変わる親子の会話 生理、妊娠、更年期を語る

「ママ、それって『げっけい』の血だよね」
都内に住む40代の女性は、最近小学2年生の娘からこう話しかけられました。
ふだんから体のことをオープンに話すようにしているという女性。
今、家庭での親子の会話が変わりつつあるようです。
3月8日の国際女性デーに合わせて行われた調査から読み解きます。
(ネットワーク報道部 金澤志江)
都内に住む40代の女性は、最近小学2年生の娘からこう話しかけられました。
ふだんから体のことをオープンに話すようにしているという女性。
今、家庭での親子の会話が変わりつつあるようです。
3月8日の国際女性デーに合わせて行われた調査から読み解きます。
(ネットワーク報道部 金澤志江)
大人は意識してしまうけど、子どもは…
千葉友紀さん(44)がこの日、小学2年生になる娘の美里さんと読んでいたのは男女の体の仕組みを説明する絵本です。
こんなシーンが出てきます。
こんなシーンが出てきます。

お風呂に入っていた子どもが、お母さんの体から血が流れ出ているのに気付いてこう言います。
「あれ おかあさん、ち がでてる!?」
「けがかな?びょうきかな?」
するとお母さんは笑顔で説明します。
「このちは『げっけい』といっておんなのひと みんなにおこるたいせつなことなの」
千葉さんがこうした絵本を買うようになったのは3年ほど前から。
初めは手探りだったそうです。
「あれ おかあさん、ち がでてる!?」
「けがかな?びょうきかな?」
するとお母さんは笑顔で説明します。
「このちは『げっけい』といっておんなのひと みんなにおこるたいせつなことなの」
千葉さんがこうした絵本を買うようになったのは3年ほど前から。
初めは手探りだったそうです。

千葉さん
「子ども向けのものを何冊か買って、まず夫と2人で読んでみました。中には妊娠の仕組みなどを具体的に説明したものもあって、ここまで話していいだろうかと戸惑ったこともありました」
「子ども向けのものを何冊か買って、まず夫と2人で読んでみました。中には妊娠の仕組みなどを具体的に説明したものもあって、ここまで話していいだろうかと戸惑ったこともありました」
まずは夫婦で抵抗感のなかった絵本を見せてみると、美里さんは大人の心配をよそにまるで図鑑を見るように興味深そうに眺めたそうです。
その後、本人に読みたいかどうか尋ねながら徐々に絵本を増やし、今ではすべて、自由に手に取って読めるよう本棚に並べています。
その後、本人に読みたいかどうか尋ねながら徐々に絵本を増やし、今ではすべて、自由に手に取って読めるよう本棚に並べています。

千葉さん
「子どもは楽しんで読んでくれていて、ハードルを感じているのは親の方だなと思いますね」
「子どもは楽しんで読んでくれていて、ハードルを感じているのは親の方だなと思いますね」
変わる意識 若い世代ほど親と話している
3月8日の国際女性デーに合わせ、まとめられた調査があります。
健康管理サービスなどを提供する会社が10代から50代の女性を対象に行い、自分の母親と話したことのある内容を聞いています。
例えば初潮を迎えたときに母親から教えてもらうことの多い「生理用品の使い方」はすべての年代で8割以上の人が話したことがあると回答。
健康管理サービスなどを提供する会社が10代から50代の女性を対象に行い、自分の母親と話したことのある内容を聞いています。
例えば初潮を迎えたときに母親から教えてもらうことの多い「生理用品の使い方」はすべての年代で8割以上の人が話したことがあると回答。

