてきた小技や機動力を生かした攻撃をご紹介します。

「何となくわかっているけど、野球っていろいろなルールや用語があって難しい」

多くの人たちが感じていることではないでしょうか。

知っておくと、さらに野球を楽しめるルールや用語を解説します。

まずは攻撃編「バント」から

「バント」はバッターがスイングをせずにボールをバットに当てて転がすことで、ランナーを進めようとする「送りバント」などがあります。

一方で、バッターがみずから出塁するためにバッティングの構えからバントに切り替えて行う「セーフティーバント」と呼ばれるものもあります。

ただ「バント」には特別なルールがあり、ツーストライクでバントをしてファールになった場合などは、「スリーバント失敗」として三振の扱いでバッターはアウトになります。
バントのうちの1つが「スクイズ」

ランナーが三塁にいる際にバントをして、その間にランナーがホームにかえり得点を決めることです。

▼バッターは相手にスクイズを読まれないこと、▼守備側はスクイズに警戒することが求められるため、駆け引きが楽しめるプレーです。

準々決勝では大谷選手が…

16日に行われた日本とイタリアの準々決勝。

3回、ワンアウト一塁の場面で大谷選手が相手の意表を突く「セーフティーバント」を決めてファンを沸かせました。

結果的に、このプレーが先制点につながり、日本は流れをつかんで快勝、準決勝に進みました。

タッチアップと犠牲フライ

試合の流れを左右するシーンの1つに「タッチアップ」があります。
「タッチアップ」「犠牲フライ」は同じ状況で使われることがありますが、「タッチアップ」はランナーに対して、「犠牲フライ」はバッターに対して使われる言葉です。

まず「タッチアップ」とはフライやライナーのボールに守備側が触れて捕球したら、ランナーはベースを踏み直して次の塁を狙うことができるというものです。

「犠牲フライ」は、例えばランナーが三塁にいる場面でバッターがフライを打って、タッチアップに成功し得点をあげるプレーのことです。

ファウルゾーンで、守備側がフライを捕球した場合にもタッチアップや犠牲フライのプレーは可能です。
今大会に出場する選手にはスピードスターと呼ばれるソフトバンクの周東佑京選手もいます。

持ち味の俊足を生かして観客を魅了するプレーが見られるかもしれません。

ピッチャーに関するルール

ここからは、ピッチャーに関するルールです。

試合の結果を左右する重要な場面になるかもしれません。

13種類全部知っていたらすごい!「ボーク」のあれこれ

それは「ボーク」。

試合中、審判が急にピッチャーに対して何かを宣告しさらにランナーが1つ進塁します。

突然、「何が起きたんだ?」とびっくりするかもしれません。

こうした場面、ピッチャーに「ボーク」が宣告されたケースが多いです。

その「ボーク」はなぜ分かりにくいのか。

実は13もの種類があるからなんです。

ボークって?

そもそも「ボーク」とはピッチャーの投球やランナーに対するけん制に関わる反則のことです。

公認野球規則によりますと「ボーク」は「ピッチャーがランナーを意図的に騙そうとするのを防ぐためであることを審判員は心に銘記しなくてはならない」とされています。

ボークをした場合

▽ランナーは、1つ塁を進むことができます。

▽ランナーがいない場合は、バッターに「ボール」1個が宣告されます。

ボークになるケースとは

▽ピッチャーが動作を開始したあとに投球を中止した

▽一塁または三塁に送球するマネをして送球しなかった

▽バッターが準備していないうちに「クイックピッチ」したとき

▽投手が打者に正対しないうちに投球したとき

▽投手がボールを持たないで投手板に立ったとき

▽ボールを落としたとき

※13のうち6つを抜粋。
仮にボークが宣告されたにもかかわらず、バッターがヒットを打つなどしてすべてのランナーが少なくとも 1つ先の塁へ進めば、ボークに関係なく試合が進みます。

これであなたもちょっとした“野球通”になったかもしれません。

「ボーク」全13種類

1:投手板に触れている投手が、投球動作に違反した場合
2:投手板に触れている投手が、一塁または三塁に送球するまねだけして、実際に送球しなかった場合
3:投手板に触れている投手が、塁に送球する前に、足を直接その塁の方向に踏み出さなかった場合
4:投手板に触れている投手が、走者のいない塁へ送球したり、送球するまねをした場合
5:投手が反則投球をした場合
6:投手が打者に正対しないうちに投球した場合
7:投手が投手板に触れないで、投球に関連する動作をした場合
8:投手が不必要に試合を遅延させた場合
9:投手がボールを持たないで、投手板に立つか、これをまたいで立つか、あるいは投手板を離れていて投球するまねをした場合
10:投手が正規の投球姿勢をとった後、実際に投球するか、塁に送球する場合を除いて、ボールから一方の手を離した場合
11:投手板に触れている投手が、故意であろうと偶然であろうと、ボールを落とした場合
12:故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合
13:投手がセットポジションから投球するに際して、完全に静止しないで投球した場合
(※公認野球規則より)