しかし「生理痛」や「PMS=月経前症候群」の話になると、年代によってその割合が大きく変わってきます。

特徴的なのは若い年代ほど、割合が高いということ。
母から子へと症状や対処法を伝える家庭が増えていることが伺えます。
啓発に取り組む団体の代表は、こうした変化についてインターネットの影響もあると指摘します。
母から子へと症状や対処法を伝える家庭が増えていることが伺えます。
啓発に取り組む団体の代表は、こうした変化についてインターネットの影響もあると指摘します。
NPO法人「HIKIDASHI」大石真那 代表
「インターネットと子どもたちの距離が近くなって、早くから触れてしまう情報が正しいとは限らない。そうした中で、家庭できちんとした知識を伝えたいという意識が高まっているのではないでしょうか。
また多様な生き方が尊重されるようになり、お互いにきちんと理解をしていくことが大事だよねという認識に少しずつ変わってきているのかなと思います」
「インターネットと子どもたちの距離が近くなって、早くから触れてしまう情報が正しいとは限らない。そうした中で、家庭できちんとした知識を伝えたいという意識が高まっているのではないでしょうか。
また多様な生き方が尊重されるようになり、お互いにきちんと理解をしていくことが大事だよねという認識に少しずつ変わってきているのかなと思います」
知りたかった、話せなかった、体のこと
絵本で子どもに体の仕組みを読み聞かせている千葉さん。背景には自身の経験があったといいます。
母親とは仲がいいそうですが、生理や妊娠・出産など女性の体のことについては、なぜかほとんど話したことがありませんでした。
印象に残っているのは小学校の高学年で初潮を迎えてまもなくのころ。生理前の体調の変化について「自分だけかもしれない」「何かの病気かもしれない」とひとり悩んだそうです。
それが女性ホルモンによるものだと知ったのは、大人になってからでした。
さらに30代前半になって産婦人科の医師から「妊娠しづらい」と告げられショックを受けたときも、もっと早く自分の体のことや妊娠について知っておけばよかったと感じたそうです。
母親とは仲がいいそうですが、生理や妊娠・出産など女性の体のことについては、なぜかほとんど話したことがありませんでした。
印象に残っているのは小学校の高学年で初潮を迎えてまもなくのころ。生理前の体調の変化について「自分だけかもしれない」「何かの病気かもしれない」とひとり悩んだそうです。
それが女性ホルモンによるものだと知ったのは、大人になってからでした。
さらに30代前半になって産婦人科の医師から「妊娠しづらい」と告げられショックを受けたときも、もっと早く自分の体のことや妊娠について知っておけばよかったと感じたそうです。

その後、36歳の時に第一子、43歳で第二子を出産。
これまでの経験から娘の美里さんには、体についての正しい知識を持ってほしいと考えています。
これまでの経験から娘の美里さんには、体についての正しい知識を持ってほしいと考えています。
親の話が“じぶんごと”に変わるとき
最近、美里さんの変化を感じた出来事がありました。一緒に入浴したとき月経に気付いた美里さんが、絵本の話をしはじめました。
「ママ、それって絵本にでてたあれだよね?」
「ママ、それって絵本にでてたあれだよね?」

美里さん
「絵本に書かれていた男の子がお風呂でお母さんの月経の血を見たのと重なった。ママから月経の血が出てると思ってびっくりした」
「絵本に書かれていた男の子がお風呂でお母さんの月経の血を見たのと重なった。ママから月経の血が出てると思ってびっくりした」
そのあと改めて2人で絵本を読みかえしたそうです。

そして美里さんから生理に備えてナプキンやショーツを買いたいと言われ、一緒に買いに行く約束をしました。
千葉さん
「理解が深まったんだな、自分ごとになったんだなと感じました。そのつど必要かな、もう分かるかなということを教えていけるといいなと思います」
「理解が深まったんだな、自分ごとになったんだなと感じました。そのつど必要かな、もう分かるかなということを教えていけるといいなと思います」
“無理はせずに”話ができる環境を
変わりつつある親子の会話。
啓発などを行う団体の代表に、どんなことに気をつけて話せばいいのかポイントを聞きました。
啓発などを行う団体の代表に、どんなことに気をつけて話せばいいのかポイントを聞きました。

NPO法人「HIKIDASHI」大石真那 代表
「絵本など視覚的に理解を助けるものを活用して、科学的に淡々と説明することが大切です。一度に全部説明したくなりますが、小さい子どもは理解できないこともあるので、聞かれたことにだけ答える一問一答で対話することをオススメしています」
「絵本など視覚的に理解を助けるものを活用して、科学的に淡々と説明することが大切です。一度に全部説明したくなりますが、小さい子どもは理解できないこともあるので、聞かれたことにだけ答える一問一答で対話することをオススメしています」
ただ無理はしなくていいと話します。
「私たち自身が性を恥ずかしいとか、抵抗感を持って育った世代なので決して無理はしなくてもいいんです。子どもに質問されてすぐ答えられなくても『いい質問だね、あとで調べてみようか』などと、いったん受け止めるといい。はぐらかすなどして話すことがタブーだという空気感が1度できると変えるのが難しいので、何か困った時に子どもが気軽に相談できる環境をつくることが大切だと思います」
3月8日は国際女性デーです。
“無理せず”親子で体のことについて話してみませんか。
“無理せず”親子で体のことについて話してみませんか。